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10.お弁当


こんな場所があったんだ。


多分、誰も知らないだろう。建物に挟まれて、この先には特になにもなく、誰も通らない。


校舎からも死角になっていて、誰にも見つからない。


もし先生がこの場所を知っていたら、目が届かないのでちょっと問題になるかもしれない――。


そこにベンチがあり、福原瑛里が座っていた。

「よっ。待たせた」

声をかけると、

「いや、大丈夫。これ」

とお弁当を出してくれた。


これだよ、これ! これが欲しかったんだ。

「腹減っててさ。楽しみにしてたよ」


蓋を開けると、唐揚げのいい匂いがぷんとして、箸を止めることができなかった。


「どう? 今日は唐揚げ入れてみたんだけど……」


なんだろう。これ、サクサクで中身はジューシーだ。

お弁当の唐揚げって、もっとベチャベチャしたものじゃなかったっけ……。


「ん……めっちゃ美味い。ありがとな」


朝と同じく、会話が弾む。

なんだか、他の女の子との話し方とは違って、すごく話しやすい。

同盟の奴らの事も気にしてたみたいだけど、ちゃんと言っておいたから大丈夫って言った。


「唐揚げ、口に合うといいけど」

鶏肉についている味もいい。

「うん。めっちゃ美味い」


「卵焼きは?」

やっぱり美味い。入っていて良かった。

「めっちゃ美味い」


「野菜炒めは?」

野菜がこんなに美味いなんてな。

「めっちゃ美味い」


「……『む』」

む? 美味いやつか?

「……え、む? ななんだよ、それ」


「いや。藤井くんが『めっちゃ美味い』しか言わないから、他には言えないのかなと思って」


顔を見合わせて、二人で笑った。

美味いだけじゃなくて、こんなに楽しいなんて。


こんな昼休みが過ごせるなら、プラモ作りだろうがなんだろうが、何でも教えるよ。




次の日も、お昼は二人で食べて、放課後はアトリエでプラモ作り。


……なんだか、楽しい。これがずっと日常になればいいのにな、なんて思ったりしている。


昨日、福原を送った後に、行きつけだったホビーショップに行ってきた。プラモ作りを再開したことを伝えて、また色々買わせてもらうし、イベントやバイトでも協力すると言うと、凄く喜んでくれた。


じいちゃんの信者で、アトリエアキラの作品をこよなく愛してくれた店長。

「うん、うん。これで瑛さんは不滅ですな。瑛祐くんが引き継いでくれるものな」

「まだまだ、じいちゃんには及ばないけどね」

「あ、そうだ。また展示品をお願いすると思うから、勉強と思って、これ見ておいで」

渡されたのは、映画の優待券。

「これ新作の?」

「うん。カップルシートで二名まで入れるから、彼女でも誘ってね」

「まあ、そんなのはいないですけど……」


と言いつつ、頭には福原瑛里の笑顔が……。

カップル⋯。いや、違う。アイツがガムダン好きだから……。

彼女じゃなくて、身近なガムダン好きがアイツしかいないからだ……と、自分に言い聞かせた。



次の日のアトリエで。


「よし、できた……!」

上半身のユニットができている。


「おぉ~、できたね」

「説明書だと、ここで一旦、組むんだよね?」

「うん。……そこの穴に、丸いところを入れるだけだよ」

「……できた。上半身、完成!」

「おぉ~」

パチパチ、と拍手。

「これって、動かせるの?」

「うん。関節はある程度曲げられるよ!」

「おぉ、すごっ……! お、動く、コイツ動くぞ!」


福原のテンションが上がっている。でも、ちょっと前もそんなセリフを聞いたような……。

「……これ、主人公のセリフなんだけど。藤井くん、プラモを作るなら原作も見たほうがいいよ!」


なんだか、怒られてる……。


「見てはいるんだけど……確かにそうだね。アニメを見ても造形ばかり見ちゃうから、セリフはあんまり覚えてないんだ」


「今度、一緒に見てあげるよ!」


ぜひ一緒に見たいよ。


一緒に⋯か。あ、そうだ。あのチケット。

「じゃあさ。明日か明後日……えっと、新作の映画、見に行く? 一人で行こうと思ってたんだけど」

「新作? どうしようかな~」


一緒に行ってほしい……。福原って、多分このシア大佐が推しだよな。


「『バーズアクス』って言って、このシア専ザフも出るみたいなんだけど」

「えっ、なにそれ、面白そう。行く、行く!」


食い気味の返事。そんなにシア大佐が好きなのか。


「明日はバイトだから、明後日なら」

「わかった。じゃあ、明後日」

帰り道、自転車を押しながら、空きを確認する。

「明後日、昼二時過ぎの回、予約とれたよ」

「あ、じゃあお昼どこかで食べる?」

「そうだな。昼前に集合で。……あ、でも、お弁当じゃなくていいからね」


「え?」


「いつもお弁当を作ってもらってるお礼に、奢らせてよ。親からも、お礼しなさいってお金もらったしな」


「そっか、それも楽しみ。じゃあ、明後日だね!」

「うん。またな」


笑顔で駅の中へ消えていく。なんか、なんか……。

自転車に乗って帰ろうとして、イチャイチャしているカップルを見て、大変なことに気付いてしまった。


女の子と二人で映画……。


これは、世間一般でいう『デート』なのではなかろうか……。


わからん。

誰か、正解を教えてくれ。

bazは3番目?特に意味は無いはず。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。


ブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」をできるだけ★いっぱいにして頂けるとめっちゃ嬉しいです。


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