47.エレノア
「くっそ、まさか派遣されてきたのがエレノアだったなんて……」
彼女を屋敷に迎えて俺は頭を抱えていた。エレノアは性に対して無知な上にエッチをしたらその加護を失ってしまう。
しかも、それだけではない。彼女に加護を与えている処女神ヘスティアはエレノアが夫にふさわしいと認めた人間以外からエッチな知識を受ける事すらも拒絶するのだ。
ゆえに彼女は無垢であれば無垢であるほど優秀な治癒能力を発揮しているのである。
「くっそ、加護の正体は知られてないからってさぁ……なんでこんなことになったんだ……てか、教会はなんでうちにエレノアを派遣してきたんだ。環境としては最悪だぞ」
とりあえず父には屋敷ではエッチなことは絶対しないでくれとお願いしておいたし、幸いにも歩く下ネタのベロニカが父と旅行中なのも救われた。
さっさと邪教の捜査を終えて帰ってもらおう。
「あとは俺だよな……ドロシーとナルヴィにもエレノアさんがいる間はイチャイチャはできないと伝えておいたけど……中途半端にいちゃついたからエッチな気分なんだよな……」
ゆうなればおあずけをくらっているためムラムラしているのである。
幸いにも敵の襲撃があったこともあり今日は訓練も中止にとなっている。にやりと笑って机の隠し扉に潜ませているエッチな本を取り出してベッドに横たわる。
さすがは異世界である。エッチな本も女騎士やエルフなどファンタジーっぽいものが多いのだ。これなら女の子とイチャイチャとは違いすぐにごまかせるとおもってページをめくった時だった。
コンコン
と規則正しいけれど、ナルヴィとはまた違う音が聞こえてきた。
なんだろう……とても嫌な予感がする。
「えーっと、どなたかな?」
「失礼いたします。グレイブ様にお願いがあるのですが……もしかしてお休み中でしたか?」
返事をしながらこっそりと布団の間にエッチな本を隠すと扉が開いて、どこか神々しい雰囲気を醸し出す美少女が顔を出す。
もちろん、エレノアさんである。
「ちょうど暇をしていたので大丈夫ですよ。いったいどうしたのですか?」
まさかエロ本を読んでいましたとはいえずに適当にごまかしながら返事をすると、彼女は不思議そうな顔で俺を……いや、俺のズボンを見つめていた。
「グレイブ様股の間が腫れているようですが、大丈夫でしょうか? もしよろしければ治療を……」
「いえ、これはそういう現象なんで大丈夫です!!」
うおおおお、勃起したところを見られたぁぁぁぁ。俺のチンコをさわってこようとするエレノアさんの手を慌ててかわす。
聖女に手〇キなんぞさせたら異端者扱いされて処刑されてしまう。
「おや、なにか落ちましたよ?」
「うおおおおお、大丈夫です。これは機密書類なんです!! うお!?」
「きゃっ!?」
俺が暴れた拍子におちたエロ本をエレノアさんが拾おうとしたので、あわてて取ると、彼女とぶつかってしまう。
思わず倒れそうになった彼女を抱きしめるようにして支える。甘い匂いと柔らかい感触だが、必死に股間をしずめるように念じる。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ……大切な書類とも知らずに失礼いたしました」
「いえいえ、それでいったいどうしたのでしょうか?」
なぜか顔を赤くしているエレノアさんに用件を尋ねると、まるでいたずらを一緒にしようとような無邪気なひょうじょうで彼女は言った。
「そのですね……私、実は教会から出すのが初めてで……外の街というものを知りたいんです。案内しては頂けないでしょうか?」
「案内……ですか?」
「はい、街をみたいといったらブラッド様がぜひともブレイド様に頼むといいとおっしゃってくれて……」
クソおやじめ……余計な気を遣いやがったな……まあ、この教育上の悪い屋敷よりはましだろう。
「はい、お安い御用です」
「わあ、ありがとうございます。噂の通りグレイブ様はお優しいのですね」
満面の笑みに俺は思わず殺気エッチな気持ちになった自分を殺したくなるのだった。
☆☆
「あれが男性の体なのですね……すごかったです」
グレイブに案内を頼み自室に戻ったエレノアは、なぜか早鐘のようになっている自分の胸に困惑していた。
女性ばかりの教会で育った彼女は異性への免疫はほとんどないのだ。せいぜいが治療の時に触れるくらいだった。
だからだろう、彼の鍛えられた体と男性の香りに思わずドキドキがとまらないのだった。
すいません、書き溜めがなくなったので一旦更新をストップします……
新連載です。
こちらも読んでいただけると嬉しいです。
『巨乳好きの俺が転生したのは貧乳優遇異世界でした〜俺だけ巨乳好きな異世界で、虐げられていた巨乳美少女達を救っていたら求愛されまくるようになった件』
巨乳好きの主人公が貧乳至上主義な異世界に転生してしまい、巨乳の地位をあげるというハイファンタジーです。よろしくお願いいたします。
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