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空き缶ダンディズム

学校帰りの脇道の 赤い自動販売機 その足元にひっそりと

空き缶一つ置いてある

ぽっかり開いたその口で 空をじっと見上げている


来る日も来る日も雨の日も

そいつは黙っているだけで 流れる雲をただ見てた

そいつは黙って腰掛けて 変わらず電線見つめてた


もしも俺が良い子なら お前を掴んで缶入れに 運んでいってやるのだろう

もしも俺が不良なら お前に煙草を一本やるのだろう

けれども俺はそうじゃない


もしもお前が良い子なら 他の奴らとご一緒に 今頃きっとプレス機で 仲良く潰れているのだろう

もしもお前が不良なら こんなところに留まらず 今頃コロコロどこまでも 転がり続けていくのだろう

けれどもお前もそうじゃない


ある日の夕の帰り道 俺はお前を思いきり

道の向こうの向こうまで 力の限り蹴飛ばした


お前、スティール缶だったんだな

お前、結構硬かったんだな


無口なあいつ 気取ったあいつ ただ硬いだけのあいつ

どこか知らないところまで 飛んでいってしまえ!


季節は流れ今はもう

自動販売機の足元に あいつの姿は見かけない

あいつのお気にのあの場所は 今では野良猫 昼寝中


あいつきっと どこかの道の片隅で

今頃きっと こっそり泣いているのだろう

声を殺して泣いているのだろう


スティール缶が泣くなよ 空のくせにさ

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