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10.ドロシーのお願い

「ミスリルの盾よ!!」



 俺が精神力を集中させると、小さい片手用の盾が現れる。へファイトスの加護によるスキルである。それを見た剣術の教師とドロシーが感嘆の声をあげる。

 先ほどまでじっくりと盾を見ていたおかげでとっさにイメージを作ることに成功したようだ。



「おお、加護を使いこなしていますね、その調子ですよ、グレイブ様」

「さすがです。お義兄様」



 剣と盾を作り出して、先生と打ち合う。加護に目覚めた俺は加護を使いながらの戦い方を学んでいた。いわゆる実戦形式である。



「では、その強度をためさせていただきましょう!!」

「うおおおおお!?」



 先ほどまでのがおまけとばかりに、すさまじい速さの踏み込みによる一撃を今作り出したばかりの盾で受け止めると、あっさりとひびが入ってしまいそのまま消え去っていく。

 俺の加護で作り出したものは一定のダメージを受けると消えてしまうのである。



「私の剣技に気おされましたな。あなたのその力に大事なのは想像力です。絶対砕けない盾をイメージしてみましょう」

「ああ、わかった……」



 先生の言葉にしびれた腕を抑えながら頷く。くっそ、盾じゃなくて爆乳への妄想力ならだれにもまけないというのに……あれ? もしかして、この力を使えば爆乳ゴーレムとか作れるんじゃないだろうか?  今度試してみよう。

 でも、おっぱいは無茶苦茶堅そうだよな……



「ドロシー様。すばらしい集中力ですね。流石は魔法の天才と呼ばれていただけのことはありますな。やる気になってくださり嬉しいですぞ」

「ありがとうございます。私も夢ができましたので、もっと腕をみがかねばならなくなったのです」



 ドロシーはなぜかこちらをちらちらと見ながら炎の球と氷の球を作り出して宙に浮かせていた。制御力の練習らしい。

 俺の剣の師であるこの男は魔法にも精通してるらしく、訓練を見学しているドロシーにもいろいろと教えてくれているのだ。



「それにしてもお前は何でも知っているな」

「何でもは知っていませんよ。魔法剣士でしたからな、魔法と剣、あとは部下や娘に教えていたさいの経験を活かして教師の真似事くらいしかしか知りません」



 さすがにどこぞの委員長のようには返してくれなかった。委員長もおっぱい大きいよな……なんで阿良々木はちっぱいな方を選んだんだろうな。

 ヤンデレってちょっとこわいとおもうんだけど……まあ、俺はヤンデレには縁がないからいいが。



「へぇーお前には娘がいるのか。そいつも騎士をやっているのか?」

「ええ、私は止めたのですが、騎士になると言って……今はアテナ騎士団にいますぞ」

「アテナ騎士団だと!?」

「確か優秀な女性のみが入隊することを許された騎士団ですよね」



 教師がどこか誇らしげに言っているがそんなことはどうでもよかった。アテナ騎士団はゲームにも登場する騎士団で、主人公の味方として力を貸してくれるのだ。そして、ドロシーの言う通りみんな女性な上に、美人で……爆乳なのである。

 ファンの間では通称『爆乳騎士団』とよばれているくらいだ。つまり教師の娘も爆乳ということになる。なんとか紹介してもらうとしよう。



「お兄様……何か変なことを考えてませんか?」

「いや、鍛錬のことを考えていただけだぞ。あれだな……機会があればお前の娘さんと会ってみたいな。ぜひとも手合わせを願いたいものだ」

「おお、ありがたきお言葉です。今度手紙を送っておきましょう」



 俺の言葉に先生が誇らしげに頷く。爆乳女騎士との訓練フラグたったぁぁぁぁぁ!! 絶対剣をふるうたびにおっぱいがばるんばるんゆれるよな。たまらねーぜ!!



