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出会い

「一体何を読んでいるのですか?」

 朝食前の食卓で何やら資料を読むミスティアに、鉄板でステーキを焼きながらヒュドラは尋ねる。

「一昨日発表された論文。操術の起源についての新説が提唱されたって聞いてね」

「それは一体どんな説なんです?」

「それはえっとね……」

 ステーキの焼ける香ばしい音を背景にミスティアは語り始める。

 

 太古の昔、魔物と人間は一心同体だったという。人間は今よりずっと無力で、魔物なしでは生きられなかったのだと。しかしある一つの出来事をきっかけに人間は魔物の力を得た。その力こそが操術なのである。

 しかしその代償として魔物は人間に対して敵対的になってしまった。現在の魔物と人間の争いはその出来事が原因だと考えられる。


「……随分斬新な話ですね」

「でしょ?操術は神から賜った神聖な力って言うのが通説なのが、あろうことか魔物の力だっていうんだから、発表当時は批判轟々だったって。もし発表したのが貴族じゃなくて平民だったら即刻処刑されてもおかしくないよ」

 ヒュドラは「そうですねぇ」と相槌を打ちながら巨大な熱鉄板の上に、右手で卵を割って落とす。卵は鉄板に触れるや否やジューっと焼け始めた。

 加えて左手に握ったフライ返しでステーキを裏返す。裏返された分厚いステーキは表面がこんがりと焼けており、食欲を掻き立てる香りが部屋中を包み込む。


「ただ……」

「ただ?」

 ヒュドラの問いにミスティアは考え込むような表情で答える。

「操術っていうのは、ある一つの概念を我が物とし、自在に操る才能のこと。才能は先天的な要素だから譲渡は不可能なんじゃないのって思うけど。あと、論文にある“ある出来事”っていうのも気になるし」

「ふふ、ミスティアらしい意見ですね」

「まあ、神なんていう存在するかどうかすらわからないものからもらったってよりは信憑性あると思うけどね」

 そうまとめつつも考えふけるミスティアにヒュドラはクスクスと笑う。

「まあそれはおいといて、ステーキも焼きあがりましたよ」

 ミスティアの表情が待ってましたと言わんばかりに明るくなる。さっきまでの思考はどこへやらだ。

 食卓に並んだ料理はディナーを思わせるほど豪華で、窓から入る光がなければ今の時間帯を錯覚してしまいそうだ。

 ミスティアは、料理を一通り作り終わったヒュドラが椅子に座るのを確認して手を合わせる。パチンッと手が鳴り、ヒュドラもそれに合わせて手を鳴らす。

 一拍。

 ミスティアは手元の箸を手に取り、ステーキを口に放り込む。瞬間口の中に広がるジューシーな肉汁と香り、そしてボリューミーな噛み応え。それらが彼女の顔に自然な笑顔をつくりだす。

 続いてサラダを箸でとり口に頬張る。早朝に中庭から収穫してきたらしい葉物野菜の、心地よいシャキシャキ音のリズムが、彼女の気分を盛り上げてくれる。

「ん~、ヒュドラの作るご飯はいつ食べてもおいしいね」

 これ以上ない笑顔で言うミスティアに、ヒュドラも自然に笑顔になる。ヒュドラはミスティアをニコニコして見つめながら「ありがとうございます」と言った。


 それから少し経って、ミスティアは異変に気付いた。普通は置いてあるはずのアレが、ない。

「ねえヒュドラ、メリッカ(パンとナンの中間のような食べ物)はないの?」

 そう言われ、ヒュドラは食卓を見る。確かに豪勢な料理が並ぶ中、唯一主食だけが抜けてしまっている。

「……ごめんなさい、今回は外に行くついでに買って食べてくれませんか? 夕飯以降の分は用意できると思うので」

「別にそこまでしょんぼりする必要はないよ。どうせ昼食を買い込む必要があるからそこで買えばいいし」

 ミスティアはそう言うと、スープを一気に飲み干し立ち上がる。

「ごちそうさま! それと行ってくるね!」

 ミスティアの髪が逆立ったと思うと、そのままミスティア自身も《《上へ》》落下した。そしてテーブルよりも高い位置へ到達した瞬間、今度は《《横へ》》落下し、開いている窓を通過して大空へ飛び立っていった。

「片付けが終わったら合流しますねー!」

 ヒュドラが一応大声で呼びかけるが、彼女に聞こえているのかは不明だ。ヒュドラは軽いため息をついてから、朝食の片づけを始めるのだった。


 空は今日もすがすがしいほど晴れ渡り、雲なんて一つも見渡らない。その上空をミスティアは滑降するように横切って街へ向かう。

 眼下には緑色の海原のような草原が広がり、そこを二分するように巨大な道路が横たわっている。その脇には巨大な堀と堅牢な二重の壁がそびえたち、その中に街が展開されていた。ミスティアはその街に向けて加速する。

