短時間睡眠令嬢の話
「オ~ホオホホ~、私は一日三時間睡眠で大丈夫ですわ!」
「カーラお嬢様、湯浴みの準備が出来ました・・」
「入りますわ!四時間タップリとね!」
【じゃかあしいわー!】
「お父さま・・・」
しまった。思わず怒鳴ってしまった。
娘のカーラが短時間睡眠に夢中だ・・・
三時間寝て四時間湯浴み・・・答えは・・・
「湯浴み中に寝ては危ないぞ!」
「大丈夫ですわ。寝ておりませんから」
嘘コケ。
今、令嬢の間で短時間睡眠が流行している。
何故なら、王妃殿下が・・・
『王子の婚約者は寝ないで働くぐらいの働き者の令嬢を求めます』
と宣言を出したからだ・・・
まあ、良い。当分続けさせるしかないだろう。
「メイド長、すまないがよろしく頼む」
「はい、湯浴み中、メイドをつけて温度管理と溺死しないように徹底しています」
やっぱり寝ているんじゃーねえか?
まあ、良いだろう。この流行は王子妃選定が終わればさすがに終わるだろう。
しかし、娘の三時間睡眠は最下位だった。
「サワン伯爵令嬢一日一時間、ローズ侯爵令嬢は・・・三十分!」
結局、ローズ侯爵令嬢が王子の婚約者に決まった。
「ドズル伯爵令嬢カーラは三時間?やる気がないのではないですか?」
「申訳ございません」
王妃殿下からお叱りを受けてしまったが、この馬鹿げた婚約者選びが終わってホッと胸をなで下ろした。
「さあ、ヘンドリック、婚約者のローズ侯爵令嬢ですよ。ご挨拶をしなさい」
「・・・ローズ侯爵令嬢クマができているよ。寝た方が良いのではないですか?」
「キィー!私は寝て無くてよ!」
「え、寝るが・・・悪口になるの?ごめん」
王子とローズ侯爵令嬢の仲は良くないらしい。
うちの娘は・・・相変わらずに三時間睡眠と入浴四時間だ。
まあ、しばらく好きにさせてやろう。
と思ったが・・・・
「皆様、商売は戦争ですわ!ライバル商会を倒しますわ。分散と集中が大事ですの!」
「「「はい!」」」
何か天才的な出店攻勢でライバル商会をなし崩しにしているようだ・・・
「オ~ホホホ、私の辞典に不可能は無くてよ!」
「あるだろう」
それからも専属料理人をつけて食べたいときに食べる。
滅茶苦茶だ。
「旦那様、王家から・・・婚約要請が・・ローズ侯爵令嬢、王妃殿下をぬっ叩きましたから、解消になるそうです」
「もう、断れ」
さすがに、滅茶苦茶な生活に妻が怒った。
「四時間湯浴みは体に悪いですわ!無理矢理寝かせますわ!メイド長、カーラを拘束してベッドに運びなさい」
「はい、奥様」
「「「お嬢様、お覚悟を!」」」
「もう、体が持ちません!」
「ヒィ、私は寝てましてよ!」
そして、魔法スリープをかけて七時間寝かせたら・・・
「あら、スタイリー、ごきげんよう」
「姉上、元に戻ったのですか?」
「戻った?・・・あら、いつもと変わりませんわ。オホホホホホ」
「いつもは目がガン決まりだったのに、穏やかになっているよ」
「変なスタイリーね」
普通の令嬢に戻った・・・・
あれは一体何だったのだろうか?
・・・ナポレオンは三時間睡眠が有名だが、入浴は四時間だったと云う伝説がある。
しかし、本当は仮眠を取っていたようだ。
何事にも辻褄合わせがあるのかもしれない。
最後までお読み頂き有難うございました。




