寝ぼけ眼の狐です
2013/04/24 修正
翌日、頑張って朝いつもの時間に起きた俺達だったが、今日は仕込みをするからお店はお休みというありがたい言葉を聞いてそのまま夢の世界へ戻った。改めて起きたら昼を過ぎていた。
「…腹減った…」
これ以上は空腹で眠れない。下りる前にコンスケの部屋も覗いてみたが、きちゅねをハグしながらまだしっかりと寝ていたのでそのままにしておいた。俺と同じ様に腹減ったら起きて来るだろう。
「おはようございます…」
「おはよう、良く寝てたね。随分疲れさせちゃったみたいですまないな」
「大丈夫です。ふぁ~あ…あ! すいません」
「はっはっは、良いってことよ。今夜は二人に給仕だけお願いしたいんだが頼めるかな?」
「勿論ですよ。コンスケ起こしてきますか?」
「起きるまで寝かしておいていいよ。腹減ったろ? パンとスープでいいかな?」
「ありがとうございます、頂きます」
親父さんが出してくれたスープにパンをちぎって浸してもきゅもきゅと食べてると、きちゅねを羽交い絞めにしたままコンスケが下りてきた。
「おはようコンスケ」
「…」
「コンスケ…?」
「…………」
よく見たら目を閉じたままだ。こいつ…寝てるのにパンの匂いに釣られてやって来たのか。コンスケは無言で俺の座ってるテーブルまで来ると断りもなくパンを奪い、立ったままもしゃもしゃ食べ始めた。
「あの~? コンスケさん起きてますか~?」
「…もしゃり…」
駄目だ…。完全に意識がないみたいだ。コップの水も飲んでるし器用過ぎるぞコイツ。
「…コンスケさん、それ俺のご飯なんですが…」
「……ぐぅ………」
そのまま立ったまま固まって眠りだしたし…。駄目だこりゃ。羽交い絞めにされても寝てるきちゅねも凄いけど、可哀想だから外しておこう。
「ハッ! 私は何を!?」
「起きたかコンスケよ…」
「ユウスケさん何で私の目の前にいるんですか?」
「周りをよく見てみろ…」
「あれここ1階? なんで私はここに?」
「寝惚けて下りてきたみたいだよ…。俺の食事を奪いやがって…」
「そんな夢は見ていませんよ?」
「現実で発生した事でございます、お嬢様」
「記憶にございません」
「ネタは上がってるんだ! 覚えていなくても貸し一つな!」
「ひどい!」
「どっちが…!」
「だって…私、今お腹空いてるし!」
「知るか!」
そんな俺達に救いの神が…。
「ほら…パスタ作ったから『二人』で仲良く分けなさい」
アスパラとナスとベーコンが入ったペペロンチーノが舞い降りた。
「おぉ~ありがとうございます」
「コンスケ、きちんと半分ずつだからな!」
「分かってますよ!」
「ベーコン多めな!」
「はいはーい」
コンスケに取り皿に分けさせて、もしゃもしゃり。
「ふー」
「ふ~」
満足なり。
「なんか最近前にも増して二人が似て来てる気がするね」
「そうですか?」
「私こんな食い意地張ってないですよ」
「失敬な! よく食べ、よく動いて、よく寝て、よく育つ! いい事じゃないか!」
「私と同じサイズじゃないですか!」
「それはどうかな…ふふふ」
「まさか…」
また止まらない俺達を止めて親父さんは服を渡してきた。
「もう漫才はそこらでいいから、そろそろ着替えてきてくれお二人さん」
「はーい」
「ほーい。コンスケ行くぞ~」
もう…漫才がヒートアップしていく…。