われをくぐりて汝らは入る
少し特殊な書き方をしてあります。
読みづらかったら申し訳ないです。
2013/04/23修正
気が付くと辺り一面が真っ暗な闇…。目を閉じているよりは少しだけ明るいけれど、自分の手もほとんど見えない。少し離れた所に私以外に誰かがいた。小さな男の子が膝小僧を抱いてうつむいている。なんだかとても辛そう。
どうしたの? どこか痛いの?
ううん…痛いんじゃなくて…辛いんだ…。間違ったことをするな、完璧でなきゃ駄目、いつもしっかりとしてないといけない。そうじゃないと父さんは僕を見てくれないんだ。姉さんも男なんだからしっかりしなきゃいけないっていつも言うんだ。でも、ずっとそういうのでいようとしてると疲れちゃうんだ。でも疲れたらそんなの本当は出来ないから無理しちゃうんだ。ずっとそんな繰り返しで僕、辛いんだ…
私も男の子の隣に座って答える。
うーん。別に見てもらえなくてもいいんじゃない? そんなに無理しなくても、他の事できっと見てくれる人がいると思うよ? 私だったらそんなの疲れてヤダし。
でも、今までずっとそうやってきたから、無理しない事がどういう事か分からんだ。
じゃあ何もしなくてもいいかも。
何もしないの?
うん、何もしないで寝転んでね、何かしたくなったらやればいいと思うよ。私はお休みの時に草原とか森でそうやって転がったりしてるよ。それで雲が流れたりしてるのを見てると気持ちが晴れてくる。空っぽになる。それからその空になった心がやりたくなった事をやるの。誰かに言われたからやるとかじゃなくてね。
でも、そうしたら父さんも姉さんも見てくれなくなるよ…。
そこまでしないと見てくれないなら一度こっちも頑張るのをやめちゃってさ、違う自分を見せたら変わるかもしれないよ。それでも見てくれなかったら…
見てくれなかったら…?
私が見てるよ。私がいなくなっても、見ていた人がいたって思えたら少しは楽にならない?
…うん…きっと今までよりは楽になれると思う。でもいなくなるのはヤダな。一緒にいてよ。
じゃあ、いれる間は一緒にいるね。
…うん…それでいい。ありがとう…。
そこで男の子は初めて顔を上げた。暗いからはっきりとは見えないけど、初めて見る顔のはずなのに私はこの子を知ってると思った。もしくは、とてもよく似た誰かを私は知ってるはずだ。何故か思い出せないけれど。
どこで見たのかな~と腕組みして悩んでいたら、胸ポケットに入ってた何か固いものが手に当たった。マスターにもらったお守りだ。出してみると黒いはずなのに何故かこれ自体が光ってる。
まぶしいね。ここは暗いんだって初めてわかったよ。
そうだね。すごく暗いし、あんまり長く居たい所じゃないよね。明かりも出来たし、行こうか。
うん。
私は男の子に手を差し出す。掴まって立ち上がったその子の顔は…
お姉ちゃんどうしたの?
ふふ、私もね。とある人に最近励ましてもらったんだよ。
そうなんだ。そんな人に僕もなれるのかな。
絶対なれるよ。そこに向かって行けばね。さっ行こう? あっちにも光が見えてきたからきっと出口だよ。
うん。
私はその子の手を引いてお守りを前にかざしながら光る方に向かって歩いて行った…。
ここだけだと意味が分からないと思うのでなるたけ早く続きを書きます。