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試練



 その日は、どうにも様子が可笑しかった。

 流れの民として、大集団で、この町に住み始めて早一年を過ごしてきた。

 大集団といっても町はそれなりに巨大で、分散して俺の身の回りの同国の士はわずかばかり。

 くわえて俺は話下手で根本が人を避けるように内心で嫌う性質もあり、僅かな士も1か2程度。


 その1が今日はなにやら頗る様子が可笑しいので、流石の俺も話しかけたのだ。

 いうに「今日は例のイベントだ、お前は落ち着きすぎている」

 イベント? 問うと「一年前に、この国に来るときに言われただろう?」と

 

 俺は輸送船では、ずっと寝ていた、生まれながらに体が弱いのだ、いろいろと。

 そして深く話は聞かずに、ついていくことにした、それくらいに彼の切迫具合から把握して。

 把握していた通りなのか、イベントの会場は、とんでもない人、ヒト、ひとだかりだった。


 知人とは会場のごったがえしで逸れ、今は一人、壇上の男がみなに聞こえるように宣告する。

 「今日は 町の外に出ればいい」と「ソレ以外になく、100ルート以上あるので自由に決めろ」

 「他、質問全てには答えないと」「生き残る事ができる」? 

 

 段々と察しの、オマケに多少頭のデキにも劣等感があるような無いような俺にも、分かってきた。

 これは選別だ、選抜だ、なにかしら突破しないとペナルティーのあるタイプの、

 それなら何も言うまい、周囲の人間にも何も問うまい、たとえ突破できない罰が死だと仮定して

 この選抜に挑む、俺はタカを括っていた、流石に殺されはしまいだろうと、心の奥底では。


 町の外に向かう大集団、段々と分岐して分岐して、少なくなっていく。

 というより俺は、死がペナルティーとして、あるかもしれない、

 その重圧とプレッシャー、自己暗示のように使って、己の精神を高揚し、

 この試練を突破できる可能性を高めていた、そういう精神操作を活用していたのだ。


 走って走って走って、そろそろ町の外だろうか、

 本当に走った、国土の広い帝国において、一口に町の外といった場合の尺度的に。

 普段の俺ならば、とっくの昔に走れなくなって集団から外れていたかもしれない。

 死のプレッシャーはそれ位に俺を助けてくれた、あと少しだと信じて、ひたすら、走る、ただ走る。


 当初の大集団は分岐と分岐の連続で、70人ほどになっていた。

 さらに3キロメートル先に、町の外、とは表現が違うが巨大な壁と、ソレに隣接した施設も見えてきた。

 壁を上れと言われたらお手上げだなとか、検問でまた何かあるのか、考えながら

 段々と坂道になっていく道を走っている、と


 ふいに脇の細い側溝が視界に入った、並行して走る舗装された道に加えて、それはあったのだが。

 大量の水生生物が居た、わが祖国では費用の関係で、水生生物という義体になる事が許されていた。

 おそらく人間だった頃の知能を備えて安価に過ごせるという事で大量の人間が所謂さかなになった。

 恐らくそれだろう、だが坂道を上るのに特化した、費用をかけてカスタマイズされた個体は

 少なかったのだろう、段々と脱落していく、それだけならいい、生物として過度なストレスが

 掛かる事を考慮されていないので、過度のストレスを浴びると異常行動をとるのが水生生物らしい

 という知識通りに脇の側溝からジャンプして干上がる個体が続出した、し始めた、それも全員くらいの勢いで。


 ああ、最後には見るからにカスタマイズされた強化型、おそらく精神も鍛えられているのだろう一匹だけになった。


 そんなことは、どうでもいい、確定した、この試練を突破できないということは、ソレ即ち死なのだ、と。

 走る、息が鎮まる、全力で集中し始めて、さきほどより筋肉がこわばってしまった。

 こういう事を予想して、俺も初めから詳細を聞けば分かるだろうに、聞かなかったのだが、ゴールはもう少し。

 坂道が思ったより長く感じた、いやむしろ、これが普通だ、俺は体が弱いから、普通ならとっくの昔に脱落している。


 施設を通り過ぎ、壁の方に向かう、絶望的な光景が広がっていた。

