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29、霜月11月 その1 Trick or Treat!

「「「とりっくおあとりーと!!」」」


今日は、ハロウィン。私たちは学院の幼等部の子たちと一緒にハロウィンイベントをしていた。地域と共同した大掛かりなものだ。

「あらあら、かわいい」

と近所の人たちにも大評判だ。子どもたちが思い思いの仮装をして、地域の家々を回る。協力をしてくれる家にはジャックオランタンのイラストが描かれた旗を立てておく。その家を回ってお菓子とシールを集めて回る、ちょっとしたレクリエーションだ。

「ちょっと待っててねー」

始まって数件目。子どもたちだけでは心もとないので、高等部の私たちもお手伝いとして参加していた。もちろん仮装付きで。

「しかし、魔女と魔法使いとはなー」

私の隣にいる柚樹がつぶやく。高等部二人一組で子どもたち数人のグループを見守る。私の相方は柚樹だった。

「まあみんなもおたがいに合わせたような感じだったじゃない」

夏希と真澄は双子のピエロ、夜宵と都はシスターとヴァンパイア、恋と満は悪魔と魔王という仮装だった。もちろんこちらは恋がデザインしたものを着ている。里羅は校内で万が一のときのために待機している。

「はい、これどうぞ」

家の人がお菓子とシールを持ってくる。シールはその場で子どもたちの首にかけられたカードに貼っていく。そしてお菓子をカボチャ型の籠のなかに入れていく。お菓子は安全を配慮して市販のものだ。

「参加ありがとうございまーす」

そう言ってこちらからは家庭部お手製のパンプキンクッキーを渡していく。毎年のことながらこれが好評で、参加する家は年々増えていってるらしい。

「よーし、どこまでシール集まったかー?」

柚樹が子どもたちに声をかけると、子どもたちが思い思いにカードを見せてくる。そのカードはシールで半分ほど埋まっていた。

「よし、もう半分くらいやな。次はどこ行くかー?」

そう言って地図を広げると、子どもたちが周りに集まりここそこと指を指していく。そこに丁寧にしるしをつけながら、子どもたち一人一人に声をかけていく。と、私のマントをほかの子たちより少し小さい女の子が引っ張っていた。

「どうしたの?」

そう声をかけると、その子が泣きそうな顔をしていた。

「あー、らいら。その子ちいと訳あり」

そう言って柚樹が抱き上げてやると、落ち着いたのか笑顔が戻ってきた。しかし、それを見たほかの子たちがうらやましがらないわけがなく…。

「わかったわかった。次の家まではお前とお前な」

そう言って子ども二人を抱き上げる柚樹。

「みんなもやってやるから順番やで。それまでそっちのお姉ちゃんと手をつないでいること」

そう言うと子どもたちははーいと返事をして、私のもとに集まってくる。私の二つしかない手を取り合いながら、なんとか決まったらしく次の家に向かう私たち。

「あらあら、大変そうねぇ」

と次の家から出てきたおばあさんが笑顔で言った。

「ほらみんなせーの」

「「「とりっくおあとりーと!!」」」

「はいはい、ちょっと待っててねー」

そうしてまたお菓子とシール。カードが埋まる頃には、子どもたちも満足していた。


 学校に戻る頃には私も柚樹もへとへとになっていた。


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