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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第四章】★*☆*★・・・・・・・★
47/102

第八話 調合師たちの危機3

 クルーエル大臣は、ベッドに寝かされている。おそらく、主治医が付き添っているので安心だろう。うつるといけないので、芽々は部屋の外に追い出された。


 そして、暫くすると部屋からお付きの人が出てきた。病状を訊いたクルーエル大臣のお付きの人が芽々に説明してくれたのだ。


「クルーエル様は、あの疫病らしいことが分かりました」

「やっぱり……!」

「高熱にあの発疹。どう見ても、間違いありません。色々な魔法薬を試したらしいのですが、どれも効果がなく……」


 まさに、あの疫病だというのか。

 じゃあ、クルーエル大臣が仕組んだものじゃないってこと……?ということは、クルーエル大臣は最初から国民のために頑張っていたってこと……? 王妃様が倒れたのも、ブランダ先生が捕まったのも、クルーエル大臣が首謀者ではないとしたら……?


「芽々様! どうか、クルーエル大臣をお助け下さい!」

「えっ……! で、でも……」


 まさか、お付きの人に懇願されるだなんて……。

 よほど、クルーエル大臣に対する芽々の印象は良かったようだ。


「ああ見えて、クルーエル大臣はお優しい方なんです。今日も国民のために尽力して……」


 そう言えば、今日もあんなに忙しそうにしてたもんな……。国民のためにか。

 はぁ……。クルーエル大臣が悪人なのか善人なのか分からなくなってきた。でも、ここで見捨てるのは目覚めが悪いし……。


「……なんとか頑張ってみます……」


 実は、疫病対策のめどはついている。でも、これを実行するには、ドロップ宮殿の人たちに協力してもらわなければならない――。


「それで、お尋ねしたいことがあります!」


 芽々は、お付きの人に頼み込んで『ある物』を持って来てもらった。

 それは、ドロップ宮殿の人たちの『食事の記録』だった。


★ ★ ★


 芽々は、分厚い『食事の記録』を持って、ドロップ宮殿の一番東の別棟まで来ていた。

 十歳ぐらいの背丈の後姿を見つけて、木のぬくもりのあるレトロな廊下を芽々の足が駆けて行く。


「アリエン~!」


 芽々の声に気づいたアリエンがイライラと振り返った。


「アリエンさんだろうが! まじありえん!」


 ああ、しまった~!

 今は、アリエンの機嫌を損ねている場合じゃないのに!

 でも、今日もアリエンさん可愛いなぁ。思わず頬が緩む。

 すると、芽々の抱えているファイルにアリエンは怪訝そうに視線を走らせたので芽々はハッと我に返った。


「アリエンさん! このファイル気になるでしょ!? ちょっと、助けてほしいの!」


 しかし、アリエンは素っ気なく外方を向いた。


「僕は暇じゃないんでね。悪いけど……」


 クッ……! どうしたら……!

 あ、そうか!


「王妃様の事でなの!」


 アリエンは疲れたようにため息を吐いた。

 もしかして、私、アリエンの中でクラウド化してない? き、気のせいかな?


「……それで、用件はなんだよ?」


 アリエンは面倒臭そうなジト目で言った。


 にやり……!

 王妃様たちの話を持ちかけるとアリエンは協力してくれると分かっていたんだ~!

 アリエンさん、まじ頼りになる~!


「あのね! これを見て!」


 芽々はさっそく持ってきたファイルを広げてアリエンに見せるのだった。

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