四話。
「悪い。何か嫌な夢見てたんだ。で、ちょっと動揺。」
はは。
「ふーん。嫌らしい夢をご堪能してきたんだ?」
ニヨニヨと和希が見てくる。
「違うわ!俺が傷だらけで知らない部屋に寝かされてただけだっつーの。」
「ま、そう言うことにしといてあげる。
冬馬は態度こそでかいけど、中身はまだ、お子ちゃまだからね。耐性がないしねー。
ちょっとのチラ見でも、卒倒するでしょ。」
うっせーわ。
「一言、余計なんだよ。和希は。俺がそんな趣味してるように見えるか?」
「うん。見える。」
即答する和希。
「おい。」
「はぁー。何か、よく分かんなくなっちまった。」
こんな調子の和希に頭を抱えつつ、ようやく今日来た目的にたどり着く。
「今日こそ、この『モンストールゴムビデル』でお前を負かせてやる!」
冬馬が唯一といっていいほど、攻略できないゲームの名を叫ぶ。
少しまだ、心がざわつくが、大丈夫だろうと思い直す。
そう。ただの夢だったのだから。
「このゲームだけは、僕の方が強いよねー。僕に勝つとか100年早いよ。」
「軽口叩けるのも今のうちだぜ?」
ウケケケケ。
こうして、2人の戦闘は明け方まで続いたのであった。