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帰って来てすぐに去りし日常

短いですが、筆が乗っているので投稿してしまいます

あれから数日…。

コンスケにも言った通り、通常営業…日常が戻って来た。


起きて身支度を整えて、軽くジョギング&木刀の素振りや型の確認。汗を拭いて、お店が開く前にご飯を済ませて、井戸水を飲料用に汲み、エプロンと三角巾を付けてランチタイムに臨む。常連さん達と会話しながら忙しく動き回り、終われば片付けして翌日の用意して賄いを食べて終わり。その後はコンスケと一緒にお風呂入って洗いっこ(主に尻尾)することもあれば、お互い好きに行動してる。夜は深夜になる前に寝て翌日…という感じだ。


最近は、コンスケが朝の稽古に参加する様になったのが、ちょっと変わった事かな。この前の事もあったし、動ける様になっておきたいらしい。基本は俺と同じ身体なので、身体を鍛えるというよりは、身体に動きを覚えこませたり、イメージトレーニングを中心に行わせている。


人間自分の動きを客観的に、意識的に捕らえる事が出来れば、身体作りが出来ていれば動けるもんである。カンだけで全部行う人もいるけれど、やはりしっかりしたイメージというのは大事だ。昔、一緒にCMの仕事した人の話だけど、バスケットのシュートを入れる場面シーンを撮ることになり、何度も練習するのではなく、ボールを触りながら成功したイメージを一週間ずっと考えていたら見事に一発でシュートに成功する事が出来たらしい。とにかく、その位イメージは大切という事だ。


俺の場合は、本来の自分の動きにどれだけイメージを近付ける事が出来るか…というのを中心に稽古をしている。大分体格は変わってるけど、肩幅はそこまで無茶苦茶変わらないのが哀しい。元々なで肩だったからな…。お陰様でたまに女形おやまとかの仕事も来たけど、やっぱり実際に女性の身体になると色々違うのでいい勉強になる。またそういう仕事が来るかは別だけど。




今日も一仕事終えて、二人で賄いを食べていると、おかみさんが血相を変えて俺達の所へやってきた。


「どうしたんですか?おかみさんそんなに慌てて」

「団体さんでも来ましたか~?」

「そう、まさにそれなのよ!なんと団体さんの予約が入ったのよ!」

「えぇ!!」

「何名様ですか!?」

「4名様と、1名様+妖精さんと巨大な荷馬車だそうよ!」

「え?妖精?」

「巨大な荷馬車ですか~?」

「何でも巡業の劇団さんが、王宮への街道が通れなくてこっちに廻って来たらしいのよ」

「へぇ~~~」

「あれのせいか…」

「というわけで休んでるとこ悪いんだけど、二人共手伝ってくれる?掃除は空き部屋も毎日少しずつしてあるから大丈夫なんだけど、寝具の用意なんかがあるのよね」

「あれ…?ちょっと待って下さい…。1名+4名+妖精さんって最低でも5部屋は必要ですよね」

「そうね」

「そーですね」

「一階は親父さんとおかみさんの部屋、2階は俺が今使ってる部屋入れて5部屋、3階屋根裏部屋はコンスケの部屋…。数足りないですが…」

「あ!あら~あたしったらうっかりして予約受けちゃったわ!どうしましょ。こんなに予約入ることなんてないから慌てちゃって…。ついさっき下で受付したのよね。先に一人来て知り合いの分って事で御予約されたのよ…。烏龍亭のマスターさんなんだけど」

「え?マスターが予約?知り合いなのかな」

「まだいるか俺見てきます!」

「あー有難う。お願いねユウちゃん。私ちょっとうちの人と相談してくるわ」

「あーユウ姉ちゃん私が行く!ってもう出て行っちゃった…。じゃあ…私はとりあえず寝具の用意始めてますね」


ドタバタと三人でそれぞれの方向に走る。何やらコンスケが俺に叫んでたけど、もう外に走り出していた俺には聞こえなかった。



全力で走って大熊亭を出ると、のんびり歩いている男の人が見えた。多分あの人かな。


「すいませーん!!大熊亭のものですが…」


くるっと振り返った姿は、チョッキに黒いズボン、黒髪をオールバックにして、銀色の前髪何本かは垂らしてある。何かいかにも喫茶店のマスターって感じだなぁ。多分この人だ。


「何かなユウスケ君」

「はい、あの先程の予約の事なんです……えっ?何で俺の名前を?」

「大熊亭の双子の狐娘の事は有名だよ」

「あ…はい、ありがとうございます。実は予約の事なんですが…」

「あぁ。俺の仲間達が来るんだ。S.Dも来るから是非泊めてあげて欲しいな全員」

「えっ!?それって…」

「俺はB.D…通称マスター。こう言えば分かるかな?敵意はないよ」

「っ!了解しました。用意させて頂きます(俺の部屋にS.Dで俺はコンスケの部屋で寝るかな)」

「もう一人、君にとって新顔が来る。M.Dだ。気を付けたまえ。彼は…天然だ」

「ほへっ!?」

「じゃあよろしく頼んだよ。君もそのうち飲みに来るといい俺が淹れたコーヒーを。H.Dが納品してくれたハーブティーもあるから苦手でも平気だぞ」

「あ、はい。ありがとうございます」

「色々頑張ってくれたまえ…」


そういって大仰に頷くとB.Dもといマスターは去って行った。この街にもいたのか…。全く気付かなかった。しかし…渋いおじ様だな…。



「お帰り~ユウちゃんどうだった?」

「すいません。受ける事にしました。俺の部屋片付けて、使ってもらいましょ?荷物もそんなにないし、コンスケの部屋で寝袋で寝ますよ。それでいいかなコンスケ」

「私はいいですけど、おかみさんは?」

「悪いわねぇ~。私はまぁお客様に迷惑掛からなかったのはありがたいけど、ごめんなさいね、私の早とちりのせいで」

「大丈夫ですよ。この街にこんなに人が来るのも珍しいですしね。コンスケ、S.Dも来るって」

「え!?S.Dさんが?」

「うん、他にもゾロゾロと来るらしい。多分四名様の方は全員俺達の知り合いだと思う」

「あらそうなの?じゃあ余計に歓迎しなきゃだわね」

「あー普通でいいですよおかみさん」

「あらそう?」


多分…あの辺りが来るだろう事は予想出来る。四人って事は俺は会ってない一人にも会えるのか…。確か水晶の谷のC.Dか。やたらと不気味らしいから覚悟しないとな~。

ようやくB.Dさんがユウスケと会いました。実は初対面です。

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