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第六話 ミカドと愉快な仲間達 後編

「あーやれやれ二人逃がしたか。ま、ばらばらに逃げられたら、仕方なねえか」

 焼け焦げた部屋で斎藤は一人ため息を吐き肩をコキリと鳴らし階段に戻った。

……………………………

「わりー逃がしたわ」

 部屋に入るなり斎藤がミカドに謝る。

「別に良い。あいつ等が来た時点ここは捨てるつもりだったからな」

 ミカドは無表情に言った。

「ところでよ、話変わるんだけど、見た目が鉄でできた龍か蛇みたいな妖怪っていたっけ? なかなかかっこよかったんだが」

 斎藤がミカドに尋ねた。

「………ふむ、蛇の妖怪は意外に多いからな………知らんな。多分何かの亜種じゃないか」

 ミカドは考え込んでから答えた。

「うーん、まあ、多分そうだろうね」

 アラタも同意した。

「望月はどうだ?」

 斎藤はいつもの如く眠っていた望月を起こした。

「鉄の蛇? 鉄の蛇か。う〜ん。金属が集まって出来た蛇ならもしかしたらカタナヘビかもな」

 望月が答えた。

「カタナヘビ? なんだそりゃ?」

「カタナヘビとかヨロイヘビとかそんな感じで呼ばれていてな、昔の戦場後に現れてな、死んだ武者の鎧や刀が集まった化け物だ。………なんて言うんだろ。こう、もしゃもしゃってな感じでな」

 望月はジェスチャーで細長い蛇みたいな物を表した。

「えーと、つまるところに刀や鎧が集まって蛇の形になった妖怪って事か。……でも俺があったのって鉄板を張り合わせた感じだったぜ」

「鉄板? ああ、そりゃ亜種だからだろ。蛇って言ってるがただ細長い姿をしているだけだ。正確には戦場で死んだ者の怨念が集まり塊を成した者で蛇とは余り関係ないとも言われてる。まあこんな物か………もういいか?」

 望月は眠そうに答えた。

「あ、ああ、すまんな。もういいぞ」

 斎藤が答えたると望月はすぐに夢の世界に旅だった。

「ああ、わりぃな話を戻してくれ。移動だったな。次のたまり場はどこにする?」

「そうだな……」

「ねえミカド、そろそろ隠れるのきついよ。めんどくさいし、この辺の特災………そろそろ掃う?」

 突然アラタがとんでもない事を言い出した。

「え、ちょっ、無理ですよ! 私達はミカド、四天王メンバー除いたら八人しかいないじゃないですか! 特災は少なくとも憑かれ人が四百はいますよ。下手に動いてマークされたら厄介な事になりますよ」

 夏目が常識的な意見をのべた。しかしミカドは違うところが気になり、

「下はもう八人か。何か良い通り名はないか?」

「はい! ミカド、八輝星はっきせいなんてどう?」

 アラタがノリ良く答えた。

「ふむ」

「いや、八人のサムライだろ」

 負けずに斎藤も言った。

「ちょっと、今は特災のこ

「えーそりゃパクりが過ぎるじゃない」

夏目の異義を完全無視し話を続ける。

「四天王だって一応パクりだろうが!」

「みんなが使っているから良いの。それに強い四人組はやっぱり四天王だよ………あっそうだ八騎士なんてどう? 騎士もサムライも似た様な物でしょ」

「いや、結構違うぞ。例えば、騎士道精神は」

「まあまあまあ、今は名前を決めなくちゃいけないからその話はまたね。んー、他にはなんとか八人集とかどう。例えばミカド八人集とかさ」

「鬼夜叉八鬼集はどうだ」

「それは、どこの鬼だよ? それとも忍者? そりゃ鬼の憑かれ人はいるけどさ。でも一人だけじゃない。しかも八人の中で一番弱いし」

「あー! ひっでーな、お前。八人は一応は同格で強い弱いは無いのに」

「事実だからしょうがないよ。そうだ八傑集は?」

「だからそれはパクりだろ。これなんてどうだ。面倒だし俺等合わして十二天王とか?」

「強さに段差があり過ぎるよ」

うだうだ………あーだ、こーだ………そりゃまずいだろ………いっその事………………

三時間後

「決まらないな」

 ミカドがぽつりと呟いた。空が既に明るくなってきた。

「だって斎藤さん、僕の意見の反対ばっかするんだもん」

 アラタが不満を上げる。

「お前だって俺の意見反対してるじゃないか! お互い様だ」

 斎藤がすかさずに反論する。三時間もずっとこんな感じであった。

「まあまあ二人共落ち着いて下さい。では、こうしましょう。二人の意見を八人に持っていき八人で多数決で決めましょう。自分達の名前ですから自分達で決めれば良いんです」

 二人の喧噪から逃れながらも痺れを切らした夏目が妥協案を出した。

「四対四ならどうする? お前が決めるのか?」

 ミカドが要らない事を聞いた。四天王で一番立場が低いのは夏目だった。なので夏目は上二人に要らない恨みを買いたく無かった。

「えーと、それなら望月さんに決めて貰いましょう。望月さん、博識だし」

 なので寝ている望月に全て責任を押し付けた。

「ふむ、なるほどな。二人共それでいいな?」

 ミカドは一度頷き二人に聞いた。

「……まあ、それなら」

「いいぜ。まあ、勝つのは俺だろがな」

 二人は同意した。

「ではそろそろ。解散!」

 ミカドの一声で変人魔人達の集会が終わりを告げた。


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