13.刺激ありすぎッス
学校行事で遠足なんてものがある。
校外学習という名目で、グループごとに神社へ行き、レポートを出すらしい。
同盟の奴らとは組みたくないな……と思っていたら、中学が一緒だった佐伯が誘ってくれた。
他のメンバーは、
サッカー部1年のエース・久野。文句なしの一軍男子だ。
ラグビー部で1年からレギュラー、筋肉が凄い渡瀬。コイツも凄く格好良い。
アイドル顔で可愛い系の浅野。コイツは中学が同じで仲も良かった。中学の時は演劇部で元主役だ。
そして佐伯。180センチ以上の長身に程よい肉付き、顔はめちゃくちゃイケメン。
これでも「亮」「瑛祐」と呼び合う親友だったんだが……。
浅野に対してもそうだが、じいちゃんが死んでから上手く話せなくなっていて⋯。
友達なんかいらないって思ってたし⋯。
それは置いておいて、ここはイケメングループで居心地は正直良くない。
これに久野の彼女である西野美佳のグループが加わって、大人数での移動になった。
女子グループには福原もいて、普通ならこんなイケメン集団の中にいるのは嫌だけれど、福原と合流した今は「お、いいじゃん」って感じになってる。
でも、みんなの前だと彼女は「教室の口数の少ない福原さん」に戻ってしまう。
そんな中、この遠足では、平川ゆかりと話したりした。
「藤井君ってよく見ると、格好良いじゃん」
「よく見ると」の意味は分からないけれど、可愛い女子にそんなことを言われて嬉しくないはずがない。
でも、「藤井君、佐伯君と中学同じなんだよね?」と続けられ、悟った。平川さん……佐伯狙いなんだね。
佐伯はいい奴だし、平川さんは白川さんほど飛び抜けて目立ってはいないけれど、10人いれば10人が、可愛いというほど可愛い。それに多分、佐伯の好みだから大丈夫だろう。
俺は佐伯の好きな女性シンガーの名前などを教えてあげた。中学の時のだけどね。
お弁当を食べて(福原の春巻きは美味かった)、校外学習も無事完了。みんなはカラオケに行くらしいが、そこまでは付き合えない。
ちょっと用事があると言って、みんなとは別れた。
結局、用事があると言って帰りの電車に乗ったのは、福原と俺の二人だった。
別れ際、平川がウインクをしていた。佐伯の情報のお返しに、色々と動いて二人きりにしてくれたみたいだ。
油断できない女だ……。
昼の電車は空いていて、二人並んで座ることができた。
触れるか触れないかの距離に、心臓の音がうるさい。
電車が揺れて寄りかかってくる柔らかい感触に、さらに鼓動が速まる。
逆に揺れるときは、頑張ってあまり当たらないように踏ん張った。
今日に限ってよく揺れるのは、神様の粋な計らい……かな。もっと揺らしてもらっても大丈夫だ。
ところで、福原も「用事」と言っていた気がするけれど……。
そう思っていたら、質問が重なった。
「あの、用事があるなら、プラモは明日にしようか?」
「あ……用事って、バイトか何か?」
明日と言ったか……?今日、もう少し一緒にいたかったな。
「えっ、いや、用事、特にないんだけど」
と福原が言った。
あ、用事ないんだ。……なら、俺の用事は。
昨日から決まってる。
「そっか。じゃあ、ウチで続き作る?」
「いいの? 藤井くん、用事あるんじゃ……」
「強いて言えば、福原にランナー跡の消し方を教えるっていう用事だったら、あるかな」
言っていて、めちゃくちゃ恥ずかしい。でも、もう少しだけ、君といたいんだよ。
「あ、じゃあ私も、プラモの続きをやるっていう用事があったよ」
その「用事」、めっちゃ嬉しい。
福原も俺の「用事」嬉しいと思ってくれたら良いんだけど。
他愛もない言葉で、二人で笑い合う。楽しいなあ。
アトリエに着くと、さっそく作業に取り掛かる。
跡を消すならヤスリだ。いくつか取り出して説明する。
「まずは、パーツをバラそう」
「え、せっかく組んだのに?」
「プラモ作りは『組んで、外して、加工して、また組んで』の繰り返しなんだよ。ほら、見てて」
バラすのにもコツがいる。道具を使ってやってみせる。
『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば』はじいちゃんの教えだ。実戦あるのみだ。
「片方は俺がやるから、もう片方を福原がやってみて」
「まず粗いヤスリで削る。こうやって」
「はい」
「それから粗めのペーパーで擦る。ここは丁寧に」
恐る恐る不器用に動くけど確実に作業をこなす。細い指先、綺麗だ……。
「できたら、これで磨いてみて」
平静を装い、スポンジ状の研磨材を渡す。
「おぉ、消えた! 私にも見える……あ、取れるよ!」
……また何か変なことを言っているけれど、可愛いから許すね。
夕方になり、片脚の処理が終わった。俺がやった方は、張り切りすぎて綺麗にしすぎたかもしれない。
一方、福原の仕上げも少し削りすぎた箇所はあるけれど、上手くできている。
「美脚だねぇ。凄いよ、上手い」
福原が俺の仕上げを見て言う。
美脚とは⋯?MSにつける表現じゃないけど?
「福原のも、初めてにしては上手くできてるよ。十分だって」
「美脚って言えば、私も自分の脚には自信あるんだけどな。見てみる?」
見たい!
と強く思ったのが通じたのか、福原は制服のスカートを少し持ち上げてみせた。
「ばっ……! 何言ってるんだよ!」
実際にやられると、どうしていいか分からない。顔をそらすフリをして、でも目線はしっかり残せた!
「冗談だよ、冗談っ! サービス、サービス!」
顔を真っ赤にしながらも、アニメのセリフを忘れない福原さん。
アンタ、生粋のオタクだよ。
でも、福原の脚、綺麗すぎる……。
もう少しで、パンツが見えたかも……惜しすぎる。
俺からも押すべきだったのか?
って 無理無理。でも、今はこれで十分だ。嬉しすぎる。
福原が帰った後、使用済みのティッシュの山ができたのは、言うまでもない……。
サービス、サービス!




