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21、長月9月 その1 体育祭その前

「なんで私、こんなことやってるんだろ…」

恋はそうつぶやいて机に突っ伏した。


 時は9月に入ってすぐ。夏が終わったはずなのにまだ暑い日が続く中だった。私たちの学校は体育祭が9月にあるため、すぐに準備が始まる。3年生はすでに夏休みから始動しているらしいが。

「で、先輩方に呼ばれて行ったら、これを任されたと…」

そうあきれたように言う里羅。言われている恋の手元には今年の軍カラーのモチーフのパネル用イラストとストーリーが書かれた紙が置いてあった。

「衣装デザイン…。まあ適任と言えば適任よね…」

恋が自分の会社の服飾をデザインをしていることは周知の事実なため、こうやって頼まれることがあるらしい。

「へえ…、今年は青かー」

夏希が恋の手元を見ながらつぶやく。その姿を見て、恋は思い出したように言った。

「あ、夏希。そのうち先輩方からリレーの招集かかるからね。あとみっさんと柚樹も」

その言葉にぎょっとしたように振り向くみっさんと柚樹。夏希はまあだろうなと言って席に戻り問題集を開く。

「先輩方にもいたやろ、スポーツ特待からのG組」

柚樹があわてて、言う。恋はその言葉にうなずきつつ言葉を返す。

「いることにはいるけど、こっちにもお鉢が回るでしょうね。先輩方より早いのが何人もいるんだから」

「まああきらめて招集に応じなさいな」

恋の言葉に里羅がたたみかける。それにはみっさんも柚樹もため息をついてあきらめざるをえなかったようだ。

「よし、じゃあ私は私でやることやりますかー」

そう言って、冒頭に戻る。


「で、なんでこんなこと仕事でもないのにやってるんだろう…」

それは先輩方から頼みを受けてから3日後のことだった。恋はいまだ衣装デザインを考えている。

「テーマが決まってるから描けると思ったんだけど…」

そう言いながらもさらさらと何かを描いていく恋。しかし、描きあげたそれを眺めると、首をひねって破った。

「え、恋なにやってんの!?」

「んー…。なんか納得いかなくてねぇ…」

そう言ってまた机に向かう恋。みっさんがそばで耳打ちしてくれる。

「恋はこういう仕事は納得いくまで切り詰めるタイプだ」

それに納得したようにうなずくみんな。恋はまた溜息をついて机に突っ伏す。と、そこへ3年生の先輩がたずねてきた。

「恋ちゃん、できてるー?」

そう言って周りを気にせず教室に入ってくる。そして、突っ伏している恋の頭を撫でて言った。

「やっぱ恋ちゃん行き詰っちゃった?」

「やっぱって予想できてたんですかぁ…」

恋は恨みがましそうな目をして、顔を上げる。先輩は笑顔で答える。

「まあ一応私も恋ちゃんのとこのブランドが好きでね。だからまあわかるのよ」

その言葉に里羅が一人納得したようにうなずく。

「まあ、なんだかんだ着る人のこと考えて描いてるよね、恋」

その言葉に照れたようにそっぽを向く恋。先輩も笑っている。

「この子たちに着せるんだから、この子たちに着せたいものを描けばいいわよ」

そう言って先輩は私や真澄、都の肩を叩く。それを見て、恋ははっと顔を上げて思いついたように何かを描きだした。

「…私たちの軍だって忘れてたようね」

そうつぶやくと先輩は、出来上がったら持ってきてねと言い残して教室を去っていった。その姿を眺めていると、恋ができたと顔を上げた。そこに書かれたいたのは、私たちの衣装となるデザインだった。

「これでなんとかなりそう~」

恋は気が抜けたように机に突っ伏した。夏希と真澄がお疲れーと声をかける。


 もうすぐ体育祭です。


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