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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第二章】★*☆*★・・・・・・・★
23/102

第十二話 アリエンと魔法薬の材料2

「アリエン君、この材料は次にいつ入ってくる予定かな?」


 クルーエル大臣は、涼しげな目を細め余裕綽々でアリエンに尋ねた。

 アリエンは、ハシゴから降りた。そして、入荷予定表を手に大慌てでこちらにやってきた。


「え、えーと、半年後です……」


 アリエンの答えを聞いて、クルーエル大臣は楽しそうに一笑した。


「さあ、どうする? エルヴィン君」


 芽々は不安になって、エルヴィンの袖を引っ張った。


「エルヴィン、どうするって……」


 エルヴィンの額から、冷や汗がしたたる。


「お手上げですよ、私でも、ね」

「ええ~っ」

「ハハハハハ! 諦めが良いのは良いことだよ、エルヴィン君! では、また」


 クルーエル大臣は大笑いして、楽しそうに去っていった。

 でも、クルーエル大臣って、一体何しに来たの?

 もしかして、ドロップ宮殿の私たちを観察しているのか?


「クルーエル大臣、まじムカつく。まじありえん!」


 アリエンは、手に持っている入荷予定表を丸めて捨てそうな勢いで怒っている。

 そうだ、今一番の問題は材料がない事だった……!


「ああ~! どうしよう! クルーエル大臣に泣きついても無理かな!?」


 エルヴィンが険しい顔になった。


「芽々、馬鹿なこと言ってんじゃないぞ」と、エルヴィン。

「冗談だよ! でも、どうすりゃいいんだぁ!」

「まあ、待て。手がないわけじゃないさ!」


 エルヴィンは意地悪そうな笑みを浮かべて、ひとり悦に入っている。とても、芽々のように焦っているように見えない。


「アレ、エルヴィン? さっきはお手上げって……!」

「馬鹿正直に答えるわけないだろ?」

「流石、エルヴィン師匠~!」


 エルヴィンを初めて芽々が師匠と仰いだ瞬間だった。

 やっぱり、エルヴィンは頼りになるなぁ!


「アリエンさん、貰いたい魔法薬があるんですが、構いませんか?」

「えっ? 良いけど……」


 アリエンは目をぱちくりさせた。


 エルヴィンは、その魔法薬をアリエンから受け取った。そして、芽々と一緒にエルヴィンのラボラトリーに帰ってきた。


「ねえ、エルヴィン。見たこともない魔法薬をこんなに貰ってきてどうするの?」


 木の大箱に、二つ分も。だから、帰りは馬車じゃなく荷馬車で帰ったんだ。


「解毒剤の類ばっかりだけど……」

「ああ、そうだな。『猛毒キノコ解毒剤』と『猛毒ペイルアンテッド解毒剤』に『大麻痺毒の中和剤』……これをなんで選んだのか、芽々は分かるか?」


 どれも大ビンだ。合計で、十五ビンある。『猛毒キノコ解毒剤』と『猛毒ペイルアンテッド解毒剤』は、錠剤だが、『大麻痺毒の中和剤』は粉薬だ。


「う~ん、エルヴィンの事だから、クルーエル大臣の盲点を突いたのは分かるよ」

「ほう?」


 エルヴィンの眼が面白そうに閃いた。

 芽々は大ビンをくるくると回して、考え込む。


「解毒剤ってことくらいしか……ちょっと待てよ? もしかして……!」

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