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39、睦月1月 その3 雪の季節に

「雪だー!」

そう言って外に出て行ったのは、夏希が最初だった。そのまま犬のように走りまわる。その後ろから柚樹が同じように駈け出して行った。反対に寒そうにしているのはみっさんと真澄。真澄にいたっては、走り回る夏希を呆れたような目で見ている。

「ねえなっちゃん、寒くないのー」

「寒くないよー楽しいよー」

そういって走り回る夏希と寒そうに肩をすくめて立っている真澄を見ると双子でも違う。と、そのとき雪玉が降ってきた。だれかと思えば、恋が雪玉を作っては投げて遊んでいた。

「おい、恋。こっちに当たったらどうしてくれる」

「どうもしないわよー」

そう言って夏希や柚樹たちと雪だるまを作り出す。まるで子どものようにはしゃいでる姿を見ると、私も混じりたくなってきた。

「行ってきたら…?」

夜宵がのんびりとつぶやく。そんな夜宵は、コートにマフラー、手袋に耳当てと重装備だ。カイロも持っていると本人も言っていた。

「寒いなら教室にいたらいいのに…」

私がつぶやくと、夜宵が拗ねたような口調になる。

「だって、冬休みにみんなと遊ぶ時間少なかったんだもん」

どうも一緒に初詣に行けなかったことを悔やんでいるようだった。お仕事だから仕方ないとあれほどお互いに言っていたのに。

「とりあえずはいよ」

みっさんが自分のポケットからカイロを取り出して夜宵の頭の上に乗せる。夜宵はそれをのんびりとした動作で受け取ると、そのまま両手で挟んで温まりだした。

「うー、なんでこんな寒いんだよ…」

「まあ冬だからなぁ」

「雪降ってるしねぇ」

「仕方ないよねぇ」

そう言って私たちは、はしゃいで遊んでいる3人を眺めていた。


「あー楽しかったー」

「ていうか夏希やろ、俺のコートのフードに雪入れたんは」

「あ、ばれた?」

帰り道。いつもと同じようにみんなで帰っていると、道すがら見慣れた人影が。近づいてみると、学院長先生の執事の葵さんだった。

「みなさんを送って差し上げてと蓮歌から」

「へぇ…。伯母さんが珍しいわね…」

「どうせ恋ちゃんのことだから雪遊びで濡れてくるでしょ、と」

どうも恋のことは学院長先生もよくわかっているようだった。

「相変わらずよく見てますね、蓮歌さんは」

「蓮歌はそういうとこばっかりなんだ。それできちんと仕事してくれれば文句もないのだけどね」

そう言って歩いていると、一台の車が見えてきた。車と言うよりも10人ほど乗れるバスのようなものだった。みっさんがドアを開けてみんなに乗るように促す。みんなは慣れているのかどんどん乗っていった。

「蓮歌さんの好意は受け取っておかないと後々こわいから」

というみっさんの言葉に私も車に乗り込む。みんながベルトをしめたのを確認すると、葵さんは車を走らせた。

「みんなの家は知っているけども、あれかな、清藤さんはあの道場でいいんだよね?」

「あ、はい」

そうして雪の中を走っていく車は、スムーズにみんなを家に送り届け私の家についた。

「あ、やっぱり葵さんも挨拶していきますか」

みっさんが言うと、葵さんもうなずいた。

「まあお世話になったしね」

私が家に入って取次ぎをすると、おばあちゃんもおじいちゃんもすぐに分かったらしく、笑顔で出迎えていた。

「お転婆娘さんのとこで秘書やってるとな」

「ええ、相変わらず蓮歌は変わりませんよ」

「それはそれは、何より」

そうして笑いあう空気はなんだかとても暖かかった。


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