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これも日常?

コンスケさんが若干暴走回です。何故か書くのが楽でした。

「コンスケさん。明日は何とお店は休みだね。稽古も休みにしよう、うん、そうしよう。いっぱい寝てていいからね。うんうん」


明日は大熊亭がお休みの日。これからゆっくり寝ようとしてた私の部屋に急にやってきたユウスケさん。何やら物凄く怪しい言動をしながら、目が泳いでいる。尻尾も何かばたんばたんしてるし…。


「怪しい…」

「ナニヲイッテルンダー、コンスケ=クン。僕は あいむ ふぁいん せんきゅー あんど ゆー だよ?」


意味の分からない事を言って、ユウスケさんはそそくさと二階の自分の部屋に帰っていった。私はきちゅねさんと顔を合わせて、「?」を頭に浮かべつつも、とりあえずベッドに潜り込んだ。




翌朝。二階からごそごそ聞こえる音で目を覚ました私。いつもよりはゆっくり眠れたなーと思いつつ、きちゅねさんと一緒に三回の屋根裏の私の部屋の窓から、外をそっと見てみると、ジャージ姿のユウスケさんが音を立てない様に扉を開けて、こそこそと村の商店街の方へと歩いていくところだった。


「きちゅねさん怪しいね」

「コン」


お互い意気投合した私達は、いそいそと着替えると、ユウスケさんが向かった村の中心へ追い掛けていった。




まだ朝もやが少しかかっている村の商店街は、この前お芝居をした広場を中心に、その周りに色々なお店が揃っている。私がよく行くのは雑貨屋さんと、マスターの喫茶店だけど、ユウスケさんはどこに行ったんだろう。こそこそしながらきちゅねさんと一緒に物陰から辺りを見ていたら、八百屋のお兄さんから話しかけられた。


「おうコンちゃん。何怪しい動きをしてるんだい?新しい買出しスタイルかい?」

「あ、おはようございます。えっと…」


話しかけられてる間に、ちらっとユウスケさんが見えて慌てて追い掛ける。


「あーうーごめんなさい、また今度~」

「ココーン」


ポカンとしている八百屋さんをその場に残して、わたわたとユウスケさんについて行く。ユウスケさんが歩いて来た方向から、さっき行ったのは雑貨屋さんかな。用意してた鞄に何か買った物を入れて嬉しそうだ。きちゅねさんとコソコソと物陰から見てたら、ユウスケさんがいきなり振り向いた。慌てて地面に身体を伏せて、素早く壁に向かって転がる。壁際にいるきちゅねさんを潰すように私も壁に張りついた。白い壁だから多分大丈夫…ばれてないはず。ユウスケさんは気付かなかったみたいで、その後もやたらと辺りをキョロキョロと見ながら、角を素早く曲がっていった。


「きちゅねさん!見失っちゃう!」

「…コ…コン」


私と壁と仲良くしていたきちゅねさんをはがして、慌てて角を曲がると、そこに見えたのは…。




「あれだよ…コンちゃん。のぞき見は駄目だよー」

「は…はぁ…」

「……コン」


そこは服屋さんでした。ユウスケさんが物凄い照れて、何だかよく分からないテンションで、顔真っ赤にしながら店員さんにサイズを計ってもらってる。私もきちゅねさんも、呆然。だって…だってユウスケさんがこんな女の子女の子したお店に来るなんて。しかもノリノリ?で。


計り終えたのか、見るなよ!とかいいながらユウスケさんは試着室に入って行った。しばらくして出て来た時は、可愛らしいロングのスカートに、ブラウス。頭にはちょっと大人ぽいカチューシャまでつけてて、『ザ・お姉さん』って感じ。思わず見とれちゃった。きちゅねさんも口が開いたままになってて、慌てて私が両手で口を閉める。意気揚々としたユウスケさんはそのまま着て行くみたいで、ジャージを鞄に仕舞いながらお金払ってた。と思ったら、店員さんに笑顔を振り撒きながらも私の手を取ると、超高速で村はずれに向かって引きずっていった。




「…何で…コンスケもきちゅねも来てるんだよ…」


今更ながら思い出して改めて照れたのか、顔を真っ赤にして、ブラウスの裾をいじりながらこっちを見てくるユウスケさん。どうしよう可愛い。


「えっと…ほら…あれですよ…サンポ…朝の散歩~です。ねっきちゅねさん!」

「…コ…ン」


私が目で話を合わせる様にときちゅねさんを見ると、怯えた目で私を見てる。って私そんな怖い顔してないはず。


「ユウスケさんだって、何でコソコソと隠れて買物行くんですかー!私だって買物したいしー」


後をつけちゃった自分が悪いんだけど、何か無理矢理聞いてしまう。だって…明らかに私よりも可愛らしいですもん!


「えっと…ほら…だって…あれだよ…。こっちの普段着あんまりないし、ちょっとお金貯まったから…オシャレしてみようかな…何て」


あっちだとこういう格好出来ないし…とか上目遣いで言ってくるユウスケさんは可愛い過ぎて、自分と同じ顔のはずなのに、ナンデスカコリャー!ズルイデスゾコリャー!

あ、きちゅねさんが、コソコソと離れてく。いけないいけない…すまいるスマイル。


「コンスケ…笑顔が怖いよ?」

「ムキャー」


これが嫉妬という感情だと初めて学びました。




とりあえず、二人と一匹でせっかくだからと串焼き屋さんとかを冷やかしながらテクテク散歩。何かいつもよりも、人から見られてる気がする。


「そういえばユウスケさん。服なら『シャチョー』さんに言えば『ノーヒン』してもらえるんじゃないですか」

「いや…あの…」


またゴニョゴニョし始めた。今日は何か随分照れるなぁ…。仕方ないから耳を近付けるとすごーく小さな声で凄い事を言いました。


「…いや…あの…胸が大きくなったみたいで…」

「なんですとぉぉお!」


その時の私の叫びは、そりゃもう村中に響いたとか、後でお客さんに聞いたのでした。

最近始めたトレーニングが効果あったかもしれない…と、言うユウスケさんの言葉を聞き、広場で早速そのトレーニングを始めたのは言うまでもありません。双子なのに何で!何で差がががが。



リーフタウンの女性陣に、『狐姉妹によるバストアップ体操』が流行るのに、あまり長い時間はかからなかったそうです。

コンスケさんはお休みの日はよく寝ています。ユウスケさんは、トレーニングしています。その差という事で…。ちなみに村では二人はそれなりにモテテいます。気付いてないんですけども。

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