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そんな日常。

ちょっと本編が進まないので、おまけ的に温めていたストーリーを載せてしまいます。ついでに、ちょっと本編も補完する予定です。

「もっと真っ直ぐ立って…、よしそのまま素振り10回!」

「うぐぐぐぐ…」


真っ直ぐ綺麗に立って、木刀を持つ。姿勢を意識して、木刀を持ってるだけでも辛いのに、その上で振るだなんてかなり苦しい。でも頑張るって決めたし、自分からユウスケさんに稽古つけてって言ったんだもん。お昼の酒場の営業前のちょっとした空き時間に酒場の裏で、思い切り木刀を振り下ろす。真っ直ぐ振り下ろしたはずが斜めにギザギザの線を描いて、へにゃっと地面に近付く。うーん上手くいかない。ユウスケさんが横で、お手本を見せてくれる。


背筋を真っ直ぐ、一本棒が入っているイメージ。腕に負担なく、軽く握る。そして振り下ろす時にギュッと握りこむ様にして真っ直ぐ綺麗に。うーんビュっといい音がするし、身体もぶれてない。


それにしても、何回失敗しても全然怒らないで丁寧に教えてくれるし、細かく褒めてくれるから頑張ろうって思えるし、いい先生だなぁ。聞いたら教える事も多いから慣れたんだって。


そういえば、ユウスケさんも初めから出来てた訳じゃないって言ってたけど、一番初めはどうしたんだろう?思わず聞いてみたら、ちょっと考える様な顔して、話してくれた。




うちは、まぁ親父が元々自衛官やってたんだけど、何か色々あったらしくて、いきなりアクション俳優の事務所を立ち上げたんだよな。で、まだ小さかった俺と姉ちゃんも、強制的に稽古つけさせられて、基礎を学ばせられたんだよ。自衛隊って何かって?あーあれだよ首都の騎兵隊いるじゃん?あんな感じで守りだけする人達…守備隊だな。

で、親父は自衛隊に居た時に、後輩で一人アクションの活動をしていた人がいたらしくてな。その人に自衛官として教育をして、逆にアクションに興味があったから、後輩から色々教わってたみたいなんだよな。


で、話戻すけど、親父は基礎部分とかも元々身体動かす事してて、覚えが早かったみたいでサクサク覚えたんだけど、俺らに教える時って「見取り稽古」ってやつだったんだよな。


要はあれだよ、「見て覚えろ」ってやつ。

一切教えない。三回だけやるから、それを必死に覚えて真似して覚えろってやつ。きつかったよー。そもそも袈裟がけで切れ!とか言われても、何の事なのかも分からないし。ちゃんと教えてくれよ!って思ったし、何よりも出来ない自分が悔しくてさ。姉ちゃん?あぁ姉ちゃんは何故か一回で全部覚えてんの。何だそれって思ったよ。ああいうのが「感」がいいというか、「才能」とかって言われるんだろうな。


とりあえず、家帰ってから色々調べたよ。動きの名前とか、動かし方~とかな。翌日からも稽古は続いたけど、基礎を覚える段階から、動き・型を覚えるのがメインになったから、どうにかついてけたかなぁ。


親父はとりあえず自分が結構器用なのも気付いてないから、「出来る人間の教え方」しか出来ないんだよね。俺は覚えも悪いし、不器用だから、少しずつ覚えていく感じだけど、中々気付かないみたいだよ。


「何で出来ないんだ」


これしか言われないと中々きっついよ。まぁ俺の言う事何て親父には聞いて貰えないし、こっちはひたすら頑張って追いつくしかなかったかな。気付けば一通り覚えて、それなりになってた感じ。今ではたまに俺も余所に教えに行くこともあるけど、なるたけ丁寧に教えるし、怒らない様に気をつけてるよ。って完全に途中から愚痴だなぁ。すまん。




そうやってちょっと寂しそうな顔した後、謝りながら、ユウスケさんは軽々と木刀を振って見せた。筋肉も多少関わるけど、基本は慣れと、型を身体に覚えこませるのが必要なんだって。


「実際の自分の身体と違うからさ、身長や腕の長さや何かも違うから違和感を感じない位馴らしておきたいし、後は日課だったからな」


空中に印でもあるのかと思う位、綺麗に何度も振るユウスケさん。その道を極めると舞いにも見える事があるって前にM.Dさんも言ってたけど、素振りから、色々な型を流れる動作でやっていくユウスケさんは、まさにそんな感じでとても綺麗な動きだった。自信持っていいと思うけど、自分で満足しないとこういうのは駄目なんだろうな。そう思って、私も横で頑張って木刀を振り始めた。


何だかんだお父さんに認めてもらいたいんだろうな。私はお父さんとかいないけど、誰かに認めてもらいたいって気持ちは何となく分かる。いつかユウスケさんがお父さんと、ちゃんと言いたい事を言い合える

様になったらいいのにな。




この後のお昼の仕事で筋肉が何か痛いなと思ったら、私だけ筋肉痛になりました…まる。

もう少しおまけ話を続ける予定ですー。

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