第五話 クルーエル大臣は不死身……?
意識が遠のいた数分後、芽々は目を覚ました。気がついたのはベッドの中だった。
「あれ? 私……?」
そこには、診療所のガード先生とエルヴィンが芽々を見守っていた。目を開いて辺りを窺っている芽々を前に、二人の表情に安堵の色が灯った。
「芽々、心配したぞ」
「エルヴィン……と、ガード先生……あっ!?」
ハッと我に返って自分の服を確かめたが、着衣は乱れてない。
烏羽玉先生の十八禁宣言はまたしても不発だったようだ。
はぁ、良かった~!
「やはり、流感だったようですね」
ガード先生は安堵したように笑っている。
「流感……? 毒じゃなくて……?」
「どうして毒なんだ?」
エルヴィンが怪訝そうな顔つきになった。
「い、いやその……」
「ただの流感だ。だから、俺が作った魔法薬が良く効いたんだ」
な、なんだぁ。
私はてっきり、クルーエル大臣のあの魔法薬が毒薬だったんじゃないかって思ったよ。ということは、露出病の特効薬は本物だったんだ……!
芽々はすっかり嬉しくなって、エルヴィンに元気に微笑みかけた。
「やっぱり、エルヴィンの魔法薬は良く効くね!」
「褒めても何も出んぞ」
そう言いながらも、エルヴィンも嬉しそうだ。もしかしたら、芽々の快復を喜んでくれているのかもしれない。
この分だと露出病の特効薬も良く効くような気がするから、謎の女の企みは未然に防げたってことか! ということは、私とクルーエル大臣の勝利ってことだな!
「じゃあ、私はこれで失礼しますよ。では、芽々さんもお大事にね」
ガード先生はにこやかに微笑みながら帰って行った。
そして、その夜。
エルヴィンも自分で作った露出病の特効薬を飲んだ。
そして、特効薬は国民全員に行きわたったと翌日の新聞に出た。だから、この病は未然に防いだと、だれもがクルーエル大臣の功績を褒め称えた。
翌日、芽々はまたクルーエル大臣に呼ばれて、ドロップ宮殿に来ていた。クルーエル大臣は、もしかしたらエルヴィンを助ける特効薬をくれるのかもしれない。芽々は、そのつもりでクルーエル大臣の部屋を訪れた。
クルーエル大臣の部屋の前まで来ると、入れ違いにアリエンが部屋の中から出てきた。アリエンと鉢合わせて、芽々も彼も目を丸くした。
「どうしてアリエンがクルーエル大臣の部屋に?」
「アリエンさんだ! まじありえんだろ!」
「あ、ゴメン!」
またしても、アリエンを怒らせてしまった。普段から、アリエンだって思っているからかな~。
「私はクルーエル大臣に呼ばれたんだけど……アリエンさんは?」
「僕は、クルーエル大臣に露出病の特効薬の材料は何であるか聞かれたんだ」
「特効薬の材料……?」
なんでそんなものを訊くんだ?
クルーエル大臣じゃあるまいし毒を盛ったりなんてしないのに。私の信用はないのか?
芽々が考え込んで無言になると、アリエンは用が済んだと思ったらしい。
「じゃあな! 芽々もクルーエル大臣には用心しろよ。あいつは不死身だって言うからな!」
ハァ!? 不死身……!? そんな人間いるはずないと思うけど。
「ど、どうして不死身なの?」
デマだと思ったが、気になるので一応訊いてみた。
「ウワサによると、クルーエル大臣は何回も暗殺されかかったけれど、何故か全然死ななかったんだってさ!」
「ふ、ふーん、なんかスゴイね!」
何がスゴイって、あの悪役のクルーエル大臣なのに命を狙われていたってことが。
しかも、命を狙われていたのにクルーエル大臣は不死身……。ただ者じゃないね……!
「ありがと、アリエンさん。また、相談に乗ってね!」
「ああ、またな」
アリエンはフッと笑って手を振ってくれた。