 ——ウラヌス領中心街、“要塞都市”シャリオン。それが、この街の名だ。

 街道は主に街を8等分するように引かれた放射線状の道と、壁と平行に引かれた3本の環状道路の二種類で構成され、中心には見る者を圧倒するほどの巨大樹が鎮座していた。

 街道にはたくさんの人が行きかい、出店や商店街のある道にはまだ朝だというのにひしめき合うほどの人がいる。特に中心の巨大樹周辺は格段に多く、様々な人々が出入りを繰り返していた。

 ミスティアはその中で人のいない隙間を見つけ出すと、落下速度を緩め足を下に向けなおし、地面に落ちる羽のようにふわりと着地する。通行人の視線は突然空から降りてきた彼女に釘付けだ。

「ミスティア様だ」「ほんと?」「本日はどんなご用件でいらしたので?」

 近くにいた人々はそんなことを口々に言う。人の流れが一時的に停止し、彼女を一目見るとまた進みだした。

「ねえ、今日はいつもに増して人が多いね」

 ミスティアは通行人の一人に尋ねる。

「そりゃ、王誕祭が近いからに他ならないでしょう。ギルドにもその関連の仕事が大量に入ってますから、朝から忙しいってもんですよ」

「そっか、もうそんな季節なのかぁ」

 王誕祭。それは、この大陸を統べる唯一無二の皇帝の誕生日を祝う祭りだ。場所によって催される祭りの内容はマチマチではあるが、どこも共通して最も盛り上がる祭りの一つに上がるのだ。それはここシャリオンでも変わらず、この時期になると活気が通常の数倍以上に跳ね上がる。

「ありがと、じゃあ今日はそれ関連の仕事が多そうだなぁ」

 そう言ってミスティアがギルドへ行こうとしたその瞬間、背後から透き通るような大声が響いた。

「ミスティア殿ぉぉぉ!」

 ミスティアは反射的に振り返るが、声の持ち主を確認した瞬間軽い悪寒が走った。

 ミスティアに向けて大きく手を振る青年。その華奢で整った顔、そして他とは違う明らかに高価で高貴な服装。

「エドガー・オケアヌス……」

 ミスティアの表情が引きつる。この国――バルド帝国の下級貴族の一つ、オケアヌス家の第24太子がそこにいた。

「探しましたよミスティア殿。本日こそ縁談を考えて――」

「今のあたしにはまだ必要ないって前も言ったけど」

「ぐぬぬ……」

「しかも今日は王誕祭の準備で忙しいからさ、それ以外で用がないなら早く家に帰って欲しいんだけど」

 駆け寄ってきた貴族様に対し軽くあしらうミスティア。別に彼女は暇を持て余しているわけではないのだ。

 ミスティアはそそくさとこの場をあとにしようとする。しかしそこでエドガーから制止が入った。

「待ってください、本題はこれだけじゃないんです」

 そう言われてミスティアは少し考える仕草を見せると、少々面倒くさそうに「話はギルドで聞くからついてきて」と言ってギルドへと浮遊して向かう。それを見てエドガーと、彼の後ろに控えていた近衛兵が慌てて追った。


「いつ見ても、ここのギルドは素晴らしい出来ですね」

 ギルド内部を見てエドガーはそう言葉をこぼした。巨大樹の幹をそのままくりぬいて造られたその内装は、壁を覆うように水が流れ落ち、至る所に施された彫刻やレリーフが独特な雰囲気を演出する。

「あっ、いらっしゃいミスティア様。仕事をお探しですか?」

「それはあとでお願いするね。それより今から個室を一つ手配できない?」

「わかりました。係の者が案内しますねー」

 一行は受付嬢から手配してもらった人に案内され、上の階にあった個室に入る。近衛兵はドア前で待機だ。

 ミスティアはエドガーが椅子に座ったことを確認すると、先ほどまでの子供のような無邪気な顔からは想像ができないほど真面目な表情になる。

「……それで話は?」

  ミスティアから発せられるオーラにエドガーは少し冷や汗が出るが、気にせず話を始める。

「ここ数年に、ある宗教の勢力が拡大しているのをご存じですか?」

「リオブルガンテ教団のこと?」

 エドガーは「はい」と言いながら首肯する。

 リオブルガンテ教団。それは大昔に存在していた巨竜の魔物、リオブルガンテを崇拝する宗教のことだ。破壊と絶望の象徴とされる最悪の魔物を崇拝してるだけに、一般には邪教として扱われている。

