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12/15

12.まだだ。まだ終わらんよって⋯


それから暫くは、日常が戻った。


朝、駅まで迎えに行って、授業を隣の席で受けて、たまに話したり、お昼はあの秘密の場所で、福原が作ってくれたお弁当を食べる。


偶然だとは思うけど、じいちゃんの創作料理に似たおかずもあったりして、懐かしくて嬉しくなる。


じいちゃん。ゴメン。

福原の料理の方が美味いよ。


お昼に、お弁当でおかずを食べて、夜、彼女が帰った後に、オカズにしている⋯。


あのデートでのギャップ萌え以来、彼女がこの部屋に来るってだけで、捗ってしまう⋯。



放課後は、福原がバイトに行く時以外は、アトリエでプラモ作り。


そして、福原が赤いザフを完成させた。斧を持たせてポーズを決めさせている。ポージングがやっぱマニアックな感じ。


「……おぉ。カッコいい。カッコいいわ。やっぱ赤だよね!」

喜んでいるようで何より⋯。

「お? 完成だね。上手くできてるじゃん。」


褒めると、胸を張ってドヤ顔。

⋯。全然無いって思ってたけど、あるんじゃないか?

ナニがとは言わないが、⋯今日のオカズにイケそう。


「藤井くんのは?」

「俺の? まだ塗ってないけど、これ。」


俺のは、ノーマルの緑のザフ。

福原は、赤と緑、二体の機体を並べて満足そう。


「藤井くん、ありがとね。楽しかったよ」

「ああ、俺も楽しかった。……」


あれ、これ完成しちゃったら、もうここに来る理由がなくなる?

お弁当も、プラモ作りのお礼にってことだし⋯。


お互い、しんみりとした空気が流れる。

ヤダな⋯。


「このザフ、ここに置いておいて、たまに見に来てもいい?」

福原も、同じ事を思ったのか、そんな事を言い出した。そんなの無くても来て欲しい⋯。


「うん、ぜひ来てくれよ。俺、プラモ作り再開したから、毎日ここに居るし」


並んだ二体をもう一度見比べた彼女が、ふと気付いた。


「……ねぇ、何か違わない?」

「そりゃ、ノーマルと指揮官機は違うけど……」

「そうじゃなくてさ!」


そりゃあ、福原は、プラモ初めて作ったらしいから、切り取った跡もそのままだし、磨いても無いし⋯。

あ、そっか、それを教えれば⋯。


「この、ポチッとした白い跡とか。パーツを合わせたところの線とか……」


彼女自身も気になったらしい。


「あ、それか。やっぱり気になる?」

「うん。それって何かやったの? どうやるの?」


お、これ教えるって言えば、明日からも来てくれるのか?


「ヤスリで削ったりするんだ。やってみる?」

「うん! ……でも、今日はもう帰らなきゃだから、明日また来てもいい?」

「おう。もちろん」


二人の声が、目に見えて弾んだ。


彼女の笑顔が眩しくて、呟いた言葉の意味はわからなかったけど、気にならなかった。


「まだだ、まだ終わらんよ!」


⋯。また、アニメのセリフを引用してるみたい。

よくわからんが、なんだか心は弾んだ。






瑛祐くん。そのセリフは常識だよ。

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