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第九回 劉玄徳承領徐州 曹孟徳撤軍休整
る現地勢力が複雑に絡み合っている。並大抵の人物では治めることができず、かといって袁術のような強欲な諸侯に入られては、民はさらに苦しむことになる。徐州のトップは、むしろ「ろくに政治できないくらいがちょうどいい」、つまり、現地勢力とのバランスを取れる人物が必要なのだ。
四方からの説得、そして何よりも、民が劉備を望んでいるという確かな手応え。
ついに劉備は、徐州を治めることを決意した。
「よし…分かった。そこまで言うのであれば、この劉備が、亡き陶謙殿の意思を継ぎ、この徐州の民を守ろう!」
劉備の言葉は、まるで周囲の熱意に押されたかのような謙虚さを装っていたが、その実、彼の内心では、将来の天下統一を見据えた新たな「縄張り」の獲得に、強い決意と野心が燃え盛っていた。