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VSエロル

エロルは一般的にはダンジョンにこもっている強力な腕力をもつ魔物である。普段はこんな泉にいるようなものではないだ。



「ナルヴィ大丈夫か!!」

「グレイブ様!!」



 俺の声に気づいたナルヴィが助かったとばかりに安堵の声を上げてこちら振り向くとその豊かなおっぱいが揺れる。



「オッパイ、デカパイ……」


 

 そして、それを見て、エロルがいやらしい笑みをしたのは気のせいではない。エロゲの魔物だからな。基本的にこいつらも変態である。

 バッドルートでは仲間のヒロインが魔物にエッチなことをされたりするのだ……そして、特にエロルはやばい。異種族の女を巣にさらっては子供を作ろうとするのである。

  


「このくそエロル!! 俺のナルヴィ(爆乳)を厭らしい目で見るんじゃねえ!!!」

「ジャマスルナ。セイヨクヲモテアマス!!」

「グレイブ様危険です!! そのエロルはただものではありません」



 俺を無視してナルヴィの爆乳に襲い掛かろうとしたエロルに斬りかかるも、相手が無造作に振るった一撃と俺の剣がぶつかり合う。すさまじい衝撃に思わず剣を落としそうになるが、かろうじで耐える。

 わかっていたがこいつくそ強いな!!



「アノメスノオッパイモム……ジャマスルナ」

「ふざけんな、あれは俺のものだぞぉぉぉ!!」



 俺だって、まだオッパイどころか手だって繋いでいないのだ。渡してたまるものか。執念で斬りかかるが、エロルとの実力差は縮まることはない。

 それどころか、圧倒的な腕力で振るわされる一撃がついに俺をとらえて吹き飛ばされる。



「グレイブ様……確かに私はあなた様の使用人ですが、かわりはいくらでもいます。私のことは放っておいて、薬草を持ってお逃げください!!」

「ふざけんな!! おのおっぱいの代わりなんているはずがないだろうが!!」

「グレイブ様……!!」

「イイキズナダナ……オレNTRダイスキ……オマエノマエデエッチナコトスル」



 俺たちのやり取りを聞いて厭らしい笑みを浮かべるエロル。こいつの性癖歪みすぎじゃない? そして、俺はNTRは大嫌いだし、絶対させるかよ!!



「残念だけど、もう時間切れだよ。俺が勝てない戦をすると思ったか?」

「ナンダ……?」

「炎の渦よ、すべてを焼き払え!!」



 にやりと笑う俺をよそに、エロルの背後から圧倒的なまでの魔力を誇る炎の渦が現れて、そのまま焼き払う。



「この魔法はまさか……」

「はぁはぁ……間に合ったようですね。ナルヴィ、お義兄さま」

「よくやった。ドロシー―!!」



 そう、俺はやったのは彼女が回り込むまでの時間稼ぎである。ゲームの序盤のキャラに過ぎない俺よりも悲しいことにメインヒロインであるドロシーの方が強いのである。



「ソンナ……セメテオッパイノオオキイオンナノコニコロサレタカッタ……」



 全身を焼かれたエロルが断末魔の悲鳴をあげて息絶えた。こいつ……女の趣味はあうかもしれないな……俺も殺されるなら爆乳の女の子に殺されたいものである。



「ドロシー様……ありがとうございます!! すさまじい魔法でした。ですが、お身体は大丈夫ですか?」

「ふふ、私の大切なナルヴィを守るためですものでこのくらい余裕ですよ。それに……お兄様の言う通り魔法を使えば使うほど楽になっていく気がします」

「よかったです。今治療薬をつくりますのでお待ちくださいね」


 

 ナルヴィにほめられてよほど嬉しいのか、無い胸を張ってどや顔するドロシー。一瞬こちらを見たのは気のせいだろうか?

 百合をほほえましい目で見つめていると、ナルヴィと目があう。



「グレイブ様もありがとうございます。それと先ほど私のことをグレイブ様のものとおっしゃっていたようですが……」

「あ、それはだな……」



 やらかしたぁぁぁぁぁぁぁ。爆乳ハーレムの一員にするつもりなのでつい本音がでてしまったのだ。付き合ってもないのに、彼氏ズラするのは嫌われるとモテる本に書いてあった気がする。

 何とか言い訳を考えようとするが、童貞であるが故の経験値のなさから何も思いつかない。



「とっても、嬉しかったですよ」

「え……」



 薬を作りながら満面の笑みを浮かべるナルヴィに俺は思わず間の抜けた声をあげてしまった。え? むっちゃ好感度が高いじゃん。これはもう、フラグ立っているのでは? いちゃらぶセックスできるのでは?



「アンダーテイカー家の使用人としてそこまで大事に思っていただけているなんて……グレイブ様たちのメイドとしてこれからも恥じない行動をしていきますね!!」



 そっちかよーーーー!! 俺の感情は主としての物じゃないのに……どうやったら異性として見てくれるんだ。まじでどうすればいいかわからないんだけど!!



「薬草も取ったし帰るか……」



 げんなりとした俺が館の方へと足を向けると、なぜかナルヴィがじーっとエロルの死体を見つめて言った。




「そういえばエロルのお肉って美味しいんでしょうか?」

「え……?」



 この子何言ってんの? 人型の魔物だよ……しかも、さっき会話してたよね、食べるの?



「どうかしら……? 脂肪はけっこうあるしいけるんじゃないかしら?」

「そうですね、少し切って持って帰りますしょう。明日の朝ごはんは腕によりをかけますね!!」



 ダンジョン飯かな? こいつら倫理観ばぐってない? そういえばナルヴィは魔物飯が趣味だったな。時々突発イベントで料理がふるまわれていたがゲームならば笑えたが、自分が実際食べるとなるとあれである。

 なんとかエロルの死体を処理できないかと考えていた時だった。体がふらついたような……違う、これは……



「地震かしら? こんなところで……?」

「大丈夫ですか、ドロシー様」

「違う……これはやつが目覚めやがった。くっそ、炎魔法を使ったからあたりがあたたまって目覚めたか!!」



 足元がゆれていくと同時に薬草の生えていた泉を中心とした周辺が隆起していく。そして、地面だったそれから巨大な手足と顔が現れる。


 

「まさか、これが噂の魔物ですか……」

「こんな大きい魔物がいるなんて……」

「ミスリルタートル……マジかよ……」



 目覚めたばかりの巨体のミスリルタートル相手に俺は冷や汗を流す。 こいつがナルヴィが言っていた危険な魔物である。



 巨大な体躯に、全身を覆う魔力がこもった強力な金属『ミスリル』に体を覆われているため圧倒的な守備力を持つ魔物だ。こいつは本来ならば中盤に戦う強力な魔物なのだ。エロルなんて敵ですらないだろう。



 そして、俺たちもどうなることか……ナルヴィは戦闘職ではないし、ドロシーもいまだ病に侵されている。正直のこの戦力ではほとんど勝ち目はないのだから……


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― 新着の感想 ―
ナルヴィちゃん、名作「メラしか使えない」のパーティーでも生きていけそう・・・・。
[一言] エロルが欲望に正直ですき
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