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22、長月9月 その2 体育祭

夏の暑さも落ち着いてきた、9月の半ばよりちょっと前。そう、今日は体育祭。先輩方も私たちも恋がデザインした衣装を着ている。

「ふふふ~。やっぱ似合うなぁ~」

恋は朝から上機嫌だ。自分がデザインしたものをちゃんとイメージした人に着てもらえるのはやっぱりうれしいのだろう。

「青だから人魚っていうのはベタだね」

都が振り返り振り返り自分が着た姿を見ながらつぶやいた。そういう男子の衣装はみんなそろいのよくある和服っぽい感じ。反対に女子は崩したミニ浴衣のような感じ。動くことも考えられていて、意外と動きやすい。とそこへ先輩が飛び込んできた。

「恋ちゃん恋ちゃん、これお願いしていい?」

そう言ってきた先輩の手にあるものは、幅広の和柄の帯風のリボン。それを恋に手渡す。恋はそれをさっと先輩の腰に巻くと手早く結んだ。

「相変わらず手際いいわねぇ。ありがと。みんなも似合ってるよっ」

そう言ってまた走り去っていく先輩。その姿にあっけにとられる私たち。そんな中、恋がぽつりと私がデザインしたんだから当たり前じゃないとつぶやいた。


 グラウンドに行くと、すでにたくさんの人がでていた。色とりどりの衣装とパネルに圧倒される。

「らいらちゃん、大丈夫? ぼーっとしてるよ」

里羅の言葉にはっとする私。柚樹が笑って言う。

「まあここまで派手なのはうちくらいかもしれんなぁ」

「まあ、あの学院長じゃ」

「そうなるんじゃない?」

夏希と真澄ものんびりと眺めながら言う。そんな夏希のもとにみっさんが来て、耳打ちすると、夏希はぼんやりした表情からきりっとした表情に変わってみっさんと一緒に走っていった。柚樹もそれに続く。

「あー、リレーの最終調整かぁ」

真澄が相変わらずぼんやりと言う。後ろから夜宵も無言でついてきている。ここ数日不機嫌だったのだが、理由を聞くと体育祭に参加したくなかったらしい。なんとも夜宵らしいなと笑っていた。

「なんだかんだで夜宵も最後は騒ぐんだから問題ないわよ」

恋はそう言っていたけど…。

「ん? ああ、らいらちゃん。心配しなくていいよー。いろいろ恋も頑張ってくれたようだからね。私は競技に出なくていいから気楽なものだよ」

そう言っているが、手持ちのiPadの持ち込みを禁止されたのか、若干不機嫌が残ったまんまだった。

「そうよー、ちょっと頑張って先輩方と交渉したんだから、それくらい譲歩しなさい」

恋が口をはさむ。そう言いながらもほかの方に気が向いているらしく、すごくルンルン気分だ。

「うふふー。みっさんと夏希が私の衣装を着て走るのかー」

これが1番楽しみそうだ。1番の目玉はやはり最後の軍対抗リレーなのだろう。衣装も着ているから圧巻なんだろうな。

そして競技は着々と進む。


 そして最後の競技、軍対抗リレーとなった。私のクラスからは、みっさんと夏希、柚樹の3人が出る。夏希から聞いた話だと、先輩方も後輩たちもそれなりに俊足を誇るメンバーがそろっているらしい。

「相変わらずなっちゃんはアンカーなんだね~」

真澄が手を振っている夏希に手を振り返す。アンカーには軍色の鉢巻が渡されていた。夏希はそれを額に巻いている。

「まあうちの学校一の俊足だもんね」

恋も納得したように手を振っている。手前の方では柚樹がストレッチをしていた。後ろから先輩に声をかけられている。

「そういえば、都…」

「ん、なんだ?」

「あんた一応サッカー部なのになんでリレーに出ないのよ」

「そりゃあ、お呼びがかからなかっただろ」

恋の言葉に都が答える。確かに普段スポーツしている都のほうが速そうな気がする。

「まあ、最近忙しくてなかなか部活出れてなかったからな」

都が頬をかきながら、言葉を続ける。それにふーんと返しながら、恋は視線をグラウンド中央に戻した。そろそろ始まるようだ。

「いっけー柚樹―!」

スタートの合図とともに走り出す選手たち。その中でも、青い衣装は群を抜いて綺麗に見えていた。先輩方の私たちとちょっと違う衣装も、走る姿に合わせて美しく輝く。そしてみっさん最後に夏希に渡されるバトン。気が付いたときには夏希はゴールテープを切っていた。


 そして華やかな色彩に包まれて、体育祭は終わった。


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