第十四話 クルーエル大臣の目覚め
クリストファー王子をネコのぬいぐるみで目覚めさせた後、芽々はクルーエル大臣の部屋を訪れていた。
「う……」
「お目覚めになりましたか?」
芽々がそう言うと、クルーエル大臣が顔をこちらに向けた。
「芽々さん……? 芽々さんが私を……?」
クルーエル大臣は、驚いて口元を押えている。
「い、いえ、このネコの――」
ネコのぬいぐるみでチュッとしたんですが……!
芽々は、正直に告白しようと思った。
しかし、クルーエル大臣は、ハッとしたように片手を上げてそれを阻止した。
「いや! 何も言わなくて構わない!」
「は……?」
そう答えたクルーエル大臣は、明らかに誤解しまくっている。
「これは、事故だ! よって、ノーカウントだ!」
「い、いや、あの!?」
芽々は、ちゃんと説明しようと思って、ネコのぬいぐるみをクルーエル大臣の目の前で踊らせた。
「これで、私と芽々さんの取引がゼロになると思ったら大間違いだ!」
「わ、分かってますけど!」
芽々はムッとした。いや、それより、誤解を解かないと……!
「だ、だが、芽々さんが私を起こしてくれたことは感謝している……!」
クルーエル大臣は、まだ動揺しきっているようだった。
あ、あのぅ……。この、ネコのぬいぐるみが見えませんかね~……?
芽々は、クルーエル大臣に見えるように、ネコのぬいぐるみを彼の目前で踊らせてみた。
しかし、クルーエル大臣は、頬を染めてすっと目をそらした。
もしかして、この人、照れまくっているのだろうか。
か、カユイ……! 胃の中をくすぐられているような感じがする!
完全に誤解してるけど、私はこのカユさにもう限界だ……!
「では、私はこれで……!」
芽々は、カユイ空気に耐えれずに、クルーエル大臣の部屋を早々に退室したのだった。
クルーエル大臣の誤解が解けたのは、それから数日後のことだったという――。




