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しっぽっぽー

絶賛台風の影響の豪雨中です。音楽かけても何もきこえましぇん。

『そうだよ、慣れてるだろう?』

「いや…慣れてはいますけど、女の子ですか…」


コンスケとは、以前俺がモーションを撮り、実際にとあるゲームで使用されたキャラクターだ。頭の上に突き出した三角の金色ががった色の狐耳、同じく金色の髪の毛。『の』の字を描いてお尻から頭の辺りまで伸びている狐のもふもふ尻尾も金色。背は小柄で可愛らしい感じの女の子だ。俺の姉ちゃんの凶暴さとかの存在全てひっくり返したら出来る感じだ…。女形おやまも演じた事はあったけれど、可愛らしい感じの女の子の動きをお願いされて相当苦労した覚えがある。その分かなり愛着のあるキャラクターだ。デザインを決める時も色々と俺自身の好みを反映させてもらっている。まさか自分がそのものになるとは思わなかった。ちなみに女の子なのに、コンスケという名前は、俺の名前のユウスケに狐の鳴き声でコンスケらしい。社長は結構安直なネーミングセンスだ。


アクション関係の仕事をしていると、モデルさんと一緒に仕事をする機会も多い。が、色々とこっちも気を配らないといけないから正直あまり異性として恋愛感情はもてない。一度中身も凄く素敵で惚れ込んだ人もいたけど、酒癖悪くて背中に寝ゲロされ一気に淡い気持ちも冷めたもんだ。そんなもんだから、あまり身近にいない妹系キャラがいいと社長に頼みこんで、こういう感じにしてもらったのだ。だって俺の周り背が高くてカッコいい系の女の子ばっかなんだもん…。筆頭は姉ちゃん。


『ユウスケ君が演じた動きの中で、一番世界観にあってたし、何より可愛らしいからね』

「そうですね。最近モンスターの動きとかも多かったですし」


何と無くコンスケである現状を納得させられつつ、社長は続ける。


『さて本題に入ろう。ユウスケ君に試してもらいたいのは、地獄の門までのルートの確認と、正常に動いているかの確認なんだ。併せて通常動作も試す…これはまぁ移動してたら大丈夫かな』

「やることは何でもいいですけど前もって教えて下さいよ。さすがにビビりますよ」


起きたら狐っ娘でしたは、中々衝撃的過ぎる。


『表情も反映するからさ、ビックリした顔も見たくてね。それに精神の取り込みのラグなんかも見たかったから。予備知識がない人間でもラグはなしだね』


自分がコンスケになってるなら口調も女の子らしく変えた方がいいかもしれないが、面倒なのでそのままだ。すまぬコンスケよ。


「でも、地獄の門ってなんか凄そうな物入れましたね」

『あぁ、あれだよロダンの地獄の門』


RPGの世界的なのを想像してたら、いきなり芸術作品だった。


『世界に七つしかない未完成の芸術だよ!あれを上野の美術館で見た時にビビッと来てね。モチーフとして使わないわけにはいかんと。静岡にあるのも、その後に見に行ったんだよ』


お金払わなくても外から見えたはず。あそこの辺りで芝居の手伝いする時に、通りがかりに見た気がする。しかし凄い熱意だ。このまま語られても大変だし、今後の進行を聞いておこう。


「えっと、とりあえずどっちに向かえばいいんですか?」

『そこから見える範囲で、針みたいに尖った山はあるはず。そこの山の頂上付近に洞窟があるから、その中を目指してほしい。もしあまりに移動に時間がかかりそうなら助けを出すよ』


早速その山へと向かって歩き出す。尻尾が付いているから、歩くのに邪魔でないといいけど。歩いてみると結構バランス取れる。服は動き易い様にショートパンツに、足元はしっかりしたスニーカーみたいな靴だ。実用性よりも趣味を優先されたら動きづらいところだった。視界がいつもより低いし歩幅も狭いけど、普段の自分から感覚を修正してく。歩くたびに尻尾が少し左右にフリフリ動くのはなんかいいな。後ろから見たら絶対ニヤけると思う。


「そういえば社長はどういう感じでそっちから見えてるんですか?」

『あぁ、このチャットウィンドウがそのまんまディスプレイになってるよ。だから前を塞がないでね。文字が出てる方が前だから』


やり取りや、頭の中で考えている事はいつも通りなんだけど、違う人間の違う身体で見えている世界は新鮮だ。いる世界自体も違うから尚更だけど。辺りの木々は落葉樹ではないのか、あまり葉っぱは落ちてない。普段なら多少の段差でも何でもないけどコンスケの身体だと丁寧に進まないといけないな。

モデルさんとアクションチームは結構絡む事が多いそうです。寝ゲロの件は知り合いの実話を元にしています。合掌…


2013/03/15 修正

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