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…を抜けるとそこは雪国

大変遅くなってしまいました。コーラルタウン編書きあがったので投稿します。

目を開けたらそこは銀世界だった。


そんな文学作品をどこかで習った気がするが、現実にいきなりそこに放り込まれたらブンガク的な気分はならない…。格闘ゲームしてたら雪の中にポーイだなんて、そんな投げ技は反則だ!

横できちゅねとコンスケがまだよく分からずポカンとしてる。お陰で俺は冷静になれた。


とりあえず現状を確認。荒野…というか、一面の銀世界で辺りは人っ子一人いない。コンスケのくしゃみの音が辺りに広がっていく…。荷物は手元にあったので慌てて防寒具を着せる。自分もいそいそと着込む。しかし、スカートで来るんじゃなかった。でもこれが何故か一番防御効果高いんだよな、詐欺だよ…。どっかの巨大なワームの胃袋でも溶けなかった素敵アイテムです。しょうがないからタイツで寒さをカバー。きちゅねの方は天然の毛皮で平気そうなのが羨ましい。見ているとちょっと自慢げだ。


着替えが終わった頃にどこからか電子音が聞こえてきた。着替える時によけておいた携帯ゲーム機が光ってる。飛ばされた時に一緒に持ってきてたんだよな。

電源を切り忘れたかと覗き込むと、文字が出ていた。


『あろーあろー?』

「え?もしかして社長ですか?」

『残念!さっちゃんでした!』


社長の連絡用のと同じ見覚えのある文字のフォントで表示されたのは、さっきまでゲームで対戦していた相手、さっちゃんからのものだった。何でも、さっき咄嗟に転移魔法という、とんでもないものを使用してしまったらしい。


『まさかねー、あんなの出るなんて流石の私もちょっとびっくりー、テヘ☆』


突っ込みどころ満載だが、必要な情報を確認すると、ここは現在ツリータウンや王宮のナイルシックスよりも遥か北、コーラルタウンの近くだそうな。目的地に一瞬で行けたのはいいけど、何か間違ってる気がする…。そもそも魔法は妖精しか使えないはずと思ってたら、さっちゃんは神レベルだからね!と返ってきた。


この端末は携帯ゲーム機だけど多機能らしく、何と地図機能まで搭載されているという事で、座標を確認し急いで街を目指す事にする。元々ツリータウンで一泊する予定で少し遅めに出てきていたから、もたもたしていると陽が落ちる。吹雪いていなくとも、雪中行軍は相当厳しいと昔親父にも聞いた事があるし。


陽はまだあるが、きちゅねに乗って街の方向へと走り始めてすぐに、空が暗くなり、雪…そして風も混ざると吹雪へと変わっていった。視界もかなり悪いが、時々手元の端末を覗き方向を指示する。寒さになれていないのか、コンスケが時々寝そうになるのを、声をかけつつ町を目指した。



☆☆☆



「ここ…なのか…?」

「何の気配もありませんね…」


吹雪の中に建物群が見え、喜び勇んでいた俺らだったが、そこは門も開かれたまま、人の気配はおろか生き物の気配もまるでない町だった。きちゅねを降りて二人と一匹で町中を見てまわったが、誰も見付からない。吹雪の音と俺達の足音だけが無人の町に静かに響いている。


「本当にここなんです?何だか怖いです…」

「座標は合ってるんだけどな…」


本来、人が住むべきはずの場所に、あるべき主だけがいないというのは、寂しさ…いや恐怖すら感じる。コンスケやきちゅねがいるからいいが、俺も一人でこの中を歩けと言われたら正直断りたい。まるで墓地の中でも歩いている様な薄ら寒さを感じてしまう。


「ココン!」


きちゅねが何か気付いて、町の奥へと走りこんでいく。置いていかれては困ると二人して慌てて後を追いかける。きちゅねがそのまま入って行った所は町の奥にあった古い教会だった。



「…誰か…いませんかー…」


もうだいぶ陽が傾き、暗くて奥まで見通せない。そして教会の中も町中と同様に人の気配はしない。俺が出した声はある程度の広い空間に広がっていったが、返ってくるのは自分の声の反響だけだ。きちゅねはさらに奥へと進んで行く。俺達が追いかけていくと、祭壇の裏側で待っていた。


「きちゅね、どうしたんだよ?」


きちゅねはこたえずに、何かを警戒する様に身体を低くして、尻尾を広げている。


「ユウスケさん!コレ!」


俺達の目の前にあったのは、六つ目の地獄の門。そしてそれを守るかの様に、立ちはだかる巨大な氷の塊だった。




☆☆☆




陽がもう間もなく落ちようとしている。狐火で何とか明かりを確保する。発見した氷の塊は門を完全に塞いでいた。きちゅねの狐火や俺の持ってる刀でも全く歯が立たなかった。せっかく地獄の門の一つを見付けたというのに触れないとは…。一通り試した俺の横で、今日のどたばたで疲れたのかコンスケがウトウトしてきている。とりあえず、他の家も空き家の様だが、このままこの教会で泊まらせてもらおう。神…この世界の竜の神も許してくれるだろう。


そう思い、何となく祭壇に飾ってあった竜の像を撫でた。その時だった。


【…ダレカ…ソコニイルノカ…】


背中側…氷の塊から声が…?これが語りかけているのか?


【ソチラノコエハ…ワカラヌユエ…ワレニフレヨ…】


言われるがままに、俺らはペタリと氷に触れる。そして意識がブラックアウトした。

某竜を探す旅の四作目の2章は怖かったです。あのひと気の無さが…。書き溜めた分毎晩連続投稿します。

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