76話
「はぁ、見つからない…。部署に関係ある場所にしか隠してないと団長様は仰っていたけど。僕ら新人騎士はどこに行ったら良いかも分からないよ…。第一、ヒントがさっぱり分からない。どうしよう。」
新人騎士の少年は困り果てていた。
家族サービスという名の宴会が始まったのは昨日。今夜は最後の宴で、先ほどは血継の儀という摩訶不思議なものを見た。
先輩たちによると、最近同僚となった二人の元英雄が飲んでいたのは、団長様の血らしい。
血を飲む事で家族になるだなんて…、と悍ましいものを見た気分だったが、同じ敷物に座っていた教官から団長は天竜なのだと聞いた。
御伽噺か宗教にしか出てこないような天竜。まさかそんな伝説の存在が騎士団の団長をしているなんて、と信じられなかった。
他の新人たちも同じだった。だが、そんな自分たちを見て教官は笑った。
そしてその後教官は自身の腕を竜の物に変化させた。
新人騎士は皆驚いた。
これが竜の血を継ぐってことさ、などと教官は言っていたが、少年を含め新人騎士たちは混乱しておりその後の話など頭に入ってこなかった。
「護国騎士団って実は怪物集団だったのかな…。僕もいつかあんな風に怪物にされてしまうんだろうか。」
少年は不安でいっぱいだった。
本来ならば新人騎士には団長の正体とグラナルド建国の真実についての授業が予定されている。しかし、最近の騒乱のせいで中々そのような時間が取れず、新人騎士たちも先輩たちと巡回などの任務に就く事が多かった。
タイミングが悪いと言ってしまえばそこまでだが、このような年は今まで幾らでもあった。
宴会を終えたら直ぐにでも座学が再開される予定だ。だが新人騎士たちはそれを知らない。
「お前、今ドラグ騎士団を怪物集団だと言ったか?」
ふいに後ろから声をかけられた。
少年は慌てて振り返る。後ろにいたのは、先ほど竜の血を飲まされたという元英雄二人の内一人、フォルティスだった。
「い、いえ!その…、それはですね。あの…。」
少年は慌ててしまい言葉が上手く出てこなかった。確かに自分は先ほどドラグ騎士団を怪物集団だと言った。
誤魔化せるものなら誤魔化したい。しかし聞かれてしまった以上、取り繕う事は出来なかった。
「怪物集団だと知っていたら入団なぞせんかった、そう言いたいわけか?」
しどろもどろになる少年に、フォルティスはなおも詰問する。
少年は諦めて頭を下げた。
「すみませんでした!失礼な事を言いました。でも僕は洗脳されるのも怪物になるのも嫌です!だから辞めます。」
言うだけ言って踵を返した。辞めると言った以上、出て行かなければ。そう思っての行動だったが、ふとある想像が頭を過った。
秘密を知った者は生きて出られないのでは…?と。
急に背筋が凍った気がして、少年は走り出した。故郷では同年代に足の速さで負けた事はない。体力も入団してからの訓練で大幅に増えた。
相手が元英雄と言えど老人だ。逃げ切れるはず。
そんな思いで街に繋がる南門を目指して走る。
だが少年の逃走劇は数秒で幕を閉じた。
ガシッと肩を掴まれた少年は、そのまま引き止められた。
慌てて肩に乗った手を振り解こうとするが、その力は少年の力では到底敵わないほど強かった。
まさか、先ほど飲まされていた血によって、この元英雄も怪物になってしまったのでは、などと想像した。
「まぁ落ち着け。儂は別に怒っておる訳ではない。だが、我が相棒の事を勘違いされたまま出て行かれるのも面白くないでな。儂の話を聞いて、それでも出て行きたいなら止めはせん。好きにすれば良い。」
フォルティスは冷静に少年を見下ろして言った。
だがその瞳は哀しみを浮かべており、少年は頷くことしかできなかった。
