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クラス決め その1

 この学園、クラス決めにバカみたいに時間がかかるっぽい。

 目の前では俺と同じくらいの女の子同士が魔法を撃ち合っている。

 俺から見たらまるでお遊びのような魔法の使い方なのだが…ここはCランクくらいの試合らしい。


 クラス決めは、トーナメント形式で行われ、最後まで残っていた人が勿論一位、Sランクが確定。

 他にもトーナメントの結果(あと本当に一応筆記テストの結果)を参照して、学園内順位を作成するらしい。

 所詮負けの人はどうしようもないので、、その本人の魔力量や戦いの中での立ち回りや技量を見て判断するらしい。

 しかしながら、俺のような、入学試験をパスした貴族達は既にBクラス以上が確定しているらしく、そこらへんまで出番はお預けだ…シードってこと。


「わーっ! アルティアルティ! あそこ、倒したよ!」

「いちいち報告しなくていいから…」


 横で引っ付きながら試合を観戦しているマリアがテンションを高めに声を上げる。


「こう、剣がズババババーッ! とね!」


 あまりにも抽象的すぎて良く分からなかった。

 こいつ大丈夫かな…?


「あ、そろそろあたしの番! ちゃんと見ててよアルティ! 見てなかったら怒るからね」

「やめてやめてゆするな」


 肩を揺らされて呂律も回らないままに一方的な約束を取り付けられて、彼女は試合会場に向かってしまった。

 しかしながら俺も次試合なんだよな。

 一瞬で終わらせてマリアの試合を見るとするか。








「うおおおお!」


 だいたいトーナメントも後半を超えたあたり。

 ここまで勝ち上がってきた、恐らくBランクくらいの強さがある少年が俺に向かって走る。

 それに向かって、数千の雷槍を投擲。

 瞬く間に、試合終了のブザーが鳴り響いた。


 なんかこの会場、一定以上ダメージを受けると勝手にブザーが鳴る仕組みになっているらしい。

 それに、この会場では生身の人間に対する攻撃が無効化…ダメージが与えられないらしい。と言ってもその額に限度はあると思うが。

 凄い魔法を組んでるなあとしみじみ思った。


「し、試合時間二秒! 今大会最速です!」


 どうやら今のところ俺が最速らしい。

 最速の男……チョットかっこいい。


「おおっと!? なんて話していたら、今度は試合時間が一秒の試合がッ!」


 ええ!? 俺の最速の記録が信じられない速さで抜かれたけど。


「そんな最速の記録を打ち立てたのは、黄金の天使、勇者ロアナだーッ!」


 勇者。

 そんな単語に耳を引っ張られ、ついその方角を見ると…。

 絹のような黄金の髪を肩まで垂らした彼女と、碧色の瞳と俺の視線が交差した。

 時が止まる。

 なるほど確かに、天使と言うだけはある美貌。

 そして体が少し震えるほどの戦闘力を感じさせる。

 あそこまで完成された人間は初めて見た。

 まるで俺の可哀そうレーダーが反応しな…あれ? 壊れた? 微弱ながらも俺の本能が何かを感じ取っている。ついに俺の感覚も鈍ったか。

 勇者で美人とか人生勝ち組間違いないだろうし。可哀そう要素がどこにもない。


 彼女は俺を瞳を見て、少しだけその目に濁りを見せてから、俺から視線を逸らした。





 急いで観客席に戻れば、マリアの試合はギリギリまだ終わっていなかった。

 と言っても、あの飄々とした感じ、完全に遊んでいる。


 ロングソードをだらりと下げながら、飛んでくる魔法に剣をスレスレの所で躱す遊びをしているらしい。

 そして、桃色の焔でコーティングされた剣をぬるりと振った…かと思えば、見える数百の斬撃。

 いつか見たディンストン公爵の剣技、それの生き写しを見ているような気分になった。

 あっという間にブザーが鳴り響く。

 すると、原理はまるで分からないが、一瞬で俺の事を見つけてピースサインを送って来た。



「ねね! どう? どうだった?」

「凄い鍛錬したんだな」


 正直滅茶苦茶驚いている。

 単純な剣技では叶わない可能性もある。と言うか、俺のアホ親父…じゃなくて師匠が力isパワーみたいな剣技を俺に教えてきたから、技術面では完全に負けているだろう。力のヴァーミリア、技のディンストンってか?


「そう! 凄いでしょう!」

「うん、凄い凄い」

「本当にそう思ってるの?」

「思ってるよ…」


 めっちゃ構ってくる。


「っと…おい、アレ見ろよ」


 実況席の後ろのボードに、『ここまででの試合でAランクが確定しました!』 と書き込み。

 となると…。


「俺らSクラス確定っぽいぞ」

「え、本当!?」

「嘘付く必要もないと思うけど」


 まあここまでは予定通り。

 次はなるべく上位を目指す…いや、上位を目指す、じゃなくて一位を取る、くらいの意気込みで行こう。

 自分の実力がどれ程か、あの勇者に匹敵するのか否か…少しだけワクワクしてきた。

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