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25.ナナシ

 ナナシがギルドの一室で休んでいると、仮面をかぶった女性が楽しそうに話しかけてくる。



「ナナシ、残念だけどあなたの幸運もこれまでのようね。貴族がわざわざこんなところまで助けに来るわけないわ。あなたは紛争地域でやりたくもない仕事をさせられるのよ」



 そんな女性にナナシは冷たい視線を送りながら答える。



「グレイブは来てくれるよ……私が……『殺さない盗賊』だって明かしても私を欲しいっていってくれたんだもん。それより……アンリ、その恰好は何?」

「えへへ、なんか悪の組織っぽくてかっこよくない? せっかくナナシの王子様が助けに来るって聞いたから私は悪役っぽい恰好で出迎えようかなって思って……何人かは私みたいに仮装を楽しんでいるわよ」



 アンリと呼ばれた少女がテンション高めに仮面を外すと、ナナシと同い年くらいの可愛らしい素顔が露わになる。

 ナナシとアンリは同世代であり、ともにデネブに育てられたということもあり仲良しだった。



「だけど、あの魔女ババアがお気に入りのナナシをよそに渡すなんてね。よっぽどグレイブっていう人を買っているみたいだね」

「別に私は……あの人に気に入られてなんかないよ……いつも厳しいことばかり言うし……」



 日頃のトレーニングとお説教を思い出して渋い顔をするナナシだったが、珍しくぎこちない笑顔をうかべてグレイブのことを語りだす。

 


「でも……グレイブは本当にすごいよ……あの人は本当に国をよくするために頑張ってるの……だから、私も彼の力になりたいんだ。五秒に一回は胸を見てくるからちょっとはずかしいけど……」

「へぇー、本当に信頼しているんだね。ナナシもまんざらじゃないんでしょ?」



 いつもつまらなさそうだったナナシが目を輝かしているのを見て、アンリは驚きと共に嬉しく思う。彼女は自分の道を見つけたのだ。そして、寂しく思うも彼女の未来を祝福しようと思う。 



「おや、そろそろ王子様がやってきたかな?」



 物音がして扉に近づいていくアンリを違和感を感じたナナシが制止する。



「アンリ……違う。これは……グレイブじゃない!!」

「え?」



 それと同時にドアが無数の触手がドアをぶち破っていく。



「何よ、これ!!」

「わからない……でも、グレイブはこんなことしない……」



 突然の襲撃に警戒を強め身構える二人。そんななか触手たちの中をかきわけるようにして一人の女性が現れた。

 年齢は二十代だろうか? 錬金術師が着るような白衣を身に着けた長身の女性である。そして、胸元はとてもスレンダーである。

 彼女は触手たちをまるで可愛いペットのように愛おし気に見つめながら撫でてから、ナナシたちに語り掛けてくる。

 


「やあやあ、失礼するよ。かの英雄デネブの秘蔵っ子ナナシという少女を頂きに来た。君の才能は私たちといてこそ役に立つ」

「あなたは……何者……? 悪いけど、私の主はきまっている!!」

「そ、そうよ、ナナシはあんたになんか渡さないんだから!!



 やってきた女性はにらみつける二人に少しも動じた様子もなく、やたらと大げさな所作で頭を下げる。



「ふふ、私の名前はイザベラ。テュポーン神を信仰するものにして、『六奇人』が一人『異界の調停者』と呼ばれているよ。以後お見知りおきを」



 その言葉とどもに触手を持つ『海魔』がナナシたちに襲い掛かって来るのだった。


ナナシはどうなってしまうのか。


『大切なお願いがあります』


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