「お二人とも訓練お疲れ様です。こちらで顔をお拭きください」



 爆乳との出会いフラグによっしゃーと内心ガッツポーズをしながら鍛錬を終えるとナルヴィが、二人分の濡れタオルを手にして待っていてくれた。



「ナルヴィ、ありがとう」

「ちょうど汗をかいていたので助かります。その……匂うと思われたら恥ずかしいので……」

「あ、グレイブ様、お顔が汚れていますよ」



 ナルヴィから濡れタオルを受け取ろうとすると、それよりも先に彼女が俺の顔をふいてくれる。彼女が腕を動かすたびに揺れる胸元が何とも素晴らしい。

 

 絶景かな……絶景かな……


 そんなことを思っていると服の袖を何者かがひぱってくる。



「お義兄様……私の顔を拭いてくださいますか? どこが汚れているかわからないので」

「ん? 大丈夫だって、お前は魔法の訓練していただけだから汚れていないだろ」

「お義兄様……私の顔を拭いてくださいますか? どこが汚れているかわからないので」



 あれ? 無限ループってこわくね? もしかして、正しい選択肢を選ばないと先に進めない奴だろうか? 仕方ないなと彼女の顔を拭いてやると幸せそうに微笑んだ。

 不覚にも可愛いと思ってしまう。


「くすぐったくて気持ち良いです」

「うふふ、グレイブ様とドロシー様が仲良くいらっしゃるところがみえて私は嬉しいです」



 満面の笑みを浮かべてるナルヴィが体を震わすと胸もブルンと震えて何とも目の毒である。



「ナルヴィ……心配かけましたね、でも、もう大丈夫ですよ。私とお兄さまは仲良しですから……ね」

「ああ、そうだな。きにしてくれてありがとう」

「えへへ、本当によかったです。いつかこんな日が来たらいいなって思っていたんです。だって、ドロシー様はいつも寂しそうにしてましたから……」

「ナルヴィ……」



 感極まったとばかりにドロシーが抱き着くとナルヴィのおっぱいがつぶれていく、何とか視線をずらしながらも内心はそこを変わってくれドロシーに願うのだった。

 しばらく百合を見ていると、落ち着いたドロシーが口を開く。



「お兄様……例のことはお父様に聞いてくださいましたか?」

「ああ、詳しく聞きたいと言っていたから、今から領主室へいってくるところだよ」

「本当ですか ありがとうございます」


 もちろん、アポイントはとって下話もしてある。実はドロシーのお願いには俺の爆乳ハーレムも関係しており、一つの作戦を考えているのだ。

 そして、どこか緊張した様子の彼女に声をかける。



「お前も来るか?」



 何気ない一言だったのだが、ドロシーの表情が固まった。むっちゃ気まずそうである。



「ありがとうございます。ただ、その……私はお父様にどう思われているのかわからないので……」

「そうか……あの人は悪い人ではないぞ。それとなくお前のことも聞いておくよ」

「ありがとうございます。お義兄様」

「ふふ、グレイブ様はお優しいですね」



 不安がっているドロシーの頭を撫でながら、俺は領主室へと向かう。二人の好感度が上がった気がする。それにしてもナルヴィのおっぱいはやはりすごかった……


あの……ナルビィさん……そろそろ、俺もありがとイチャイチャしたいんですけど、いつになったら部屋に来てくれるんでしょうか?


 なぜか好感度は上がっているはずなのに、一向におきないイベントを思い出しこっそりとため息をつくのだった。



 領主室の前に来た俺はノックする。父は悪役領主なんぞ言われているが、まともな人間だと思う。グレイブに対して冷たかったのもこいつが色々とさぼっていたからだし、以前来た時のインパクトこそやばかったが、言っていることはまともだったのだ。

 ドロシーの件だって、何か誤解があると思うんだ。まさか貧乳だから冷遇しているわけじゃないよな……?

 ノックをするが返事がない。確かにこの時間に約束していたはずなのだが……まさか、何かあったのか?




「父上、だいじょうぶ……は?」



 急いで扉をあけると俺は言葉を失った。そこにいたのは父上だけではなかった。なぜか半裸で四つん這いになっている父と、ボンテージ姿で鞭を持っている父の専属メイドだった。(もちろん巨乳である)

 目があうとくっそ気まずい沈黙が部屋を支配する。



「「「……」」」



 俺は深呼吸して部屋から出ると扉を閉めて六十秒ほど数えてから再度扉をあける。




「父上、約束の件でお話に来たのですがお時間は大丈夫でしょうか?」

「うむ、お前がまさかドロシーのことで相談してくるとはな。いいぞ。話してみよ」

「ご主人様、グレイブ様、お茶をお持ちいたしましょう。ミントティーなどいかがでしょうか? リラックス効果があるので話し合いにはちょうど良いかと」



 鋭い目つきをした父とすました顔の専属メイドが出迎えてくれる……じゃねーよ。さっきのなんだよ。主従逆転してんじゃねーか。

 床に鞭が落ちてるし、メイドさんの胸元からボンテージがうっすら見えるんだけど!!



『大切なお願いがあります』


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