第1話 勇者追放
初投稿です。
よろしくお願いします。
「タイチ!お前が俺をパーティーから追い出したいのはよくわかった。それなら仕方ない。俺は追放されるぞ!」
「お、おい…なに言ってるの」
俺の名はタイチ
国を救う為に旅立った勇者パーティーのメンバーであり、僧侶を生業にしている。
今、この勇者パーティーはとんでもない事になっている
パーティーの核、勇者がパーティーを抜けると言い出したんだ。
しかも、俺が勇者を追放しようとしてるって?
一体どうなってるんだ??
「おい、落ち着けって、何を…」
言い出した俺の声を、同じパーティーのメンバー賢者と剣士の非難がかき消す。
「貴方の其の傲慢さが今回の事態を招いた事は明白…」
「もうダメだよ、このパーティーは!!」
うるさいっ
と叫びたくなる気持ちをなんとかおさえ、メンバーに問いかける
「なぁ、みんな!どうしたって言うんだよ! 俺が悪いのか?なにか悪い事があったのなら教えてくれ!」
「だいたい、貴方はメンバーに対しての不寛容が
「俺たちはおしまいだー」
いや、マジでうるさい
賢者と剣士にも声をかけたのが間違いだったよ…
改めて勇者タクミに向き合い問いかける
「タクミさ、俺の何がダメなんだ?教えてくれ」
「お前は俺が声をかけてわざわざ集めたメンバーを、みんな追放しただろ?
お前の企みはわかっているんだ。
パーティーから俺の居場所を奪っていき、最後は追放するつもりだ?
それがわかっているから、先に出て行くのさ」
えっ?
俺が追放したって、あのネイルアーティストとか、花売りの娘さん達?
確かにお引き取り願ったけど、アレ、お前の追っかけだろ?
戦力じゃないじゃん
だいたい今は初の遠征の最中
魔王軍の幹部の居城に向かっているんだぞ
爪とか花とか不要だ…よなぁ?
「いつか成り上がって見返してやるからな!覚えてろよ」
タクミ…
お前は勇者に認定されて成り上がってるだろ
と思いながら去って行った勇者を目で追う。
振り向きもしない…
一緒に戦ってきたメンバーなのに
残ったメンバーに声をかける
「これからは、どうなるんだ?」
「貴方の過ちを認めないその態度は傲慢、我慢、浪漫放漫
「パーティーは崩壊した!今後、俺たちは後ろ指さされて生きていくんだ!」
だからどうするんだよ!
追うのか?追わないのか?
「追いかけていって、タクミを…」
そう言いながら、2人も勇者の去った方向に向かって歩き出す。
そうか…お前らも去っていくのか…
でもそれ、追放じゃなくて、離脱じゃね?
あっ
独り取り残され、とぼとぼと街へ帰ろうとした俺は大変な事に気づいた。
[王国の導き手]と[勇者の剣]は今、パーティー共有のアイテムを管理していた俺が預かっているんだ…
[王国の導き手]というのは、王から授けられた紋章で、緊急事にあたってら王の権限の一部を委譲する委託状であり、これを持っている者が、世間一般で勇者と呼ばれる。
勇者の所属するパーティーを勇者パーティーと呼ぶ
また、紋章は保持するパーティーに強力なリジェネ効果を与えるという魔道具でもある。
勇者という存在に対する、王の信頼と期待がわかるというものだ。
[勇者の剣]は、魔王と共に生まれ分かたれた半身だという神器で、それ故に、魔王を倒せる神器であり、
勇者のみが使えると言われている。
って、あれ?あれあれ?
僧侶の俺がひとりで勇者パーティー?
勇者いないのに?
どういうこと?