「はい。その教団の構成員が最近、ここウラヌス領に頻繁な出入りが確認されているそうです」

「厄介だね。やっぱり理由は血筋?」

「十中八九そうでしょうね。ウラヌス家はリオブルガンテを屠り、そして……」

 ここまで言ってエドガーは口籠ってしまう。もう遠い昔の話とはいえ、このことを言っていいのかと。

 しかしミスティアは表情一つ変えずに頷く。それを見てエドガーは意を決したように言った。

「“業火の終末”を引き起こし、世界を滅亡の縁にまで追いやった張本人でもある、彼の“終末の英雄”のご子孫に当たりますから」

 “業火の終末”とは今から4000年前、リオブルガンテ討伐から約3年後に起きたとされる大火災のことだ。それによって人類を含む全生物の半数以上が死滅したとされる。

「教団の目的は依然不明ですが、どうか用心してください」

「わかった。話はそれで終わり?」

 緊張感を解いたミスティアが訊く。エドガーは「ああそれと」と続けた。

「それとこちらに“竜腕りゅうわん”が来ているとの情報が入っています。教団とのつながりがあるかもしれないので、裏付けが取れるまで絶対に接触しないように」

「“竜腕”?」

 首をかしげるミスティアに、エドガーは呆気にとられてしまう。「ご存じじゃないので?」

 ミスティアは首肯する。

「ミスティア殿もあろう方がご存じないとは。“竜腕”というのは、左腕が竜の鱗で覆われている男のことです。噂では数千年も生きているとか」

 にわかに信じがたい話に、ミスティアは思わず笑ってしまう。一応亜人や獣人、巨人といった人種の中には千年以上生きる者もいるが、数千年となるとさすがに都市伝説だとか神話の類になってしまう。

「さてここからが本題なのですが、そんなこともあろうかと我がオケアヌス家では貴君の保護の意味も兼ねた受け入れ態勢は完璧に整っております!そしてあわよくば婚姻を――」

「うん要件はそれだけみたいだね。じゃああたしはこれで」

 エドガーの熱の入った演説には意も返さず、ミスティアは足早に部屋をあとにした。エドガーがその事実に気が付くのは、それから数秒経ってからだった。


「あら、もう話し合いは済んだのですか?」

「うん。まあね」

 エドガーから逃げるようにギルドのカウンターへやってきたミスティアに、受付嬢はそう訊いた。

「それで仕事の件なんだけど……」

「はい、既にミスティア様用の仕事の選別は終わっていますのでご確認ください」

 そう言って受付嬢はミスティアに一枚の灰色の板を渡した。ミスティアはその念写板と呼ばれるそれに手を触れて軽く念じると、頭の中に異物が入り込むような気持ち悪い感覚と共に様々な情報が流れ込んできた。

「……指名の仕事がいつに増して多いね。ただ全部私が行く必要もなさそうだし、指名は全部断っといて。ただ51番目と189番目の会場設営の依頼は受けるよ。あと依頼コードM189687の魔物討伐も受けるね」

「わかりました。魔物討伐の期限は特に設けてありませんが、できるだけ早急にお願いします。また会場設営は明日の15時からとなりますのでご注意くださいね」

「わかった。じゃあ早速討伐行ってくるねー」

 そう言ってミスティアは高く飛び上がると、ギルド内にいる人々の頭上を飛んで外へと出る。まずはメリッカの買い食いだ。

 後ろで「ミスティア殿ォォォォォォォォォ!!」と叫ぶ声も、今の彼女にはそよ風に等しかった。


「んーおいしー」

 袋いっぱいのメリッカを頬張りながらミスティアは空を滑空し辺りを見回る。だがパッと見る限りでは特に異常は見られない。

「シャリオンは強力な魔物の巣窟が近いせいで、こういう依頼が多いんだよねぇ。シャリオンが要塞都市なのも、平野なのに全く発展することができないのも全部それが原因だし。それさえどうにかなれば帝国一の経済力も夢じゃないと思うんだけどなぁ」

 ぶつくさ言いながらミスティアは遠くに見える森に視線を向ける。

 背の低い草しかないはずの平野から、突然数十メートル級の木々が生い茂るという異様な光景。あれこそが元凶、リヴァティンの森だ。

 “業火の終末”の直後、壊滅状態であった都市を丸ごと飲み込んで形成されたそれには、人類では到底太刀打ちできないほどの強力な魔物が数多く住み着いてしまい今では五天廊と呼ばれる、超危険地帯の一つに数えられてしまっている。

 大きくため息を吐き、ミスティアはいつの間にか空になった袋を何かで圧し潰すようにして消滅させると来た道を引き返し始める。

「確か、討伐対象は中型の飛竜の群れだっけ。やっぱりあれも森から出てきたんだろうね」

 今回の対象も一ひねりで終わりそうだなと考えながら探していると、遠くから赤い煙が上がっているのを発見した。

「あれは……救援信号!」

 そう気づくや否や、ミスティアはそこへ髪とワンピースが激しくなびくほどの速度で向かう。


「クソクソクソクソッ、なんで俺ばっかり!!」

 商人の男が馬を必死に追い立てながら悪態を吐く。飛竜の群れを見つけ急遽迂回をし始めたが不幸にも補足されてしまい、追われてしまったのがつい先ほど。大型の荷馬車を2頭の馬が全速力で引き、それを数十体の飛竜が追っていた。

