第八話 特効薬が効かない!? 3 回答編その1
フームス隊長とエルヴィンはいつの間にか上半身裸になって、ベッドの上で大汗をかきながらぐったりしている。
「芽々……!」
エルヴィンが、芽々をうわごとで呼んだ。
「芽々……!」
フームス隊長も熱に浮かされたように芽々の名を口にした。
な、なんで!?
なんで、二人とも私を呼ぶんだ!?
なんていうか、猛獣が眠っているみたいで近寄ったら襲われそうだ……。
芽々が戸口で固まっていると、フームス隊長の部下その一が仕事を買って出た。
「看病は、自分にお任せください!」
「あ、ありがとう~!」
芽々は心底感謝した。
最初は困っていたけど、結果的に彼らが来てくれて助かった。
「自分に何かできることは?」
部下その二が進み出た。
「じゃあ、ドロップ宮殿に行って、クルーエル大臣とフームス隊長の病歴のリストと食事のリストを貰ってきて……それから、アリエンさんを連れて来てください!」
「はっ、了解しました!」
部下その二は、敬礼すると速やかに部屋から出て行った。
おおっ! ガーディアンの隊長になったみたいなカンジだな~!
いやいや、そういうことばかりも言っていられない。肝心なのは、露出病の特効薬が効いてないってことだ。
「でも、どういうことなの? どうして、露出病の特効薬が効いてないんですか?」
芽々は、残った部下その三に問いかけた。
「もしかして、あの五百年前の調合レシピがデタラメだったのかな……?」
部下その三は、手をパタパタと振って答えた。
「いえ、デタラメというわけではなさそうです……!」
「どういうことですか?」
「特効薬の効果はあったようです。クルーエル大臣やエルヴィン先生、フームス隊長以外にはかかった者がいないらしいので」
「三人だけ効かないってことですか? どうして?」
芽々が突っ込んで尋ねると、部下その三は困ったように笑った。
「そんなこと、自分が訊きたいくらいですよ~……」
「ですよね~……」
情報がないから、ついつい刑事のように突っ込んで聞いてしまった。
「でも、絶対無敵だと恐れられているフームス隊長が倒れるだなんて……!」
この部下その三は、とても悔しそうだ。
フームス隊長はとても尊敬されているようだ。
「どうして、フームス隊長は絶対無敵なんていわれているんですか?」
またしても、突っ込んで聞いてしまった。また困らせてしまうかもしれないが。
でも、部下その三は怒りも困りもしなかった。
「そりゃ、フームス隊長には、『毒が効かない』からですよ! 毒霧の中も進んで行けるぐらいのお方ですから!」
陶酔したように天井を向いて、部下その三は答えた。
「ええっ、毒が効かない!?」
ちょっと待って!?
クルーエル大臣は、暗殺されまくったけど、不死身って言ってなかった? ってことは、毒殺されまくったけど、『毒が効かなくて』結果的に無事だったってこと……?
クルーエル大臣の秘密がそれだとしたら……。
「もしかして……!」