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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第五章】★*☆*★・・・・・・・★
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第九話 エルヴィンの目覚め

『さあ、早くエルヴィンにキスをしてくださいね~!』


 芽々は烏羽玉先生にジト目を向けた。

 しかし、本当にキスしないと目覚めないようだ。

 どうしよう……。なにか、キスしなくてもいい方法はないだろうか。

 エルヴィンの部屋を見渡した。すると、部屋のすみの『あるモノ』に目がとまった。

 それは、エルヴィンの『ネコのぬいぐるみ』だ。


「こ、これだ!」


 芽々は、それを持って来た。

 そして、ネコのぬいぐるみの口とエルヴィンの口をくっつけた。


「う……!」


 芽々の企み通り、エルヴィンは目を覚ました。


「や、やったぁ!」

『ああっ! その手がありましたか! チィイ!』


 芽々の気転は思いもよらないものだったらしい。

 烏羽玉先生は、滅茶苦茶悔しそうに唇をゆがめている。

 キスするのは別に人でなくてもいいと芽々は考えたのだ。どうやらその考えは当たっていたようだ。


「芽々? と、烏羽玉か……」


 エルヴィンは、まだ眠そうにあくびをしている。


「あ、エルヴィン。元気になってよかった~!」

「俺が目覚めたってことは……えっ、まさか、芽々が俺にキスを……?」


 エルヴィンの瞳がときめいたように揺れた。

 げっ!? 完全に誤解しているぞ!? ま、マズイ!


「い、いや、あのねっ!」


 芽々はネコのぬいぐるみを取り出したら、エルヴィンが頬を染めて目をそらした。

 あ、あんたは、どこぞの乙女か……! エルヴィンは、見るのも恥ずかしいぐらい照れまくっている。


「……サンキュ……!」


 いや、エルヴィンさん、完全に誤解しているだろ……!

 芽々は、ネコのぬいぐるみをエルヴィンの目の前で踊らせてみたが、エルヴィンは全然気づかない。


「芽々?」

「えっ?」

「いや、あのさ、どうやって魔法薬を作った?」


 な、なんだ? このカユい空気は……!

 じんましんが出そうだぞ……!


「あ、あのね」


 芽々は、先ほど作った経緯を説明した。すると、エルヴィンが笑い出した。

 や、やっぱり、無理があったのかな~。


「そうか、そうやって作ったのか。でも、それじゃあ効率が悪いな」

「烏羽玉先生が言うには、六枚の調合レシピがヒントなんだって」


 悔しかったが、分からないので仕方がない。芽々は、エルヴィンに六枚の調合レシピを見せた。

 エルヴィンは、六枚の調合レシピを見比べている。


『エルヴィンなら、分かるんじゃないですか』


 烏羽玉先生が楽しそうに訊いている。自分が作ったキャラクターなので、できないはずがないと言わんばかりだ。


「なるほどな。分かったような気がする」


 エルヴィンは、合点がいったように頷いた。


『それでこそ、エルヴィンです!』


 烏羽玉先生は、満足そうにうなずいた。


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