二人は本館横に設置されている横長のベンチに腰掛けた。
筋骨隆々なフォルティスと年相応な身長の少年とでは、明らかにベンチを占める割合が違ったが、それでも少年はフォルティスから少し距離をとって座った。
「あの、勘違いってどういう事ですか?」
まずは話を聞いてみなければ、と己の心を奮い立たせた少年。勘違いと言われれば確認したくもなるのは人間の性だろう。
「ヴェルムはな。天竜が一翼、闇竜なんじゃよ。それはもう知っとるか?」
少年は頷いた。教官から先ほど聞いたばかりだ。
世界を維持し見守る天竜。その下に属性竜が存在しており、天竜は全ての竜を従える。
それが一般人の認識だ。西の国、天竜国ドラッヘに行けばもっと詳しく聞けるかもしれないが。
「ヴェルムはグラナルドの建国王と出会い、友誼を交わした。そして建国王が困窮する民を救いに行く間、彼の家を護ると約束したのだ。因みに、我がファンガル家はそんな建国時から王にお仕えする家だ。かなり古いんじゃ。」
突然フォルティスの家の自慢が始まったが、少年は目を輝かせて聞いた。彼がドラグ騎士団に入った理由の一つが、この目の前の英雄に憧れたからだ。他にも様々あるが、この英雄のようになりたいと願ったのは確かだ。
「まぁ儂の家はどうでも良い。大事なのは、ヴェルムの事だ。ヴェルムは建国王に自身の力を貸した。なぁ、少年。お前は友をなんと心得る?」
「友、ですか?僕にとって友とは、互いに損得無く付き合い助け合える、そんな関係だと思います。」
少年はフォルティスの問いにしっかりと答えた。歳の割にしっかりした考えを持っている事に驚いたフォルティスだったが、だからこそ受かったのか、と理解した。
「では、ヴェルムと建国王は友ではないと思うか?ドラグ騎士団の前身である魔法隊は、建国王の妻がヴェルムに願い出て訓練を受けたと聞いておる。ヴェルムは与えてばかりだな?建国王は何も差し出しておらん。お前の言う通りなら、互いの損得無く付き合えておらん気がするのぉ?」
少年は黙った。数秒考えて顔をあげた。
「何か建国王から受け取ったのではありませんか?金や名誉。ドラグ騎士団の団長という立派な肩書きがあるではありませんか。」
少年の答えにフォルティスは哀しい表情を浮かべた。
少年は理解できなかった。なぜフォルティスがそんな表情をするのか。
「違うのじゃ。建国王が与えたのはそんな物ではない。寧ろ、天竜であるヴェルムに金や名誉などあってもいらんじゃろ。一国の騎士団長より、天竜の方が凄いじゃろうて。」
少年は自身の考えが間違っていた事に気付いた。確かに世界を維持する天竜に、騎士団長の座など意味がない。考えればわかる事だというのに、どうしてもヴェルムに対する悪印象が強くなってしまっている。その事が自覚出来ただけマシなのかもしれない。
「では建国王は何を与えたのですか?」
答えが分からない少年は正直に口にした。
フォルティスは少し笑って夜空を見上げる。少年にはその横顔がどことなく嬉しそうに見えた。
「建国王はな、ヴェルムに家族という存在を教えたんじゃ。友を知って国を知った。人間の文化を知って愛を知った。だがそれでもヴェルムは一人だった。だから建国王は、家族の良さをヴェルムに教えたんじゃな。」
「家族、ですか?」
少年には理解の及ばない話だった。商人の息子として育った少年は、身の回りに常に損得が付き纏った。父はいつも行商で村にいなかった。だが金はあった。村の子どもたちは自分と仲良くすれば相伴に与れると思って一緒に遊んでいるのは気付いていたし、母と子の暮らしのため強盗に入られた事もある。
首都に来てからは剣術道場に通うばかりで友など作っていない。
