44、如月2月 その4 男たちのバレンタイン
「で、なんでそんなにお菓子が並んでるんだよ…」
ところ変わって満の家。いきなり満からメールがきた都と柚樹は、満の部屋に入った途端絶句した。そこに並んでいたのは色とりどりのお菓子たちだった。
「いや…、恋たちが作ってるの見たら作りたくなってだな」
さすがに作りすぎたという自覚があるのか、照れたような申し訳ないような顔をしながら満がつぶやく。
「いやまあみっさんの趣味は知ってたんやしいいんやけど」
「うん、さすがに作りすぎだよ」
そう言いながら笑いをかみ殺す二人。そしてそれぞれ定位置となっているところに座る。
「みっさんから、女子たちからはもらえなさそうだって聞いてたしなぁ」
「いっそ男子会と称して慰めあうかとか考えてたしなぁ」
そして笑いあう3人。満は立ち上がってお茶を入れ始める。
「しかし、こんな量よく一晩で作ったな」
そのお菓子の量は小さ目のちゃぶ台に収まりきらず、台所にもいくつかおいてあった。満の部屋全体には甘い香りが広がっている。
「ほぼ徹夜だな。夢中になってて気づいたらこのザマだ」
その言葉に吹きだす都と柚樹。
「みっさんなぁ」
「なんだよそのギャップは」
普段の姿からは想像できない今の姿に笑いを殺しきれない二人はずっと頬を緩めていた。そんな二人をみて満はマカロンを取り出す。
「マカロンで口ふさぐぞ」
「みっさんそれも手作り?」
その質問に当たり前だというように満が答えると、二人が腹を抱えだした。
「それ、他の人たちには、見せない方が、いいよ」
息も絶え絶えになりながら、都が言う。柚樹は笑いすぎたのか、声が出せないようだった。その様子に溜息をつく満。
「いや、だれかに見せる気もねえし、今のところ恋のわがままに付き合う以外はあんまり作らねえし」
そう言いながらも冷蔵庫から出てくる出てくるスイーツの数々。
「おい待てみっさん。いったいどれくらいあるんだよ…」
「ざっと10種類は作ってるんじゃないか」
そして自分でテーブルの上を見てはっと気づく満。
「作りすぎたな…」
その言葉にまたまた吹き出す二人。
「みっさん、殺す気かって」
笑いながらも必死にしゃべろうとする都。柚樹はすでに撃沈している。
「とりあえず落ち着け」
そう言ってお茶のコップを渡す満はいたたまれなそうな顔をしていた。受け取った都は一口飲んで一息ついた。柚樹も受け取って飲む。
「おもしろいもん見た気分だわ。これ食べていいんだよな」
そうしてテーブルの上に所狭しと並べられたお菓子に手を伸ばす都。
「おー、好きなだけ食べてってくれ。なんなら持って帰ってくれ」
こうして3人で消費を始めたのだが、すべて食べきれなかったのは言うまでもなく…。




