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狐尻尾はふかふかだよ

前々から温めていたストーリーをようやく文章にしました。

初投稿の為、手探りながらやっております。

「コンちゃん~。15番テーブル料理あがったよ~」

「は~い!」


ランチタイム。宿屋大熊亭1階の食事所は書き入れ時。

ご飯屋さんが村に一つしかないという訳でもないんだけど、元宮廷料理人だったという噂がある親父さんの腕がいいから、村の人達もついついやって来てしまうのだ。暇だったら私もクビになっちゃうから困るんだけど。



「はい、お待たせしました! 日替わりのこだわりチキンソテー定食です」

「待ってました! いや~コンちゃん。やっぱここの飯はサイコーだね!」


しかも可愛い娘に持って来て貰えるなんてと、お世辞を言われ照れながらもお礼を伝える。お店が混み合う前に汲んでおいた井戸水をコップに注ぎその場を離れる。すぐに戻らないと次が来るのだ。


「コンちゃん~、今度は2番テーブル!」

「はいは~い、すぐ行きます~」


ほらね。髪の毛が料理に入らない様に巻いている三角巾の間から、にょっこりと覗いている狐耳にはちょっとうるさい位の喧騒。だけど、お客さんと軽口叩きながら、親父さんと女将さんと連携取って忙しい時間を切り盛りしていくウェイトレスのお仕事は結構好きなんだよね。






「ふぅ…。今日も忙しかった」


賄いを食べてちょっと休憩し、洗い物や後片付けをして…気付けばもう夕方。お店の営業は昼だけ。夜は一応村には一軒は欲しいと宿泊の業務(けどほとんどお客さんが来ない)をのんびりやっている。私が働くのはお昼だけだけど。


夕飯も食べたいぞってお客さんも多かったんだけど、おかみさんが一時期身体を壊してしまっていたのと、翌日の仕込みをしっかりとやりたいっていう親父さんのこだわりでやらないことにしたらしい。私ものんびり出来るし、この位のペースが親父さん達にもちょうどいいん感じなのかな。



私がここリーフタウンの宿屋兼お食事処「大熊亭」で働く…いや御厄介になったのは大体一ヶ月前の事…。親父さんが近くの森に食材を調達に行こうとした時、森の入口付近の切り株の上で丸くなっていたのが私らしい…。私としては気がついたら、宿屋のベッドの上で親父さんに見下ろされてたという衝撃的な出会いからしか記憶がないのだ。熊とのハーフじゃないのかと疑いたくなるような髭モジャでがっしりした大柄な親父さんは、昔冒険者だった事もあるらしく、眼光鋭く威圧感半端ない。目覚めた瞬間に悲鳴を上げかけて、その目力ですぐさま無言で震えてしまった。


見た目と違ってものすご~く優しくて、おかみさんと二人で私をまるで自分の娘の様に扱ってくれる。色々訊ねてみて記憶がないと分かると、思い出すまでここにいていいと言ってくれた。何もしないで置いてもらうのもなんだし…とお店の配膳のお手伝いを始めたら、元々素質があったのかすぐに覚えて働けるようになり気付けばお店もさらに繁盛、お給料まで頂ける事になった。


私も記憶が無いのは不安だけど、なんにも思い出せないもんだから今は今の生活を楽しんでいる。女将さんと親父さんと三人で毎日忙しく働いている内に気付けば一ヶ月経っていたっていう感じ。

2013/03/15 少し修正

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