1.プロローグ
ここは、じいちゃんから受け継いだアトリエ。
桜が散り始め、高校2年になったけれど、始業式の後、友達からの遊びの誘いも断ってまっすぐ帰ってきた。
模型作りの達人だったじいちゃんの作業場で、今プラモを作っているのは、雑誌モデルもこなすS級美少女の瑛里。
1年生の時から放課後は、ここで2人並んでプラモ作りをしている。
じいちゃんから受け継いだのはアトリエだけじゃない。模型作りの技術も小さい頃から叩き込まれた。
だから、プラモ作りは俺が彼女に教えてきた。
「瑛祐くん、できたよ」
瑛里が作ったのは、赤いモビルスーツのプラモデル。
「上手くできてるね。もう瑛里に教えることもなくなってきたよ」
「ふふふっ。嬉しいなあ」
「俺の作業も一段落したし、今日はここまでにしようか」
俺は今、雑誌に載せるための作品を制作中だ。
「あ、じゃあ紅茶でも淹れようか?」
「そうだね。……休憩する前に、どうかな」
上手く聞ける言葉があるなら教えてほしい。
「うーん、じゃあ……」
目をつぶって、顔をこちらに向け、口を尖らせる瑛里。
か、可愛すぎる……。
俺はそっと近付いて、肩に手を回し……チュッ、として。
「良い……?」とだけ聞いた。
「もう、聞かないで……良いから」
もう一度、唇を合わせる。今度は少し深く。
服の上からだけど、ちょうど手のひらに収まる形の良い胸に手が伸びる。
柔らかい。直に触れたいけれど、ここは外と扉一枚。誰が来るかわからない。場所を移そう。
「俺の部屋、行こうか?」
「うん」
恥ずかしそうに俯く瑛里。
ぬー。もー。たまらん。
瑛祐、いきまーす。
瑛里をお姫様抱っこして、自分の部屋まで運ぶ。
ベッドに二人で横になり、もう一度キスをして、
「瑛里……大好きだよ」
「うん、私も……」
服を脱いで、脱がせて、脱がせてもらって。
生まれたままの姿で向き合い――。
……。
…………。
終わった後、腕枕をして、二人でくっついている。
「凄え良かったよ、瑛里」
俺の腕の中で、瑛里は顔を見せてくれない。きっと凄く照れているに違いない。
「……私も」
最初はやっぱり痛かったみたいだけど、初めての経験から3ヶ月くらい経った。回数もこなして、だいぶ慣れてきたみたいだ。
二人で気持ちよくなりたいと思ってたけど、今日は感じてくれていたように思う。
くっついている体温、柔らかい感触、愛する人がそばにいる安心感、そして行為の達成感。その全てが心地よく、幸せを感じていた。
どうして、俺みたいなインドア派の目立たない男が、こんな美少女を彼女にできたのか……。
瑛里と初めて会ったのは、高校の入学式の後の教室だった。
「俺、地元の北中なんだよ。よろしくな」
思い切って隣の席の女子生徒に話しかけた。名前は、福原瑛里というらしい。
地元だからわかる事とか、駅への近道とか、教えようと思ったけど。
「……ぃ」
何か言った気はしたけど、彼女はこちらを見向きもしなかった。
……あちゃ、無視されたか。まあ俺、陰キャっぽいし仕方ないか。
福原さん、可愛いしな。きっと陽キャなんだろうし、俺なんか眼中にないよな……。
とか思っていたけれど、彼女はクラスの親睦会にも来ないし、昼休みはどこかに行っていない。
「ちょっと変わった子なのかな」くらいに思っていた。
後になって、瑛里が「私たちが初めてちゃんと話したのはここ」だと主張するのは、駅前の家電量販店のおもちゃコーナーで、同じプラモの箱を二人同時に手に取ってしまった時だった。
連載開始します。
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