少年は真に友と呼べる者がいないのだ。
だから混乱した。意味が分からない。
「そう、家族。お前に家族はあるか?」
フォルティスは少年に尋ねた。少年は頷いてから、父と母が。と答えた。
「そうか。ではお二人を大事にせんとな。儂も、妻はもう死んだが息子たちがおる。孫もおるんじゃ。ちょうどお前くらいかの。」
少年にはフォルティスが嬉しそうに見える。だが、表情は笑っていて嬉しそうなのに、瞳にはどこか哀しみが見える。それが不思議だった。
「天竜というのはな、孤独なんじゃ。セトの奴が言っておった。やっている事は眷属を増やしているだけ。だが、それでも人間を家族と言える竜などヴェルムくらいだろう、とな。儂からすればセトも似たようなもんじゃと思うがの。」
フォルティスの言葉に、少年は返事をする事が出来なかった。
少年は賢かった。現実的でしっかりしていた。
だからこそ天竜などという非現実的な事に混乱した。
だが自身と当て嵌めて考えればすぐに分かる。自身なら絶対に耐えられない、と。
滅多に会えない父を嫌った事もあった。だが今では父に感謝している。母に対しても同様だ。ここまで育ててくれた恩を返したい。
だが、ヴェルムにはそもそもそんな相手がいないのだ、と。
御伽噺では、天竜は世代交代によって生まれるという。親は卵を産み死ぬ。孵すのは眷属で、卵の時点で既に天竜なのだと。
ヴェルムが天竜なら、自身の親の顔すら知らないのではないか。そう思ったのだ。
少年にはそれが途轍もなく哀れに感じた。
「一つ前提として言っておくがの。血継の儀は受けたい者が受けるんじゃよ。ヴェルムの家族になりたい、と心から願った者がな。人によっては退団まで儀を受けなかった者もいるらしいの。お前もそれでいいんじゃないかのぉ。ヴェルムは何も強制しない。そもそも護国騎士団なんぞ必要ないんじゃよ。天竜じゃぞ?一人で十分じゃろ。」
たしかに。少年はそう思った。ではわざわざ騎士団を組織している理由は?と考えたが、そもそも人間の国を護るのに天竜が出てくるのはおかしい。
だからこその騎士団なのか、と考えを纏めた。つまり、血を飲まされたのではなく、血を飲ませてもらったのだ、と考えが至った少年は、慌ててベンチから立ち上がった。
「ファンガル伯爵、すみませんでした!僕が狭い見識で勝手に勘違いをしました。どうかお許しください!」
フォルティスはそこで、やっと瞳から哀しみを消した。今は心から笑っている。
一通り笑った後、はっきりと言った。
「フォルティスと呼べ。我が同期よ。」
「なにやら問題があったみたいだけど、私の相棒が解決してくれたみたいだね。」
宴も終盤だった。今は極道隊が石板を探しに行っている。
ヴェルムのいる中央の敷物には五隊の隊長が集まっていた。
「新人の子ですね。教官の腕を見て随分と怯えた顔をしていましたが、フォルティスと共に歩いて帰ってきてからは元気そうです。」
アズがとびきりの笑顔で言う。彼は今とても機嫌が良い。
彼だけではない。他の者も皆満面の笑みで好きなものを飲んでいた。
「あぁ。他の者も驚いていたようだが、それぞれ先輩や上官が宥めたようだな。」
スターク腕を組んで目を閉じているが、これは彼の感情制御の時の癖である。曰く、隊長が喜び舞い上がれば部下に示しがつかない、らしい。
「ていうかよ、俺たちのヒントほんとに酷いんだぜ?部下も全員そこに一直線に走りやがるしよ。」
新人に関してはもう大丈夫だと分かったからか、急に不平を漏らすガイア。その横でサイがクスクスと笑った。
「なんだよ、サイ。言いたい事があるなら言えよ。」
「いいえ?貴方は本当に部下から愛されてるのね、と思っただけよ?」
