表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第二章】★*☆*★・・・・・・・★
24/102

第十三話 魔法薬を貰ってきた理由

 エルヴィンは、芽々の答えを聞いて満足そうに頷いた。


「そういうことだな。でも、俺が『この魔法薬を貰ってきた理由』が分かってないみたいだが」


 うぐっ、良いところまで行ったと思ったんだけどなぁ……。


「お手上げです……!」

「ふふ~ん?」


 エルヴィンは勝ち誇ったようにニヤニヤしている。


「クッ……! 教え腐ってください!」


 ひとりで分かってるなんてズルいぞ!


「フッ、ここに引っ越ししてきたときに、魔法機を設置したよな?」


 やっと、エルヴィンは教える気になったらしい。

 これは、回答の話の流れだろう。芽々は頷いた。


「うん、設置するのに三時間もかかったから覚えてるよ」

「実は、この魔法機は俺のお手製なんだ」

「えっ!? お手製……!?」


 このエルヴィン師匠、調合師だけあって、機械製作もできるらしい。

 芽々は、感心するどころか舌を巻いた。


「これをこうすると……」


 エルヴィンは、『猛毒キノコ解毒剤』と『猛毒ペイルアンテッド解毒剤』に『大麻痺毒の中和剤』を、魔法機の中に入れた。そして蓋をして両手を機械の手形に重ねる。


「ま~ほ~じゅつ~うぅ~ハァ!」


 エルヴィンは、脱力するような呪文を唱えた。

 芽々は知っていた。この脱力する呪文は特に必要ない事を……!

 この呪文は、エルヴィンの趣味なのか……! 趣味なのか……!


 ともかく伸縮を繰り返していた魔法機は、縦横に伸縮してポンと音を立てた。


「できたぞ~」


 エルヴィンは、魔法薬をサラサラと、ビンに移した。そして、違う種類の魔法薬を、また違うビンに移し、それを六種類繰り返した。


 全部違う種類の魔法薬……? それも六種類? いや違う!


「これって……! もしかして、『猛毒キノコ解毒剤』と『猛毒ペイルアンテッド解毒剤』と『大麻痺毒の中和剤』を作った『材料』!?」

「ああ、成分を抽出したんだ」

「もしかして、『金ルコンの根』と『虹色の光石』の材料を抽出したっていうこと!?」

「ああ、そうだ」


 魔法薬を貰ってきたのは、これが目的だったのか! クルーエル大臣に嫌がらせされても、エルヴィンの頭脳があれば対抗できる!?


「『金ルコンの根』と『虹色の光石』の成分はこれとこれだな」


 しかも、エルヴィンは材料を見分ける目も持っている!

 す、すごすぎる!


「『金ルコンの根、一〇〇〇グラ』と『虹色の光石、五〇〇〇グラ』か……」


 エルヴィンが、量りに材料を乗せている。


「……丁度あるみたいだな。俺のもくろみ通り」

「うん……! ありがとう……!」


 エルヴィンがいて良かった! エルヴィンがこんなに頼りになる人だったなんて!

 流石、私の師匠だ……!


「後は調合して、ノーア社長に納品して、値段をふっかけるだけだね!」

「慎重にやらないとな。今度は、俺もついて行くからな」

「うん、解ってる!」


 今度はエルヴィンが付いているから安心だ。不安材料が消えて、胸が軽くなるような心地だ。


「……でね、エルヴィン」

「ん? なんだ?」

「私……。国王陛下とクリストファー王子の病を治す特効薬の作り方が分かったかもしれない!」

「フッ、芽々もか。実は俺もだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