6.福原瑛里不可侵同盟
なんかワクワクして、今日は早く学校に着いてしまった。
「あ、藤井くん。おはよう」
「おぅ。おす」
今日、このコがウチに来る⋯。プラモ作りを習いにだけどね。
二限と三限の間の休み時間。福原さんが、話しかけてきた。
「あのね。今日なんだけど……」
おぉ、小声なのでちょっと近づいて⋯。
なんだかいい匂いがする。
「あ、プラモだよな。放課後な。」
どうしようか相談しようとしたんだが
「おーい、フジいー。ちょっと来い!」
昨日、福原さんを推していた3人に呼び出された。
「というわけで、福原さんは俺たちが全面的に推していくことになった」
…訳わからないんだが。
「福原瑛里不可侵同盟ってやつだよ」
更に訳わからない。
「お前、昨日誰推してたっけ、どうせ白川さんだろ?」
「悪いかよ。白川さん可愛いじゃん」
「福原さんは、俺たちが推すから手を出すんじゃねぇ」
「知らねえけど。まぁ、お前らの言いたいことはわかった」
とだけ言っておいた。
面倒くさ⋯。
「なんかあったの?」
教室に戻って席に着くと福原さんが、心配そうに聞いてきた。いいコなんだな⋯。
「なんかさ『同盟』を組まされたらしくて……俺にもよくわからんが」
昼休みになる。
「藤井ぃ! メシ行こうぜ!」
同盟の奴らだ。まぁ飯には行かないと⋯
「お、わかった。行くぞ」
福原さんが、何か言いたそうな感じだったけど、背に腹は代えられない。後で聞けばいいやぐらいに思ってた。
福原瑛里不可侵同盟というが、ただの福原さんを可愛いと思っている集まりだった。特に面白くもないが、想いは暑くるしい。
今日、家に来るかもしれないことは、コイツらには、黙っておこう。
午後の授業。昼食後の眠気にうつらうつらしている福原さん。その仕草もなかなか庇護欲をかき立てられて、良い。
ツンツンとしてメモを渡す。
『同盟のせいで一緒に帰れん。この住所に来てくれ。あと俺のID 〇〇〇〇』と書いた。
福原さんは、自分を指さして「アタシへ?」と口パクで聞いてきた
休み時間になると、福原さんはメモを見て
ーよろしく
とだけメッセージを送ってきた。
良かった。とりあえず拒否られなかった。
―なんかゴメンな。案内したかったんだけど、それはそうと、連絡先交換しちゃって良かった?
―大丈夫。迷ったら連絡するね
―おう。最悪、あの電気屋から近いから、そこで。
―あ、じゃあ、もう最初から、そこで待ってる。
絵文字もスタンプもない、ぶっきらぼうなやり取り。
でも、約束はできたし、それで充分だな。
自転車で急いでお店に行き、プラモ作りで使う道具を見てると
「あ、藤井くん。待たせた?」
笑顔で福原さんが来てくれた。
「福原さん。これだけ買っていくよ」
紙ヤスリだけ買っておこう。消耗品だしな
「あ、そうだ。接着剤っているかな?」
と福原さんが聞いてきた。接着剤?
合わせ目消しとか、プラ版貼ったりはまだ早いよな。
「最近のは組み立てるだけなら、いらないよ。パチッとはめるだけで、大丈夫。」
…はめるだけ。⋯プラモをだよ!
「へぇー、そうなんだ」
「ちょっと会計してくる」
「うん。あ、一緒に行く。」
一緒にイク…?
⋯レジにだよな!
店を出て、荷物を自転車に載せる。福原さんのは、少し詰めれば入るか⋯。
「福原さんのも載せるよ」
「ありがと。助かる」
自転車は、歩いて押していく。
あれ、こういう場合二人乗りとかするのが青春なんだっけ?
君を自転車の後ろに載せて〜。
世代が違います。瑛祐には、分からない歌でした。




