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こんにちわ赤ちゃん私がママよ?

湿気で頭が痛いです…。台風イヤーです。

コンピューターが並ぶ無機質な部屋。10人位は入れるだろう部屋も今は無人だ。冷房が効いているのか、一層寒々とした気配を感じる。社長はそこを素通りして奥のロッカールームらしき部屋に俺を案内する。


「とりあえずこれに着替えて」

「全身タイツ…って、まだ何か動きのキャプチャーありましたっけ」


モーションを撮る際に、余計な物が映らない様に身体にぴったりとした物に着替えるのだけど、それよりは少しゆったりしている感じだ。着替え終わるとさらに奥へ。今度は幾つかの小部屋が連なっていた。インターネットカフェみたいに小さな部屋にカプセルがそれぞれ一つずつ設置してある。多分このカプセルの為の部屋なんだろうけど、これって…。


「ベッカムカプセルですか?」

「そうそう、やっぱりユウスケ君は知ってたか」


スポーツ選手が怪我の治療等で使う酸素カプセルだ。高濃度の酸素を効率良く身体に取り込ませる事で、傷の治りや、疲労回復を早める効果がある。30分幾らとかで酸素バーなんて物も最近は見かけるけど、利用料金結構するし、これそのものを買うと凄い高価なんだよね。サッカーのベッカム選手が使って話題になって【ベッカムカプセル】と呼ばれる事もある。


「使わせて貰えるのはありがたいですけど、ゲームには関係ないですよね…?」

「まぁいいから入ってごらん」


釈然としない物を感じながらも、最近疲れが溜まってたなとカプセルに滑りこむ。何度か使った事あるけど、よく眠れるんだよね、これ。


「じゃあ行くよ…。楽しんできてね…」


いつの間にか部屋から出ていたらしい社長の声が、カプセルの内部スピーカーから聞こえてくる。


「え…?楽しむって…」


酸素が漏れないように気圧が変化し始めるプシューという音が聞こえ、同時にゆっくりと視界が明滅する。あまりの眩しさに目を閉じた所で………







………………………………







身体の暖かさに目を開ける。まぶたを開けると視界一面の緑。随分としっかりした木々だ。都会の公園に生えてる様なレベルじゃなくて、人の入らない山の中に生えている様に大地から根強く伸びている。そして何故か俺は切り株の上に寝ていたらしい。俺が丸まって寝れる位だから、この切り株も元々は随分と立派な木だったんだろうなぁ…。しかし、今更ながらここはどこなんだろうか。


「社長~!!何なんですかここは~?」


周りに人の気配もないけれど、とりあえず声を張り上げてみる。何だかいつもより声が高い。しかも視界が低い気がする。すると急に『Pi』という電子音と共に顔の目の前に半透明な板の様な物が現れた。


「うひょあ~!」


唐突過ぎて、随分と妙な悲鳴を上げてしまった。


『アローアロー。ユウスケ君聞こえているかい?』

「聞こえてる…というか文字が見えてますよ。これ…チャットウィンドウですか?」


飲み込みが早くて助かるとでも言う様に、上下に動く板。まさか俺がいるのはゲームの中とか言いませんよね…。


『正解!説明必要なさそうだね。これが開発中の新作ゲームだよ』

「ゲームって…臨場感ありすぎですよ!というよりも本物にしか見えないですよ!」

『今の君にとっては本物だよ』


驚いて固まった俺を見ながら文字が素早く表示されていく。


『こちらの…酸素マシーンの中で寝ている君の精神・考え方のパターンや思考経路等をコンピューターで取り込んで、そちらで再現させているんだよ。そこに今いる君は現実と全く同じ様に見たり聞いたり感じることが出来る』

「じゃあ酸素マシーンの中の俺が今起きたら、ここの事は何も覚えていないんじゃないですか?だってそっちの俺自身からすると、寝て起きただけですよね?」

『セーブ機能を使えば大丈夫。終了時にそちらで経験したことを、こちらの記憶とくっつけるから、ちゃんと記憶として反映させることが出来る』


それってとんでもない技術なんじゃ…でも、少し恐ろしいな。


『とりあえず、早速実地で色々確認してね』


『Pi』と、またさっきの電子音と共に、どうやら俺らしき人物の全身が目の前に表示される。それを見て思わず叫んだ俺の声が、静かな森に広がった。


「…って社長!これコンスケじゃないですか~」

ベッカムカプセル=酸素カプセルです。

酸素吸うだけの機械もありますが、カプセルだと、気圧を変えて外に高濃度酸素が漏れない様にして、しっかりと全身を酸素で満たしてくれるので非常に疲れが取れます。今欲しい・・・・・。


2013/03/15 修正

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