七話。夢の続き。
しかし、そんな冬馬の意思に関係なく、突如、場面が切り替わった。
(夢だからか?さっきの森とはまるっきり違う場所。)
そう。
冬馬は、おとぎ話の城を彷彿させる、きらびやかな部屋の中央にいた。
目の前には、黒みを帯びた、大きな、赤黄色の机。
その机には、使用者がいた。
少し長めの金髪に近い茶色髪。
男と言うよりか、男性に近い紳士てき印象を覚える。
どうやら、冬馬の存在は彼には見えていないようだ。
その事が分かり、冬馬は、辺りを見渡した。
すると、この部屋には、彼とは別にもう一人居ることに気づいた。
部屋の隅。
黒耀のような腰ほどまである黒髪。
服装から見るに、メイドのコスプレをしている。
(あの子、見るからに、真面目そうな感じなのに、コスプレ趣味があるとか、人は見かけによらねぇな。)
(つーか、最近、夢にメイド出すぎだろ。そんなに飢えてんのか?オレ。)
男とメイドは、何か話し合っている。
会話の内容は聞こえない。
だが、雰囲気的に、冬馬の利益のある話ではなさそうだ。
最終的に、男がメイドに指示を出したのだろう。一瞬で拒んだ様子だが、渋々と言った感じで、メイドは退出していった。
なぜ、このような光景を見せられているのか、その理由が冬馬に分かるのは、まだ先のことであった。
『見つけた。』
この時、この空間に居ない、誰かの声が響いていたのだが、冬馬の耳には届いていないようだった。