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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第五章】★*☆*★・・・・・・・★
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第十二話 目覚めのキスを回避せよ! 3

「やっぱり、キスを!? キスで、治療なのか!?」


 フームス隊長は、「その通りだ」と、うなずいた。

 芽々は一呼吸置いてから、『ネコのぬいぐるみ』を取り出した。


「それは、これを使えば大丈夫です!」


 芽々は、それをフームス隊長に渡した。


「これは、『ネコのぬいぐるみ』?」

「これを使って、私の代わりに二人にチュッとやってください。必ず目覚めるはずです」


 ネコのぬいぐるみでもイヌのぬいぐるみでも問題ない。

 キスさえできれば、何だっていいのだ。


「私も、エルヴィンを起こす時にこれを使いましたから!」


 芽々は、胸を張ってそう言った。


「では、芽々に頼もうか」

「えっ?」

「クリストファー様とクルーエル大臣は倒れる前に指名してきたのだから、仕方がないだろうが。俺の一存ではどうにもならん」

「わ、分かりました!」


 なら、仕方ないな……!


「頼んだぞ」


 フームス隊長は、すっかり元気になって、ドロップ宮殿に帰って行った。


 危機一髪とはこのことだ。

 これを思いつかなかったら、今頃、エルヴィンやクリストファー王子、はたまたクルーエル大臣とキスして、修羅場になっていたかもしれない。

 そうなったら、烏羽玉先生の思うつぼだった。

 いや、そうならなくて良かった良かった……。

 ん……? なんか、後ろから邪悪な気配が――。


「芽々……」


 後ろから、エルヴィンのドスの利いた声が聞こえた。


「え゛? 邪悪な気配ってエルヴィンさん……?」


 振り向くと、エルヴィンの髪が炎のように揺らめいていた。


「な、なんか、滅茶苦茶怒ってません!?」


 芽々はハッと我に返った。

 もしかして、フームス隊長と話していたキスの事が聞こえていたのか!?


「俺の純情をもてあそんだな……?」


 エルヴィンを取り巻く気がゆらりと揺れた。

 やっぱり、バレてる~!


「い、いやあの、最初から、そう言おうと……!」

「許せねェェェ! 今夜は夕飯抜きだァァァァ!」


 エルヴィンの気が膨れ上がって、ラボラトリーを揺らした。


「そ、そんなぁ!?」


 普通はキスしたから怒るもんじゃないの!? しなくて良かったんじゃないの!?

 芽々は風圧に耐えながら、必死で激怒しているエルヴィンをなだめにかかったのだった……。

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