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27、神無月10月 その3 ただいま営業中です

「それじゃ、逆転喫茶アヴァランスいっくよー!」

「「「おーー!!」」」


 待ちに待った文化祭の日。どこもかしこも豪華に飾り付けられていて、いろいろ目移りする。外部からもたくさんの人が入ってくる。

「いらっしゃいませー」

私たちの2-Gでは逆転喫茶と名を打って、男女逆転衣装で喫茶店をしていた。お客さんの入りは上々。

「らいらちゃーん。お客さんの入りはどんな感じー?」

まあ、入口でレジ打ち兼客引きをやっているのが恋だから、当たり前な気もするのだけどね…。

「もうちょっと入るよー。そろそろ外にも待合席作る?」

そう言って里羅は椅子を持って廊下に出る。今日はメガネじゃなくコンタクトにして、髪の毛もおさげじゃなく後ろで一つに結んでいる。こうやって見ると雰囲気がものすごく変わっている。

「いらっしゃいませー」

「こちらへどうぞー」

松崎姉妹もすごく様になっている。特に夏希は、持ち前のボーイッシュさが発揮されて中性的な男の子にもみえる。

「ほーら男性陣も笑顔笑顔ー!」

そうやって里羅に怒られている男性陣の顔はみんなひきつっていた。でもなぜかメイド服はしっかり似合っていた。そういう風にデザインされたものではあったのだけど。

「こんな格好で笑顔でいれるかよ…」

小声で柚樹がつぶやくと、みっさんがあきらめたように肩を叩いた。ちょっとガタイはいいけれど、2人とも細身だから似合っていないことはない。そして、一人いない都を探してみると。

「いや、俺男なんですけど…!」

男性のお客さんに絡まれていた。今日もしっかりメイド服を着せられて、瑠衣の手によってメイクを施されて、しっかり女の子になっていた。普通の人なら女の子にしか見えないと思う。

「いやいや、冗談だろ。そのハスキーな声もかわいいよ」

どうも大層性質の悪いお客さんらしく、いつまでたっても都を離そうとしなかった。私がおろおろしていると、恋が早歩きでやってきて、都の腕をとる。

「すみませんね。まだお仕事があるので」

女子の中でも背が高いモデル体型の恋に上からにらまれてお客さんたちも黙る。その隙を恋は逃さず、都を私に押し付けると、みっさんに見張っておけと頼んで足早に廊下をでていった。

「都、大丈夫?」

私が聞くと、都ははっと気づいたような顔をしてから笑顔になった。

「おーう、大丈夫だ。気にすんな」

と、そこへ恋と里羅も駆けつけてきた。

「ごめん都。私調子乗ったわ」

「大丈夫?」

そんな二人の様子に心外だと言わんばかりの顔で都は言う。

「大丈夫だから気にするなって。まあしばらく夜宵と裏方やってるよ」

そう言って教室をカーテンで区切った反対側へ行く。そこでは数人がお客さんに出すものを準備したりしている。

「校内だからって甘く見てたわね」

恋が苦々しくつぶやく。そして私の表情に気付いたのかはっとしたようにこちらを向いて笑った。

「ああ、さっきの連中は生徒会に丁寧に引き取ってもらったから大丈夫よ」

そしてひらひらと手を振ると自分の持ち場に戻っていった。

「恋ちゃんがあそこにいるのって客引きのためだけじゃないのよ」

あとで里羅がこっそり教えてくれた。


 こうしてちょっとした事件のあった文化祭だが、終わった後もまた事件が待っていたのだった。


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