 一応途中で救援要請と揺動の意味を込めて発煙筒を投げたはいいもの、飛竜は目もくれない。

「こういうことがあるから用心棒を雇ったんだ、この役立たず!」

 男が後ろに向かって叫ぶ。荷台には、商品が入っているであろう木箱に紛れて一人の男が膝をガクガクさせながら縮こまっていた。

「お、おお俺だって、こっこんな事態になるってし、知らなかったんだ!」

 ヤケクソ気味に用心棒の男は叫ぶ。おそらく目的地まで乗せてもらう目的で雇ってもらったのだろう。

「お、お前はどっどうなんだ!こ、こんな事態でもね、寝やがって!」

 用心棒の男の反対側には、また別の男が非常事態にもかかわらず座って寝ていた。彼は薄手の大きなローブのようなものについたフードを被っているせいで顔が見えないが、明らかに他の二人とは違う雰囲気を醸し出していた。

「これ以上走り続けたら馬がへばるか車軸が折れちまう!死にたくなきゃりゃ早く戦ってくれぇ!」

 馬は既に過度の疲労で今にも倒れそうだ。加えて逃げるときに道を逸れて未舗装の場所を全速力で走ってしまっているため馬車の車軸が悲鳴を上げている。

 その時、飛竜の一体が咆哮した。それに呼応するように他の飛竜も咆哮しだし、一体となっていく。

 それに驚いてしまったのか、馬が突然立ち上がる。完全に制御が利かなくなった荷馬車は慣性で前進し馬へ衝突。衝撃で馬は倒れ、その上を荷馬車が乗り上げてしまった。

 荷馬車内では荷物がシェイクされぐちゃぐちゃになってしまい、巻き込まれた用心棒の男は下敷きだ。

 商人も弾き飛ばされて馬車の外で気絶してしまっている。動ける者は誰もいないように見えた。

「……なんじゃこりゃ」

 上に乗っかった木箱をどかしながらフードの男は立ち上がる。起きたばかりで状況が読めていない様子だが、すぐに理解した。

 複数の飛竜の咆哮。飛竜たちは倒れた人間を喰らわんと周囲を取り囲むように旋回飛行をしていた。

「ったく、人間三人に対してその数じゃ足りんだろうに」

 男はこの事態にも関わらず、やけに冷静に馬車からゆっくりと地面に足をつける。その時に風が彼を撫で、フードがめくれ上がる。茶髪紅眼の青年。しかし口調に反して表情の変化は無に等しい。

 男は腰に装備している二振りのダガーを抜く。竜の鱗のような柄に磨き上げられた象牙のような刃を持つそれは武器というよりも装飾品のようだった。

「ほんとはあまり使うものじゃないが仕方ない。レーヴァ――」

 ダガーを前に構え力をためる。しかしそれを開放することはなかった。

 瞬間、飛竜の群れは一体残らず首が消滅し、血を垂らしながら地面へと落下していった。


「ふう、間に合った~」

 馬車付近の上空でミスティアは大きく息を吐いた。

「飛竜の鱗は売れるから頭だけにしたけど、馬車の人たちにとってはちょっと衝撃的すぎたかなぁ」

 しかし時すでに遅し。ミスティアはまいっかと考えるのをやめると、馬車の前で立ちすくんでいるような男のもとへ向かう。

「ケガはない?」

 男の目の前に着地しまるで心霊のように浮遊しながら寄る。だが男の様子がおかしい。目を丸くし、両手に持ったダガーが今にも落ちそう。

 そこで気づく。彼女の脳内では先ほどのエドガーの言葉がよぎる。

――それとこちらに“竜腕りゅうわん”が来ているとの情報が入っています。教団とのつながりがあるかもしれないので、裏付けが取れるまで絶対に接触しないように!――

――“竜腕”というのは、左腕が竜の鱗で覆われている男のことです。――

 そして彼の左腕は、人だとは思えない紅の鱗に覆われ、手先も鋭い爪が伸びている。それはまさに竜の腕。

(この人が“竜腕”……)

 彼がまだ敵だと確定したわけではないが、それを考慮したうえでも伝わる異様な気配に思わず後退しそうになる。しかしここで後退してしまってはむしろ悪手だと思い留まった。

 ミスティアは仁王立ちで男の前に立つと、高らかに声を上げる。

「あたしは現ウラヌス家当主、ミスティア・ウラヌス!あなたたちの命はウラヌスの名に懸けて保護するわ!」

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