 男用ルートは断崖絶壁をロッククライミング、並みの筋力と体重バランスでは無理で、

 俺の場合は筋力的に無理なのが上る前から分かってしまった。

 周囲の男は若干あきらめたような表情で登り始めた、俺はそれを黙って見ていた。


 いくらかは頂上までたどり着けたらしい、だって見ていたから。

 だがソレ以外は、酷い物だ、実際にモノとして物言わぬ屍を晒しているのだから。

 俺は女用ルートに向かった、ご丁寧にマークで書かれているのに。 

 生き残る最善を尽くそう、これで拷問されたり、果たしてするのかもしれない。

 だが数か月前、俺と一緒に過ごした妹の、病に侵され最終的には自決した妹の手紙が思い浮かぶ。

 「生きて、お兄ちゃんが生きてくれることが わたしの精一杯の、死ぬ前の喜びです、、、」

 もちろん、俺にはそんな都合の良い妹など居ない。

 妄想だ、だが俺が信じる限りソレは存在する、俺なりの処世術のようなものだ、それを糧の行動だったのか。


 目の前には、若干ゆるいアスレチックがあった。

 俺でも踏破可能かもしれない、だが三人の係員のような人間が壁から顔を出して棒を構えていた。

 先端が輪のような形になった暴漢迎撃でよく使われるタイプのように見える。


 終わり


 常に目が曇ってるから、常に目覚めるような、目からうろこが落ちるような

 現実は想像を絶するから、現実はだから想像できないからやるしかない

 頑張るしかない、真に死力を尽くすしかないって、真理神髄、現実の残酷・冷酷・厳しさ純粋な難易度の高さを痛感しよう


(完)了



 蛇足・ネタ晴らし


 テーマは「厳しい民たちの試練の歩行時間」とか最初は思い描いていました。


 そう、ただそれは、そうなだけで、そうあるべくして在るだけ


 前提設定 

 

 難民輸送船

 スペースオペラ的なFSなのか現代ものか分からないように、創造力が働くように、世界観の解釈に幅が持てるように濁す


 妹がいる、難民輸送船で寝ていた俺を起こさなかった、

 輸送船で秘密裏の?秘密の極秘の、監視・統制社会って事でリアリティーが出せるようにしておく?

 

 妹は初めから、その選定・選抜に残れない生き残れない、

 だから一年後?のソレは初めから諦めて、真に愛する勇逸無二の肉親と過ごしたい

 だけどコレ、ソレを兄が知ってしまったら、一緒に過ごせないかもしれない恐怖、

 死の明確な恐怖もあって、選定・選抜の直前まで兄に言わなかった

 

 だけど最後に、最後の日の一時、兄に質問「兄さん?お兄ちゃんは、生きたい?」

 その前に難民としての苦境、前の国の厳しい現実、客を取らされて、クソみたいな客に○○〇〇〇〇〇

 変態な振る舞いを超絶に強要されて現実に世界に絶望していた、

 さらに追い打ちの、この仕打ちである、ぶっちゃけ死にたい?この質問に兄は、俺は、お前がそばに居るなら別にいいよ


 このとき、既に兄は、俺は周囲から孤立していて、というより?妹がコミュ障で常に一緒に居るようにしむけた?

 または難民は広範囲に散らばって?仕事とかの都合上?言語の壁で

 最初から仲良くなれなかった?まあそんな感じで、妹が居ればいい、むしろいもうとが可愛いので、

 超絶美少女の設定にしておく?リアリティーは減るかもしれないが

 

 お前が居ればいい、それでいいよ、むしろそうだ、妹の名前)はお兄ちゃんの事好きだから、

 俺と将来は結婚すれば良いよ、そうすればずっと一緒に居られる、死ぬまでずっと一緒だぞ

 ?とか言って肩を組む、それを妹は突き飛ばして、罪悪感が臨界に達して、今日の終わりに強制連行される位なら自殺しようと持っていたナイフで、

 本当は終わりの時に兄を刺すはずだ

 

 ったという、語られない裏設定、で自分を腹を刺してひねって助からない外から見ても助からない、

 兄は昔は殺し屋だった、妹がとんでもない汚れ仕事やってて兄がやってないわけない?

 ?それで救急車で時間取られるイベントもすっ飛ばして物語を繋げる、してで、お兄ちゃんは生き残って、生きて、ここで真実を話す、

 なにも知らない短編モードなら、ここら辺はすべて省略しても良い

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