15歳ぐらいの年齢の恋って、難しいですよね?
春、入学、桜、そんなJ-popの音楽にありがちな言葉が脳裏をよぎる。
それは、自分が実際に体験するよりも有意義で、そして虚しい。
ある男の子の話をしようか。彼は音楽が好きだ。音楽というと漠然とし過ぎるのかもしれない。正確には音楽に使われているフレーズが好きだ。確かに、音楽に使われているフレーズには魅力があるが、音楽と言われると最初に浮かぶのはリズムとかが最初に浮かぶのではないかな?でも、僕は違った。そんなのは、ただの飾りにすぎない。そんな事を思っていた高校一年生の冬。
もうすぐ冬休み、、まぁ、あと二週間はあるけど。ただ、早くなってほしかった。だって、学校退屈だし。退屈しのぎで委員会にはいったものの、仕事無いし、今は、ぼーっと、目の前の本棚を見ている。ここには、僕と司書とそれから一つ上の先輩だけ。この先輩はいつも音楽を聞いている。イヤホンをして。しかも、それはワイヤレス。いいなーとイヤホンを眺めていると、先輩はその視線に気が付いた。「どしたの?」片耳を外して尋ねる先輩。僕は急なことで焦って、「いや、何の曲聞いてるのかなって、」といった。別にワイヤレスイヤホンいいなーと思って、と言えば良かったんじゃないかと思った。まぁ、いいや内心ちょっと気になってたし。そして、先輩が答えるのを心待ちにしていると、先輩はコツンっと、音を立ててカウンターに片耳のイヤホンをおいて、「聞いてみてよ」と言った。「はぁ、」と、困惑気味に言って、耳に装着してみた。すると、僕は不服そうに先輩の方を向いた。そして、「これ、インスト曲ですか?」と、僕が言う、それに呼応して「何、それ?」と先輩が言う。「歌がなくて、楽器の演奏だけがある曲のことですよ」、「あぁ、そうだよ、いいでしょ!」、「えぇー、やっぱり歌がないと嫌ですよー、やっぱり曲っていうのは意味合いがあった方が良くないですか?」、「うん、私もそう思う。けどね、それはつい作曲者の気持ちになっちゃうじゃん!、だからね、楽器の演奏に対して自分でフレーズを考えるんだー、そしたら、自分だけの自分のための自分の曲になるじゃん?」、「深いですね笑」、「うん笑」ここで、会話は終わった。そのあとは、無言だった。二人とも曲を聞いていた。不意に僕が先輩の方を見ると泣いていた。一滴の涙がツーッと先輩のほっぺたの上を走った。好きになった。その感性に、感受性に、横顔に。
冬休みまでの二週間は一瞬だった。僕は冬休みの前日に今世紀最大の勇気を振り絞って先輩にLINEを交換した。好きになる前に聞いとけばもっと簡単だったのかなと思うと、少し後悔があった。でも、もっと後悔しているのは先輩の魅力に今まで気付かなかったことかな、今僕はインスト曲を聞いている。
ついに冬休みにはいった。どうしても、どうしても、誘いたかった。先輩を。もうすぐクリスマス。町はとっくにクリスマス気分で、窓の外を眺めるとイルミネーションが所々で光ってる。はやる気持ちに耐えきれず、スマホを片手に緑の吹き出しを押す。先輩との会話は交換してすぐあとのこんにちはメッセージのみ。いきなりデートに誘うのもどうかと思い、適当に趣味とかで盛り上げようかなと思った。が、なぜだろう。この不安な気持ち、なぜか送信を押そうとすると不安と恐怖に押し潰されそうになる。先輩と後輩という関係だから?いや、違う。あんまり話してなかったから?いや、違う。正直になろう、好きだからだ。つい考えてしまうんだ。これを送ると面倒くさいやつだと思われるかもしれない
、これを送っても返信してくれないかもしれない、これを送ると、嫌われるかもしれない、と。そんな事を繰り返し繰り返し考えていると、何十分、いや、何時間もたっていた。一旦やめよう。疲れた。でも、でも、止められない。いくら、考えないようにしても、ずっと頭のなかでは、先輩のことでいっぱいだ。ご飯を食べていても、お風呂に入っていても、布団に入っても、曲を聞いていても。僕は今、インスト曲を聞いている。絵を描こう、勉強をしよう、YouTubeをみよう、そんな事をしてもあなたのことしか考えれないんだ、
こんなに思っているのにLINEすら送れない。僕の目の奥のあなたは僕に甘えて、そして、あなたの頭に手をおいて、抱き締める。あぁ、目の前がぼやける、拭いても拭いてもぼやける、少したって落ち着くと直る。それの繰り返し。そんな、15の夜、
どうでしたか?
よかったら僕のリアルの恋の相談にのってくれませんか?