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いざ入学

「じゃあ行ってくるから」

「はい、行ってらっしゃいませ」


 玄関先でお見送りをするエルに手を振って、家を後にする。

 魔術学園に従者を一人だけ連れて来てもいい…というアレだが、やはりその制度を使っている人間は少ないっぽい。と言うか、従者を連れて来ても、結局寮くらいしか立ち入りが出来ないので、あんまり連れてくるメリットがないらしい。

 俺は彼女を実家に置いていくのがどうしても駄目だったからこうしたが。後悔はしていない。





 普通に門を潜って学園に入る。

 やはりと言うべきか、ほとんどの人間は寮から学園に通うらしい。

 至極当然の事ではあるのだが…制服を身に纏った少年少女がほとんどだ。

 かくいう俺も。

 指定の制服だが…あんまり好きじゃないな。

 個人的にはこういう角ばった感じの服は嫌いだ。

 できれば一生パジャマで暮らしていたいタイプの人間なのだ。


「あーっ! アルティ!」


 と、考えごとをしていると、遠くの方から俺の名を呼ぶ声がした。

 大きく揺れる紅色のツインテールは腰に届くほど。

 金色の瞳が俺を見据える。

 誰…だっけか。


「私の事覚えてる!?」

「うーん、えーっと…え、マ、マ…?」

「ちょっと、あたしの名前覚えてないの!?」


 いや、頭の片隅には引っかかっている気がするんだが…マ…あ。


「マリアか!」

「そう! 思い出すのに時間かかりすぎ!」


 いつぞやの公爵令嬢のマリアだ。

 彼女の母に魔術学園に行ったら俺にまた会えるとか詐欺じみた嘘を付かれていた記憶しかないが…まさか本当に来るとは。

 しかしながら、お転婆だった頃とは打って変わって、少しながら女性らしさを感じさせる立ち振る舞いが出来るようになっている。驚。


「あたしも魔術学園に来たんだよ!」

「へ、へえ、そうなんだ。これからよろしく」

「えへへ、うん!」


 いきなり魔術学園に来たよ! なんて言われても困る。





 二人で学舎に入り、入学式が行われた。

 学園長は初老のおじいちゃんと言った感じで、話はまあ長い物だった。

 前世ではこのような集まりで長時間耐える訓練が何度もあったので自分は大丈夫だったが、他の貴族っぽい子達はもう全滅。そりゃ眠いよね。


「…そろそろ話も長くなってきてしまったので、他の先生にバトンタッチしましょうかね」


 なんて学園長が講壇を降り、そこに昇って来たのは紫の髪をした大男。


「…いいかお前らッ!」


 会場に響き渡るバカでかい声。

 その声にビックリしたのか、眠っていた生徒たちが目を覚ます。


「ここに来たからには、申し訳ないがお前達は貴族、平民関わらず平等に『生徒』として扱わせてもらうッ! 間違いがあればそれを指摘しッ! 正しいことをすれば君達を褒めるッ! そこに贔屓は一切ないことを理解して頂こうッ!」


 なかなか元気がある先生だ。


「俺個人としての話はそれだけだ! それでは、早速クラス分けの試験を受けてもらうことになるッ! 案内に従って教室まで移動してくれ! そして午後からは実技テストだッ! それぞれの健闘を期待しているぞッ!」


 簡潔にそう述べると、大男はそそくさとその場を後にした。










 入学式も終わって、筆記テストが開始される。

 こういうのって入学試験でやる物なんじゃないか…と思ったが、どうやら俺は貴族特権で入学試験が免除されているらしい。

 まあ入学試験と言っても、平民が魔術学園で本当に学習できる実力があるのか、主に魔法関連の適正を調べるだけっぽいけど。

 この学園は魔術を極める為に設立された物なので、実は魔術の腕前以外はあんまり重視されない、完全実力主義だ。

 言ってしまえば筆記も、クラス分けにおいてはそこまで重要ではない、らしい。


 しかしながらそこに手を抜く必要はない。自分の実力がどれほどなのか、思う存分確かめさせてもらおう。












 テストは国語、歴史、数学、申し訳程度の魔術理論と薬学だった。

 そのどれもが俺にとっては生ぬるい物であったことは否めない。


 しかしながら、本番は午後。

 一応父親に勇者の技全部パクってこいと脅されてもいるし、何より行けるなら一番上に行きたいからな。

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