尚もクスクス笑うサイに、隣で愛用のマグカップを両手で持ち息を吹きかけて冷ましているリクがボソリと呟いた。
「さっちゃんも愛されてるよね。こないだのアンケートもさ…」
「リク!」
最後まで言わせてもらえなかった。サイにとって先日のアンケート事件は最早黒歴史なのだ。
このやりとりで、ここにいる男性陣は悟った。
"これからしばらくはリクにこのネタで弄られるだろうな"と。
そんな中、つい先ほど出て行ったばかりの極道隊がすぐ帰ってきた。
しかし何か様子がおかしい。
カインは怒りで顔を真っ赤にしているし、副部隊長のエノクは呆れ顔。
部下たちは必死にカインを宥めている。
それを見たヴェルムはニヤァと嫌な笑みを浮かべた。
それはまるで、悪戯が成功した子どものようで。
そんなヴェルムに気付いた隊長たちは、静かに中央の敷物から避難した。
「おい!ヴェルム!なんてとこに隠しやがった!ていうかいつの間にあそこに入ったんだ!」
零番隊は普段から本部にいない部隊が多い。しかしそれぞれの部屋はちゃんと準備してある。
"白亜の騎士城"などと呼ばれる程大きな本館は、零番隊が全て戻ってきても大丈夫なようになっている。
今回、極道隊の石板のヒントは、"秘密の宝箱"だった。
「やぁ、カイン。早かったね。最速なんじゃないかい?」
カインの怒りなど完全無視のヴェルムは、相変わらず嫌な笑みを浮かべている。
あまりのカインの怒りに、カインの弟アベルもルルと共に自身の部隊が集まる敷物から中央に視線を向けていた。
「早かったね、じゃねぇ!どこに隠してやがる!おかげで部下に知られたじゃねぇか!どうしてくれるんだ?あぁん?」
まるでゴロツキのような発言でメンチをきるカインだが、ヴェルムはサラッと流した。
「どこって、そりゃあ君が子どもの頃アベルから贈られた物やアベルに関する物が詰まった宝箱だよ。石板にもあっただろう?"秘密の宝箱"って。」
「お、おい!なにしれっとバラしてやがる!ぶん殴るぞ!おい、お前ら今聞いた事は忘れろ!」
「そりゃ、どこに隠したか聞かれたから答えただけだよ。あれ、もしかして隠したかったのかい?」
「隠したいから箱に入れて鍵までかけてんだろうが!そもそもてめぇも秘密だって分かってやってんじゃねぇか!」
「おや、バレてしまったよ。アベル、私を助けてくれないかい?このままでは君の兄に殺されてしまうよ。」
「ぼ、僕を巻き込まないでください、ヴェルム様。兄の無礼は謝罪しますので。」
遂にアベルを巻き込んで大騒ぎ。この日からカインを怖がっていた本館勤めの事務官たちから、カインは温かい目を向けられるようになった。
最後の部署が戻ってきた。最後は錬金術研究所の所員。所長が脇に挟んで持ち帰った石板には、最後にこう記されていた。
最後のヒントは"座布団"
所長は中央の敷物まで来ると全員の注目を集めた。
「最後のヒントは"座布団"。つまり、ヴェルム様が今座ってらっしゃる座布団ですよね?いつもと違う座布団だな、とは思っていましたが、まさかそれが最後の隠し場所だとは。」
ヴェルムはニコリと笑って立ち上がった。そして座布団を手に取り所長に渡す。座布団の横を開けると、中から石板が出てきた。
「私が読み上げるんですか?では僭越ながら。」
所長は石板を受け取り仕方なさそうにしながらも石板に刻まれた言葉を紡ぎ出す。
私の家族サービスは楽しんでもらえただろうか。
ドラグ騎士団の創立より300年以上。これまで沢山の者がここを訪れた。
私の家族になってくれた者、そうでない者。喧嘩をした事もあれば裏切られた事もある。だがそんなヒトの生活が私はとても好きだ。
