コズミック シーアーチン
銀河系を抜け、遥か彼方120万光年先にある惑星『ターメリック』
凶悪なインド人が支配する破壊と絶望の星で、今まさに宇宙の乗っ取りを図る大悪事がなされようとしていた!
宇宙の平和を守る『スペースパトロール』は、この情報を秘密裏にキャッチし優秀なパトロール隊員『スレイヤー野口』を密偵として送り込んだ―――!!
きな臭い雰囲気の廃工場にて頻繁にインド人が出入りしているとの情報を得た野口は、気配を消し入口を見張るインド人へ静かに近付いた。
「動くな。変な気を起こせば頭が軽くなるぜ?」
インド人の頭に突き付けられた光線銃は1秒間に7.5回人を殺せる程に物騒な代物だ。頭に突き付けられた冷たい感触に、見張りのインド人は静かに手を上げた。
「ここで何が行われている。洗い浚い話せ!」
「……ウニ」
―――ズギューーン!!
その時銃声と共に見張りの頭が激しく吹き飛んだ! 否!
野口の光線銃では無い! 野口は姿勢を低くし直ちに身を隠した!
「……へへ、パーティの招待状が届いちまったぜ。こいつは激しくなりそうだ!」
廃工場の中からゾロゾロと武器を構えたインド人が現れ野口を探すように手当たり次第に搔き回している。このままでは見付かるのも時間の問題だ!
「……この匂いは―――!?」
周辺を捜索するインド人達から臭う独特の香り。それは正しく『カレー』の臭いだった!!
「野郎……御法度のカレーを製造してやがったか!」
カレーとは香辛料を用いたご飯が良く進むヤバいブツである! その中毒性から全宇宙でもカレーが許可されているのは極々一部の星だけだ! 勿論この惑星『ターメリック』では禁止されている。禁を犯せば即死刑だ!!
野口は懐から手投げ式閃光弾を幾つか取り出し、周囲へと放り投げた!
凄まじい閃光が周囲へと広がり、見た物の網膜へ強烈な光が焼き付く!! 閃光弾を受けたインド人達は狼狽え目を押さえてフラフラと彷徨っている。
「暫くダンスでも踊ってな……!」
廃工場へ入り込んだ野口。そこには野口の身長を優に超える巨大な鍋が設置されており、今まさに『カレー』の製造が行われているところであった! 野口は座標位置をスペースパトロールへ送信し応援を要請!
「こんな時間にお客さんとはな」
頭にターバンを巻いた若い男が静かに野口へと近付いてくる。その手には火薬を使う旧式の銃が握られており、一触即発の空気を醸し出していた。
「喜べよ。デートのお誘いだぜ?」
「生憎……予定が入っていてだな」
―――チャッ!
ほぼ同時にお互いに向けられた銃口は静かに出番を待つ。
「答えろ。『ウニ』とは何だ?」
「カレーに変わる新しいビジネスさ。お子様には関係の無い話だろ?」
「そうだな!!」
野口は銃口を逸らし、カレー鍋へと銃を向けると素早く光線を発射した! 溶けて無くなる鍋からは怒濤の勢いで熱々のカレーが流れ出した!
「―――チッ!!」
男が素早い跳躍でカレーを避けるテーブルに着地する。銃を構え直した時には野口の姿は何処にも見当たらなかった! 地面にぶちまけられた熱々のカレーはもう使い物にならない。末端価格数兆円の大損害だ!!
「逃げたか……」
スペースシップに乗り込みパトロール本部へと帰還する野口。インド人達の新たな狙いとは!? 新たに取って代わるビジネス『ウニ』とは!?
野口はこれからも宇宙の平和を乱す悪達を監視し続ける―――!!
読んで頂きましてありがとうございました!!