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稽古と学ぶ

今回かなり短いですが、区切り的にここで投稿します。

先に軽くイタリア語の説明。特に気にしなくても読めます~。

「Si シィ」→はい。「ミ ピアーチェ」→好ましい・好き。「レジオネ」→レッスン。「カンターレ」→歌うように(のだめカンタービレってありましたね)。

「そこで回って…スモルツァンド!うん、シィ!」


半分位しか言っている事が分からない状態なのに、無理矢理お芝居の練習が始まった。いないなぁと思ってた妖精さんは、M.Dさんの帽子から時々出て来て通じない言葉を訳してくれる。親父さんの手の平位しか身長がなくて、透明で綺麗な羽が生えてる。女の子だって。この娘も緑色の服着てるけど、ド派手な感じはしない。M.Dさんの服は見てるだけで目がチカチカする…。


私とユウスケさんがそのまま食堂のテーブルを端に寄せて練習の為に捕まったている間に、二階に上がったS.Dさん達は、何やら紙を手に持って出て行った。後で親父さんに聞いた話によると、既にこっそりとチラシは作られていて、これを配りにいったらしい。村の人達も実は昨日には知らされていて、用意を始めていたそうだ。そういえば昨日の夕方にお出かけしたら広場に何か大きい物が用意されてた気がする…。


動きや台詞が少ないからという理由で、私が騎士役で、ユウスケさんが姫役らしい。逆じゃないの?って思ったけど、まぁお芝居自体初めての私だから文句は言えない。人前で何かやるなんて緊張するなぁ…大丈夫かなぁ。

今はユウスケさんがメインの練習の時間なので、私はようやくお休み。台本を持ちながら、たどたどしく台詞を口にする私と違って、ユウスケさんは何も持たないでやってる。嫌がってたワリにはノリノリだぁ~。


「お疲れ様ーー。はいお水」

「あ、S.Dさん。ありがとうございます」

「どう?はかどってるー?」

「う~~ん。ユウスケさんは大丈夫そうだけど、私が心配です」

「まぁ、初めての事だし、しょうがないよー」

「そうなんですけどね。そもそも台詞覚えられるかな…」

「そうだねーー。目で見て字面で覚えるか、音として耳で覚えるか、後は書いて覚えるか…」

「うぅむぅ~~。私は耳かなぁ」

「やっぱり耳が大きいと音の方がいいのかなー?」

「そんなもんですかね~?」


二人でそんな事を喋ってたらユウスケさんも休憩になった。M.Dさんと二人で息が荒い。激しいなぁ。


「おっすS.D。俺も水頂戴。あ~久々にしっかりと声出したわ」

「お疲れー。頑張ってるねー」

「まぁ、やれと言われたらやるのが役者だからね。俺はどっちかつーとアクター系だけど、やっぱりやれと言われればやるさね。親父の知り合いにもさ、真冬にやれと言われて川に飛び込んで凍死しかけた人もいるし」

「根性だねー」

「根性というか魂というか」

「そう、まさにスピリィィト!」

「M.Dさん休憩しましょうよ、さっきからあなたも全開で叫んでたんですから…」

「おぅ、スクージィ。ついね、盛り上がってしまうのだよ。しかしシィ、うん。凄くいいよ君達!」

「そうですか~~?」

「まだまだですよ」

「その謙遜が堪らない…。ミ、ピアーチェ…むしろアモーレ、カンターレ、マンジャーレ!」

「まんじゃーれ…あぁ、ご飯ですね。ちょっと小腹が空きましたね。何か摘まみます?多分パンとスープ位はいつもあると思うので…」

「バベーネ!問題ない…。私の心は、はち切れそうだよ!さぁ始めようかレジオネを!」

「レッスン再開ね。元気だなぁ~」

「頑張れー」

「ありがと、S.D達もそっちで何か色々やってるみたいだね?」

「あぁ、うん。僕達もいつの間にか明日の設営の用意とかに駆り出されてるよ。村人さん達もやる気満たんだね。もう舞台の設営とか大体出来たみたい」

「あー娯楽とかあんましないからなぁ。普段はホントに静かな村だし」

「たまにはいいですよね~、こういうの」

「というわけでそっちも頑張れー。うし、M.Dさん始めましょうか」

「シィ。さぁやろうか!」

「じゃあ僕も戻るねーー」


それにしても、お芝居って凄いなぁ。文字で書かれているだけの物を人間が動きを付けたりして世界を表現しちゃうんだから。



暗くなってからも練習は続き、いつもは寝る時間にようやく終わりになった。


「レジオネ、エ、フィニート!稽古は終わりだ…。ヴォルピ!」

「え?あぁ狐達ね、お疲れ様です」


妖精さんがユウスケさんに耳打ちして訳してくれてる。分かる言葉で言ってくれればいいのになー。とにかく長く続いた練習も終わり。明日のお昼に本番だ。大丈夫かなぁ。

イタリア人の人って、何故あんなにパッシオーネ(感情的)なんでしょう?気持ちいいですけどね。単純にテンション高過ぎる人が多い気もします。ラテンのノリかな。大体相槌の様にsi=シィは連発されます。「うんうん」って感じで。真冬に川へ~は、某仮面のバイクの特撮の戦闘員さんの実話です。


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