私の初めての友はグラナルド初代国王だった。彼がいなければドラグ騎士団はなかった。君たちと家族になる事はなかったんだ。
私が初代国王から愛を教えてもらったのと同じように、君たちにも私から何かあげられているだろうか。
君たちからはいつも貰ってばかりで大変申し訳ない。もし良かったらこれからはもっと君たちと交流出来るよう、色んな場所へもっと顔を出していこうと思う。
私の一番大事な宝物の皆んなへ。ヴェルム・ドラグ
訓練場は静まり返っていた。
だが、誰かが手を叩き始めた。それが伝播し、次第に巨大な波となって包み込んだ。
多くの者は目に涙を浮かべていた。
そんな中、アズがヴェルムの前まで来て急に膝をついた。
「我らドラグ騎士団団員一同、団長に頂いた愛に深く感謝すると共に、より修練に励み、家族として万難に立ち向かう事を宣誓致します。こちら、全ての団員の力を合わせ作りました。どうぞお受け取りください。」
アズの宣誓が始まると同時に、団員も同じように膝をつく。立っているのはヴェルムだけだった。
そしてアズの宣誓が終わると、アズの横に来ていたカリンが空間魔法から式典服を取り出す。ヴェルムの身体のサイズに合わせた木の枠組みに服を着せており、背にはマントまである。そのマントを留めるのは、竜の形のブローチである。その竜が大事に抱える魔石は、闇属性の魔力がたっぷりと込められていた。
ヴェルムは驚いて固まっていた。
今回は自分がサプライズで余興を準備したのに、まさかサプライズで返されるとは思っていなかったのだ。
そんなヴェルムの耳に、ほっほ、という笑い声が届く。その声の主を見ると、既に立ち上がり式典服をこちらに持ってきていた。
「さぁ、どうぞお着替えください。リク殿、説明をなさるのでしょう?」
リクは立ち上がり元気よく頷くと、ヴェルムに説明をしていく。団員たちはその段階で皆立ち上がった。
ガイアが座るように指示を出すと、皆座っていく。
立ってると皆んなが見えないからな、などと言いながら自身も座ったガイアだったが、サイに褒めるような笑顔を向けられそっぽを向いた。
「団長、これね、みんなで作ったの。団長のおかげで毎日が幸せだよって。そんな想いを込めて作ったよ。零番隊の皆んなには、それぞれの任務地だったり、近くまで行ってたらついでによってもらって材料を集めてもらったの。製作科の人たちは設計から何からお世話になったよ。研究所や魔道具部門の人には付与する魔法陣を。他のみんなは一人一針入れて貰ったんだ。皆んなの想いを込めて入れてもらったよ。このマントの留め具は、さっちゃんの叔父さんが作ってくれたの。彼もドラグ騎士団の団員だったんだね!最近知ったんだ!魔石は私がじぃじに協力してもらって魔力を込めたよ。どう?カッコいいでしょ?」
リクの説明が全てではなかったが、団員たちは皆期待に満ちた目でヴェルムを見ていた。
ヴェルムは右手を軽く挙げ魔法を使用する。すると飾られていた式典服をいつの間にか身に纏っていた。
「おい、ヴェルム!カッコいいぞ!お似合いだ!」
料理長の野次が聞こえる。訓練場は笑い声と拍手に包まれた。
「皆んな、ありがとう。大事にするよ。皆んなを労うための家族サービスで、私が何か受け取る事になるとは思っていなかった。本当に嬉しいよ。これなら億劫だった式典も楽しみになるね。」
更に場を笑い声が埋め尽くす。
「団長、家族サービスなんですから、団長が受け取るのは当たり前じゃないですか。団長の家族なんですから。」
アズがニコリと笑ってヴェルムに言うと、ヴェルムはそれもそうか、と笑った。
楽しい宴だった。皆それぞれの寝所へ移動する。その表情は皆同じ。隠しきれない笑みだった。




