八話。始まりの覚醒
「..........きて。お.....きて。もう!冬馬のバカヤロー。」
よく知る声が、冬馬の耳元で唸った。
「.....おわ!!」
突然の罵声に、深い暗闇から引きずり戻される。
冬馬がベッドから跳ね起きると、そこには、溜め息をつき、半ば、呆れたような顔の和希が立っていた。
「うるせーわ。人、起こすのにバカはないだろ。バカは。」
冬馬は、ジンジンする耳を押さえながら、目の前の奴に文句を言う。
「でも、そのお陰で、目が覚めたんじゃん。
何?
『冬馬様。朝でございます。お目覚めになってください♡』
とか言って欲しかったの?変な趣味~。」
和希は、見下すような笑みを浮かべつつ、
傍にあった椅子をベッドの傍に引き寄せ、椅子の背を前に跨がって座った。
「.....。今、何時だ?」
和希の発言を無視する形で、冬馬は尋ねた。
「今は、4時半。放課後。誰かさんが、ぐーすか寝てる間に、授業はとっくに終わっちゃいました。」
保健の先生は、職員会議に行ったらしい。
今、保健室には、俺たちしか居なかった。
「そうか。ん、んんー。」
そいやー、体操服のままだ。着替えないとな。
冬馬は、伸びを軽くして、ベッドから降りようとした。
「冬馬、その腕の模様、何?」
横で、微かに、息を飲む音がした。
見ると、疑い深い顔で、俺の腕を覗く和希がいた。
その顔は、青い、というより蒼白に近い。
「俺の腕が、どうかしたか?」
人の腕を見て、ここまで狼狽える人間は見たことがない。
何事かと、冬馬は、自分の腕を見た。
いや、凝視せざるおえなかった。
「な!!」
そこには.....。