退院そして卒業 1
15歳の少年が様々な出来事に直面し、悩み、苦しみ、悲しみ、時に学びながら大人へと歩んでゆく姿を描いた物語
3月も終わりに近いと言うのに早朝はまだまだ冷え込んでいる、桜の蕾もまだ硬く目を覚まそうとはしない。
いつものように午前六時に起床のチャイムが鳴り響く、
10分以内に布団を畳み、洗顔を済ませ寮のダイニングに集合しなければいけない。
彼が入所していた寮名は大和寮である、この施設には男子寮、女子寮合わせて10戸ほどあった。
彼の名は、如月 心仮名、1966年、7人兄弟の末息子として性を受けた、
4歳の頃に母親を病気で失う、その後父親は再婚するが、後妻と馬の合わない上の兄弟たちは次々と家を出て行ってしまった。
彼の幼少期の話は省くが再婚した両親とは中学1年の終わり頃から一緒には暮らしてはいなかった。
大和寮には彼を含め中学3年生が3名、2年生が3名、1年生が1名入所している、7名が同時に10分間で洗面所を使うことになるので
朝はいつも争奪戦だった。
地域や個人名、団体名などは個人情報に基づき仮名にしてあります。
ご了承ください。
著者【shingetu】新月