第十話 成功率一パーセントのエルヴィンの回答
芽々とエルヴィン、烏羽玉先生は、ラボラトリーの方に移動した。
「この六枚の調合レシピを見て、芽々は何か気づかないか?」
「六枚の調合レシピを……?」
芽々は目を薄めて、じーっと六枚の調合レシピを睨んだ。
『『茨姫病の特効薬の調合レシピA』材料『パサパサ草の根五〇〇グラ』と『パサパサ草の葉五枚』で『成功率一パーセント』……』
『『茨姫病の特効薬の調合レシピB』材料『カサカサ草の根五〇〇グラ』と『カサカサ草の実五粒』で『成功率一パーセント』……』
『『茨姫病の特効薬の調合レシピC』材料『パサパサ草の根五〇〇グラ』と『カサカサ草の実五粒』で『成功率一パーセント』……』
『『茨姫病の特効薬の調合レシピD』材料『カサカサ草の根五〇〇グラ』と『パサパサ草の葉五枚』で『成功率一パーセント』……』
『『茨姫病の特効薬の調合レシピE』材料『カサカサ草の根五〇〇グラ』と『パサパサ草の根五〇〇グラ』で『成功率一パーセント』……』
『『茨姫病の特効薬の調合レシピF』材料『カサカサ草の実五粒』と『パサパサ草の葉五枚』で『成功率一パーセント』……』
「なーんも分からないよ。良く似た材料を使っていることぐらいしか!」
芽々はお手上げだった。けれど、エルヴィンは芽々の発言に驚いていた。
「惜しいな!」
「えっ?」
な、何が惜しいんだ?
「良く似た材料が惜しいの……? どういうこと?」
芽々は首を傾げた。エルヴィンは、調合レシピを指で追っていく。
「この六枚を見比べると、この材料の二つの組み合わせ方は、A・AやB・Bという同じもの同士と、A・BとB・Aという同じ組み合わせ方を除けると、3P2=6で、この場合も六通り全部試している。どの組み合わせ方も成功率一パーセントだが、成功すればちゃんとした魔法薬になることから、もしかしたら相性がいいのではないかと考えた」
「そうだね、確かに……でも、成功率が一パーセントだけどね」
エルヴィンは、頷いた。
「だから、俺は成功率が悪いのは組み合わせ方が悪いからだと思った」
「なるほど~。組み合わせ方か」
「これは、二個ずつの組み合わせ方だな。でも――」
「二個ずつの組み合わせ方……? だったら、三個や四個の組み合わせ方は!? もしかして、四つの材料を一度に試すってこと!?」
エルヴィンは「そう!」と、芽々を指差した。
「俺は『パサパサ草の根』と『パサパサ草の葉』・『カサカサ草の根』・『カサカサ草の実』を一緒に調合したら、成功率が格段に上がるんじゃないかと思ったわけだ!」
「な、なるほど! ということは、この六枚の調合レシピは不完全なものだったってことなのかな?」
「そういうことになるな」
「それが合っているか、早速試してみようよ!」
エルヴィンは、調合レシピを書き換えた。
『『エルヴィンによる茨姫病の特効薬の調合レシピ』材料『パサパサ草の根五〇〇グラ』と『カサカサ草の根五〇〇グラ』に『パサパサ草の葉五枚』と『カサカサ草の実五粒』』
エルヴィンは、それをすべて量って、魔法機に入れた。
魔法機の手形にエルヴィンは両手を合わせた。
「まほうじゅつ~っと!」
魔法機は伸縮してポンッと音を立てた。
エルヴィンは底を開けてバケツに液体を流す。すると、透き通ったハチミツのような液体が出てきた。
「成功だ!」
「す、すごい! もしかして、成功率百パーセントなんじゃないの!?」
「ああ、そうかもな!」
エルヴィンは、平然としている。
流石、天才調合師エルヴィンだ。すごすぎる……! 芽々は舌を巻いた。
『流石、エルヴィンですね! では、私は、またこっそりと異世界を傍観してますので~!』
烏羽玉先生は満足そうに微笑んで、ホログラムを消した。
「すぐに、ノーア社長とフームス隊長に連絡して、この魔法薬を渡そう!」
「うん! そうだね!」




